「プランターひとつ」で失敗しないベランダ栽培! 親子で家庭菜園にチャレンジ
親子でカンタン家庭菜園:第1回〔基礎・準備編:何を育てるかを親子で相談しよう〕
2021.03.30
恵泉女学園大学教授:藤田 智
種をまいて、水をやり、自分で育てた野菜を収穫して食べる。食育にもつながる家庭菜園は、食糧への意識が高まったステイホーム中にも話題となりました。ただ、”やりたいけど我が家はマンションだから”、”庭がないから植える場所がない”という声も多く聞かれます。そこで、テレビの園芸番組でもおなじみの恵泉女学園大学の藤田智先生に、プランターひとつ使ってベランダで育てる家庭菜園を教えてもらいました。第1回目、まずは「何を植えるかを親子で相談する」ところからスタートです!
野菜は何を育てる? はじめてなら、”初級編の葉野菜を選ぼう”
家庭菜園は野菜を育て、口にするまでの過程が体験できる食育でもあります。ただ、親子で家庭菜園をやってみたいと思っても、野菜づくりの経験がないと、何からはじめていいのかわからない人も多いのでは。まず、興味を持ったらなにをすればよいのでしょうか。
藤田「親子で野菜作り、いいですね! まずはどんな野菜を育てたいか、夢や希望を親子で話し合ってみましょう。野菜は育てるだけではなく、最終的には自分たちで食べるものですから。それから親子で一緒に園芸ショップに行ってみるのがいいと思います。
家庭菜園の定番だと、ミニトマトやキュウリ、ジャガイモなど、子どもにわかりやすいものが定番だと思いますが、ミニトマトやキュウリのような実がなるものは、野菜作りの”中級レベル”なんです。初めての方には葉野菜が簡単でおすすめですね。コマツナだと種まきは春と秋。30日ほどで収穫できます。サニーレタスやサンチュのように球にならない葉野菜もいいですね。サニーレタスやサンチュの苗は3月半ば以降、園芸ショップなどに出てきますので、それを買うのがよいでしょう。こちらも苗を植えてから30日ほどで収穫できます。
もし葉物野菜だけだとなんとなく親も子もテンションが上がらない、ということでしたら、葉物野菜だけでなく、ミニトマトやキュウリにも同時チャレンジしてみてください。何事も経験してみることが大事です!」
必要な道具は「培養土」「スコップ」「プランター」の3つ!
藤田「初級編の葉野菜、中級編のミニトマトやキュウリ、どちらを育てるにしても必要な道具は”培養土””スコップ””プランター”の3つです。
まず培養土ですが、必ずしも”野菜用”でなくてOK。パッケージに”花や野菜用”、”園芸用”と書かれているものでも大丈夫です。
次にスコップ。こちらはお好みのものでよいでしょう。お子さんには手の大きさに合うものを選んであげてください。
最後にプランター。こちらは作る野菜の種類により、選ぶ大きさや深さが変わってきます。初級編の葉野菜、例えばコマツナであれば縦20㎝×横65㎝、深さ20㎝のプランターを選びましょう。短期間で収穫できるため、根も深く伸びないので深さはそんなに必要ありません。
中級編のミニトマトやキュウリは円形プランターがよいでしょう。直径30㎝、深さ30㎝ほどあるものを選んでください。実の重みで倒れないようにしっかりと根をはるため、プランターの深さが重要になってきます。
水やりのジョウロも必要ですが、最初はなくてもよいですよ。空のペットボトルなど代用できるもはたくさんありますので。ただ、購入される場合は”はす口”のあるものがいいですね」
失敗しないために用意しておきたい「虫よけ網」
道具が揃ったら、さあ種まき! といきたいところですが、ベランダー菜園を失敗しないためにも追加で用意しておきたいアイテムがあると藤田先生。
藤田「ベランダ菜園の失敗で多いことは”虫がつくこと”と”日当たりが適切でないこと”です。コマツナはアブラナ科なのですが、葉はアオムシの大好物。とにかく虫がつきやすいです。種まきをしたらすぐに虫よけ網をつけましょう。
そして野菜作りには日当たりのよさが鉄則です。一日中ずっと日が当たっていなくてもよいのですが、ベランダの中でも比較的日当たりのいいところを選んでプランターを置いてください。南向きのベランダなら言うことはありませんが、どちらかというと午後の日当たりより、午前中の日当たりが長い場所がよいですね。もし、日当たりがよくないというベランダでしたら、葉野菜ではなく、ミツバやミョウガなどの栽培にむいていますよ」
いよいよ第2回から、実践編へ。まずは初級編の葉野菜、コマツナの種のまき方たと育て方です。
取材・文 上坂美穂
藤田 智
恵泉女学園大学・社会園芸学科教授。1959年秋田県湯沢市生まれ、岩手大学大学院修了。恵泉女学園大学では、野菜園芸学、農業教育学などを担当。各地の市民農園講座でも野菜づくりの指導を積極的に行っている。また、Eテレ『趣味の園芸・やさいの時間』のほか、TV・ラジオなどにも多数出演。 【主な著書・監修】 『野菜づくり大図鑑』講談社/『ベランダ畑』家の光協会/『「よくある失敗」と「対策」がわかる野菜づくり』日本文芸社/『コンテナ菜園を楽しもう』『新・野菜づくり大全』NHK出版など
恵泉女学園大学・社会園芸学科教授。1959年秋田県湯沢市生まれ、岩手大学大学院修了。恵泉女学園大学では、野菜園芸学、農業教育学などを担当。各地の市民農園講座でも野菜づくりの指導を積極的に行っている。また、Eテレ『趣味の園芸・やさいの時間』のほか、TV・ラジオなどにも多数出演。 【主な著書・監修】 『野菜づくり大図鑑』講談社/『ベランダ畑』家の光協会/『「よくある失敗」と「対策」がわかる野菜づくり』日本文芸社/『コンテナ菜園を楽しもう』『新・野菜づくり大全』NHK出版など