中学受験の「親ミッション」 中受伴走を終えたママ教育ジャーナリストが小6年後半=本番直前期を明かす
リアル中学受験伴走レポ #3 ~ダメージを回避するために知っておきたい6年生後期編(夏休み~受験本番)~
2024.05.30
教育ジャーナリスト:佐野 倫子
いよいよ出願! 前半に合格をとれるスケジュールを
12月になると、すべての模試の結果が出そろい、いよいよ併願校を含めた受験校ラインナップを確定させます。第一志望は本人の意志を尊重したいところですが、そのぶん併願校は必ず親が綿密な作戦を練りましょう。
というのも、経験した者として、一番強く申し上げたいのは、不合格の威力です……。
私はそれまで、多くの方に中学受験の取材をするなかで、「1月中に進学可能な学校の合格をもらっておくといい」「2月も最初の2日のうちにできれば合格を1つもらいたい」というアドバイスを何度もいただいていました。
終えた今、そのあまりの金言ぶりにうなるばかり。ここは声を大にして申し上げます。ぜひ通える範囲、そして親子でここなら進学してもOKと思える学校を探し、合格を本番期の前半で取れるように作戦を練ってください! これは親にしかできない、大切なミッションです。
2月4日以降の入試は、偏差値が足りているからといって合格するとは言えない過酷な入試になってきます。倍率を見ればわかるように、1日や2日には2~3倍だった学校も、3日以降は3~5倍、場合によっては10倍以上に跳ね上がります。
この後半戦までに合格がひとつもないときの焦燥感と閉塞感……。これは子どもたちに味わってほしくありません。繰り返しますが、わが子に突きつけられる不合格は、親の心にも、想像のはるか上をいくダメージを与えます。1月、または2月2日午後入試までの合格は、かならず後半戦を戦う「心のお守り」になるはずです。
ついに本番! 親が絶対に忘れてはいけないこととは?
さて、いよいよ年が明けると泣いても笑っても本番がやってきます。この時期の重要なタスクをまとめてみましょう。
6年生後期「親の伴走ポイント」とマインドセット
・体調管理が何よりも優先!
・直前期に着手する教材の取捨選択
・本番数日間のスケジュール表作成
・出願(現在は多くの学校がインターネット出願。締め切り日時に要注意)
・受験の前泊が必要な場合は受験会場近くのホテル確保。できれば、禁煙・ツイン、できれば部屋にデスクと椅子があるところ
・当日の服装や持ち物をそろえる。筆記用具、受験票、防寒具、動きやすく暖かい服装、薬、軽食など
・合格後の手続き締め切りの確認
受験日前夜はホテルに泊まったほうがよい?
「受験の前夜、ホテルに泊まるのと自宅から行くのはどちらがいい?」とよく質問を受けます。メリット・デメリット、どちらもあるので迷うところだと思います。
参考までに、我が家の場合は、前泊して正解だったなと感じています。1月に数千人の受験生を集める千葉県のI中を例にとると、試験会場は幕張メッセで、最寄り駅は海浜幕張駅です。受験生集合は2024年の場合、8時過ぎでした。でも当日、7時過ぎには海浜幕張駅に到着しておきたいというのが実際に行ってみて感じたこと。
とにかく広い幕張メッセ、入試以外にもイベントがある可能性は高いですし、大勢の受験生親子の行列。海浜幕張駅からも普段の倍、20分ほどはかかるでしょう。
そうなると、東京駅を6時半すぎに出る電車に乗ることになり、お住まいの地域によっては起床が5時前後になるかもしれません。電車遅延の可能性を考えると、実際は早く出発したいですよね。
ホテルに宿泊すれば、起床は6時。例えば幕張メッセに隣接しているホテルを選べば、7時半に部屋を出て20分もあれば試験会場で着席することができるはず。何より、交通機関の遅延や天気を気にせず準備や体調管理にだけ集中できるのは大きなメリットでした。
ただ、枕が変わると眠れないタイプのお子さんは、早起きしてでも慣れた自宅から出発したほうがいい場合もあるでしょう。ここはお子さんの性格を見極めることをおすすめします。前夜、ホテルに宿泊すると決めたならば、予約はできるだけお早めに。
栄東中や市川中、渋谷学園幕張中、東邦大東邦中など受験人数が多い学校の入試前日、会場にアクセスがいいホテルは6年生の夏休みごろから埋まりはじめます。
トイレの場所の確認も重要
前泊するかどうかという問題のほかに、実際に体験してみて感じたことは、できれば学校や試験会場に事前にアクセスしておくと安心だということ。
筆者の息子は、お腹が弱くてトイレに行きがちなのですが、幕張メッセでは広い会場でトイレを探せるかドキドキしたと言っていました。
ほとんどの学校で、親は教室や試験会場までは付き添えません。事前に幕張メッセに連れていってトイレの位置の確認や、あの圧倒的な広さの会場を見せておけばよかったかも……と、終わってから思いました。