赤ちゃんにふれた中学生が気づいた命の重み 世田谷区“赤ちゃん授業“の驚きの効果がこれだ

東京都世田谷区で実施「赤ちゃんとのふれあい体験授業」#2 ~授業に密着編~

編集者・ライター:関口 千鶴

手さぐりながらも赤ちゃんを抱っこする生徒。横から別の生徒があやしています。  写真:関口千鶴
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少子化が急速に進む現代において、きょうだいがいない子どもの数は確実に増えています。内閣府調査(※1)によると、ひとりっ子は2000年ごろまで10%ほどだったのが、2005年ごろから増え2010年以降は約20%です。

10代の子どもたちが、赤ちゃんやその保護者世代と接する機会は確実に減っており、それは異世代への理解を深める機会を失っていることにもつながっています。

そんな昨今、東京都世田谷区の中学校では「赤ちゃんを連れて学校へ行こう!」という体験授業が行われていると聞き、授業を密着取材してきました。

普段は、なかなか交わることのない「赤ちゃんと中学生」。両者が出会うことによって、生まれる優しくあたたかな交流をレポートします。

※全3回の2回目(#1を読む)

(出典)国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より内閣府男女共同参画局

8組の親子と中学生の出会い

2022年12月、世田谷区立東深沢中学校に集まったのは、4ヵ月~1歳2ヵ月までの赤ちゃんとその保護者8組の親子。

初参加の人もいれば、今回で4回目という人も。体験授業が始まる前、控え室では赤ちゃんをマットの上に寝かせたり、抱っこしたりしながらも、あいさつを交わすなどして体験授業の開始を待っていました。

一方、この日体験授業を受ける中学3年生の生徒たちは、すでに教室に集合。1クラス約30人で5~6のグループに分かれてスタンバイはOK。

まず、今回の体験授業を担当する、家庭科教諭の藤田百恵(ふじた・ももえ)先生から流れの説明を受けたあと、司会は運営スタッフにバトンタッチ。この日の進行は、NPO法人せたがや子育てネットの松田妙子(まつだ・たえこ)さんと小林ゆかり(こばやし・ゆかり)さんです。

生徒に赤ちゃんの抱っこのしかたについて説明をする小林さん(左)と松田さん(右)。  写真:関口千鶴

まずは、松田さんと小林さんが、赤ちゃんの人形を使って、赤ちゃんとのふれあい方を説明していきます。生徒たちは、とても真剣に聞き入っている様子。赤ちゃんとふれあうときの注意ポイントは以下の5つ。

1.声は、少し高めを意識して優しい声色で。

2.赤ちゃんにふれるときには「抱っこするよ~」など、赤ちゃんの目を見て声をかけて、同意をとってから。

3.赤ちゃんを抱っこするときは、まずは横抱きを。赤ちゃんの体全体を自分の腕と体で包み込むように抱っこする。

4.赤ちゃんを他の人に渡すときは、渡す人にくっつくようにし、相手がきちんと抱っこしたことを確認してからそっと離れる。

5.そして、腕の中にいる赤ちゃんに、「大丈夫だよ~」という魔法の言葉をかけながら、笑顔で赤ちゃんと目を合わせる。

説明後、まずは人形を使ったグループ練習がスタート。生徒たちは、さきほど教えてもらったことを実践するように、「抱っこするよ~」「大丈夫だよ~」と声をかけながら、人形を使って交代で練習します。

「なんか、ちょっと緊張する」「うまいじゃん!」「あ、声かけなくちゃだめだよ」と互いに言いながら、とても楽しそうな雰囲気に。

人形を大切に抱っこして、友だちに渡します。緊張しながらも笑顔に。  写真:関口千鶴

そんな練習を続けていると……、「うわぁ~!」「キャ~!」「かわいい~」という歓声が一斉にあがり、ママパパに抱っこされた本物の赤ちゃんが教室に入ってきました。生徒たちからは、自然と拍手が起こって、場がさらに明るい空気に。

「みなさ~ん、ではこれから赤ちゃんたちと一緒にふれあいタイムを始めます」と松田さんの声かけのあと、各グループに赤ちゃんとママパパが入っていきます。

いよいよ、赤ちゃんと生徒の交流が始まりました。

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