赤ちゃんにふれた中学生が気づいた命の重み 世田谷区“赤ちゃん授業“の驚きの効果がこれだ

東京都世田谷区で実施「赤ちゃんとのふれあい体験授業」#2 ~授業に密着編~

編集者・ライター:関口 千鶴

今回、この体験授業を担当していた家庭科教諭の藤田先生に、印象深かった生徒たちの反応を伺いました。

「体験授業後に、私のところにやってきて、“決めました! 私、将来、結婚して赤ちゃんを生みます!”と宣言した生徒もいるんです(笑)。

また、普段の授業では見られないような一面を見せてくれる生徒もいましたね。きょうだいがいて、あやし方を知っている子などは周りから『さすが~!』などと言われて照れくさそうにしていたりしました」

この体験授業は、家庭科内のカリキュラムである乳幼児についての学習の集大成的な役割も担っていると教えてくれました。

「東深沢中学校では3年生の進路を考えるタイミングで乳幼児の授業を実施しています。4月から教科書などで学習をして、まとめとして最後にふれあい体験授業を行いました。

教科書だけでは、わからないことを体験し学べるという点でも、とてもよい機会をいただいていると考えています」

さらに、藤田先生はこの授業は生徒の先々にまでよい影響を及ぼす可能性も期待していると続けます。

「3年生になって進路選びをするこのタイミングで、自分はどういうふうに生まれてきて、育ってきたのかということを改めて考えるきっかけになればいいなと思っています。

また、今の3年生は3年後には18歳で成人を迎えます。

将来、結婚するとかしないとか、子どもがいるとかいないとかは関係なく、社会の一員、大人として生きていく一人の人間として何か感じ取ってくれるものがあったらいいなと思っています」

体験授業の時間は、正味1時間弱ですが、この経験が生徒たちにもたらすものは、決して小さくはないようです。そして、それは参加している大人=ママパパたちにも言えること。

次回は、参加したママパパが感じたこと、体験授業を通して中学生に伝えたこと、教えられたことなどについてお伝えします。

取材・文・撮影/関口千鶴

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【脚注】
※1=「結婚と家族をめぐる基礎データ」内閣府男女共同参画局 令和3年7月8日

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まつだ たえこ

松田 妙子

Taeko Matsuda
NPO法人せたがや子育てネット代表理事

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事。1998年、自身の子育て中に赤ちゃんサロンを開催したのをきっかけに、2004年にNPO法人「せたがや子育てネット」を設立。 以後世田谷区を中心に子育て支援活動を行い、その活動は全国に及び、現在は、子育てひろばの全国組織「NPO法人子育てひろば全国連絡協議会」の理事も務める。せたがや子育てネットが主宰する「ぶりっじ@roka」は、子育てひろばのモデルケースとして全国から多くの視察者が訪れている。 ●NPO法人せたがや子育てネット

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事。1998年、自身の子育て中に赤ちゃんサロンを開催したのをきっかけに、2004年にNPO法人「せたがや子育てネット」を設立。 以後世田谷区を中心に子育て支援活動を行い、その活動は全国に及び、現在は、子育てひろばの全国組織「NPO法人子育てひろば全国連絡協議会」の理事も務める。せたがや子育てネットが主宰する「ぶりっじ@roka」は、子育てひろばのモデルケースとして全国から多くの視察者が訪れている。 ●NPO法人せたがや子育てネット

せきぐち ちづる

関口 千鶴

Sekiguchi Chizuru
編集者・ライター

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon