
我が子の「読書感想文」がレベルアップ! 「ふくらませ」「削り」「読み返し」の極意とは? 〔文章力養成講座の専門家〕が伝授する「親子インタビュー式読書感想文」
「親子インタビュー式読書感想文」松嶋有香さんが解説⑦ 教材:課題図書『ぼくの色、見つけた!』
2025.07.16
ゆか先生:「原稿用紙が埋まらないかも」と思っている方は、だらだらといろいろ書くよりも、1つのシーンをくわしく書いてある方が良いということに気づきましょう。そうすれば、恐怖心もなくなります。
私は長いこと、いろいろな作文をみてきましたが、今までの「感想ふくらませ」最高記録は、リレーでバトンを渡されるまでの1分間を原稿用紙3枚に書いたもの。手に汗握る名作でした。
【ステップ7:時間をおいて見直す、書き直す】音読すると間違いが見つかる!
──ようやく「読書感想文」を書き終わりましたが、ここで完成ではないんですね。
ゆか先生:そうです。書き上げっぱなしで終わりではなく、自分が書いた原稿を、1回読み直してみましょう。すると、書いているときには気づかなかったミスが見つかることがあります。
まずは、時間を置いて見直すこと。時間があれば、一晩寝かせてから見直すのがオススメです。誤字脱字だけではなく、言葉の順番やもっと表現を工夫したらよいところなど、読み直しながらよいアイデアが浮かぶかもしれません。
さらにおすすめするのが「音読」です。目で文字を追う「黙読」では気づけなかった、さまざまな間違いが見つかります。例えば一文の中に「の」がたくさん使われていると、読んでいてややこしい印象がありますよね。そのような文章は、耳から入る音で気づくことが多いのです。
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(例)
私の学校の友達の家族は、毎年旅行に行くそうです。
→私の同級生は、毎年家族旅行に行くそうです。
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ゆか先生:ほかにも主語が2つ以上ないか、文末の表現(「です、ます調」か「で、ある調」)がそろっているかなどをチェック。気づいたところがあったら、赤ペンで、直すところ、書き加えたい言葉などを書きこんでいきます。
次に自分がチェックした赤ペンの部分を書き直して「下書き」を完成させます。
──ステップ6で書く順番をきめましたが、実際に書いて読み直した結果「こっちの文を先にしたほうがいい」と思ったら、どうすればいいですか?
ゆか先生:文だけを動かすのではなく、その文を含めた段落ごと場所を移動させましょう。実はステップ3で作った質問シート1枚の内容が、そのまま1つの段落になるようになっています。「ちょっとだけ動かそう」と考えてやると、関連した内容が分散してしまい、結局なにを伝えたいのかわからない文章になって、もう一度頭から見直すハメになります。ですから、下書きのときに段落の順番を決めておきましょう。
ここでようやく、最後の清書です。下書きを見ながら、赤ペンの通りに書くだけ。
さあ、完成です!
あともう1つだけ、大切な親の仕事が残っていますので、最後まで読んでくださいね。
〔ゆか先生の体験例〕「カキマクル」の講座を受けた感想
●書店で3冊ほど本を買いましたが、真っ先に持ってきたのはドラえもんの本でした。ゆか先生のご指導がなければ、絶対「ほかのにしなさい。」といったと思いますが、何とか言わずに済みました。
この本は本当にお気に入りのようで、読書感想文を書くまでに何度も読んでいました。きっと、何度も読むことで考えが深まったのだと思います。子どもが気に入った本を買うことの大切さが、改めて分かりました。
●最初に本を選んだ時はどうやって書くか不安でしたか、それは親がただ不安なだけで、子どもは自分で選んだ本からたくさんのことを考え、きちんと言葉にしていました。
●先生の指導なく読書感想文を書いていたら、型にはめたやり方で書いていたと思います。改めて、自分がどう感じてどうしたいかなどを書くことが大事なのがわかりました。
●腰をすえて向き合わないといけないと、作業を始めてみてからわかった。まるで親の修行の時間かと感じた。
●「読書感想文があるんだったら、夏休みはない方がいい」というぐらい、夏休み前から読書感想文を嫌がっていたので、時間がかかるだろうと覚悟していました。ところが、いざ始まってみるとあっさりと一人で計画通り進めていました。計画書を自分で書く作業があり、それが娘の性格と合っていました。漠然と読書感想文の嫌なイメージが、計画書を作ることにより、具体化され、今日すべきことが明確になり、冷静に取りかかることができたのだと思います。
●「書くこと」に抵抗がなくなっていると思いました。心では抵抗があるのでしょうが、用紙を前にすれば、考える→下書きをする→用紙に書く、が自然にできるのです。
ゆか先生:最後に。「読書感想文」が完成したら、まずは子どもと自分をほめちぎってください。
「もういいよ」と子どもが照れるか「私って天才かも!」と調子に乗るまで、がんばったことをほめたたえましょう。人は、肯定され、認められたことは、「もう一度やってみよう!」という気になります。ましてや、親子でがんばったことは、子どもにとっても親にとってもかけがえのない「共通体験」になるはずです。
ぜひ、この喜びを体感してみてくださいね。
松嶋 有香
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」