
「不登校」の子どもと親に『パラレル登校』が良い理由 教育・不登校の実態を見続けた識者が説く「選択肢」
「おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)✕辻田寛明(ワオフル代表)」特別対談 前編 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.07.06
辻田寛明さん(以下敬称略):僕がオンライン家庭教師「夢中教室」を始めて6年半になります。夢中教室では、学校が合わなかった子どものオンライン伴走を1対1で行っています。おおたさんの著書『フリースクールという選択』(講談社+α新書)で取材を受けたオンラインフリースクール「夢中カレッジ」も運営しています。
僕はもともと東南アジアの貧困地域で貧困研究を進めていました。そのなかで日本の子どもたちが直面している生きづらさや、教育・社会の課題を強く感じることも多く、今の活動に至りました。
おおたとしまささん(以下敬称略):辻田さんにインタビューして、貧困研究の経験をとても興味深く感じました。僕もよく東南アジアの貧困地域へ行っているのですが、経済的に恵まれているはずの日本の子どもたちのほうが苦しそうに見える。
日本の教育のシステムそのものが間違っていないか? と感じることがあり、辻田さんの問題意識には強く共感しました。
「理想の教育」とは悪魔の誘惑
おおた:僕は「教育ジャーナリスト」という肩書で仕事をしています。自分が気になり、世の中の多くの保護者も気になっているであろう教育現場へ行き、何が行われているのかを観察し、文字化して伝えるのが仕事です。
不登校やフリースクールの専門家でもありません。中学受験の本もたくさん書いていますが、中学受験の専門家という意識もなく、いずれも僕は外側からの“観察者”として見ています。中学受験でいうと、塾の先生方が書いた本は内側から見た中学受験ですが、僕は外側から見ている視点が珍しい立ち位置なのかなと。
「観察者であって専門家ではない」という意味では、おこがましいですが『ファーブル昆虫記』のファーブルや『シートン動物記』のシートンと同じです。今の日本の教育現場で、子どもが育っていく現場を広く観察し、子どもの目がどんなときに輝くのかとかを言葉にしてきました。
これまで教育に関することをいろいろ取材してきましたが、やればやるほど、教育って何だろうとか、いい学校って何だろうといった考えが消えてくんですよ。「これには答えがない」となるんです。
辻田:「いい教育とは何か」という問いは、誰にとってのいい教育なのかが抜け落ちてしまいがちですね。
おおた:理想の教育とか、あるべき姿みたいなものを大人はつい追い求めたくなりますよね。しかし、それこそが悪魔の誘惑かもしれないと、現場を見るほどに感じています。
フリースクール探しには座標が必要
辻田:僕も取材を受けましたが、おおたさんの本『フリースクールという選択』について改めて教えてください。
おおた:この本では、オンラインを含めたフリースクール20ヵ所ほどを具体的に紹介しています。僕が各校に朝の登校から下校まで1日張り付いて、どんなことが行われているのかを見せてもらいルポにしました。さっき言った観察者の視点でです。
多くの人はフリースクールへ見学に行っても、どこに目をつけていいのか分からないと思うんですよ。
辻田:はい、確かに。
おおた:そこで僕が現場へ行き、これは象徴的だなとか、すごく意味があるなと感じたところをよりすぐって文章にし、解説を加えながら書いたのがこの本です。とはいえ、ガイドブックを書いたつもりではないのです。フリースクールという場所が、今の社会の中でどういう立ち位置なのか、どんな意味を持ってるのか、みたいなところを感じてもらえたら。
フリースクールとは規模や人数、運営主体を含めて本当に多種多様です。多様で雑多なだけに、いざフリースクールを選ぼうとしたとき、比較対象がないとさっぱりわからない。
どんなフリースクールがあるのか、この本を読むことで、座標軸が見えてきます。「A校はこういうタイプ」「B校はあっちのタイプ」と、フリースクール選びの比較基準ができたらいいなと書いた本です。
あと、文科省が指定する一般的な学校じゃない場をクローズアップしたことで、学校って何なんだっけ? みたいな逆説的な視点も得られるのではって思っています。
▼フリースクール「判断基準」の記事はこちら
辻田:僕たちも日々のオンラインフリースクールを運営する中で、多くの親御さんとお話しします。「リアルなフリースクールが合わなかった」「オンラインフリースクールを知っておき、ダメだったときのお守りにしたい」という声をよく聞きます。
おおたさんがおっしゃるとおり、たくさん選択肢があっても座標が分かってそれぞれを相対化しておかないと、何が子どもと自分にとっていいのかは選べないと思います。
おおた:僕自身も、今回取材するまで、フリースクールのフォーマットが頭の中にできてなかった。それなりに教育に詳しいはずの僕でさえそうなんだから、一般の方が分かるわけがない。いざお子さんが学校行かないってなったときにあわてて探し始め、そして困るってことは大いにありうるでしょうね。


































