
中2で「不登校」から公立大医学部「合格」 元野球少年の「壮大な紆余曲折」の本当の価値とは
不登校から小児精神科医を目指すまで 母親インタビュー最終回「手放した10の思い込み」/全6回 (4/4) 1ページ目に戻る
2026.08.04
教育ジャーナリスト:おおたとしまさ
医学部合格は現在の日本の学歴社会の最高峰の一つです。中学受験でトップクラスだった子どもが名門校で中高6年間を過ごし、虎の穴のような塾に通って努力を重ねても合格できるかどうかわからない最難関です。
そこに、もともと地方都市の公立中学で中の上くらいの成績で、しかも中2で不登校になりフリースクールを経て定時制高校夜間部に進んだ子でも合格できるという事実は、「不登校=学歴社会からの脱落」という図式を打ち崩してくれます。
しかし私は「不登校から医学部合格の下剋上! 不登校になってもいつでも元のレールに戻って“成功”できる」という、学歴神話、学校神話の延長線上にある話を紹介したかったわけではありません。
俊徳さんは、小児精神科医への道を選びました。さまざまな回り道を経て、幼いころのぼんやりとした憧れが、くっきりと自分の目標として目の前に像を結びました。回り道があったからこそ、本当に自分のやりたいことが明確になりました。
その経験がなければ、単に学歴社会の最高峰として医学部に憧れただけだったら、そこまでの努力はできず、医学部合格は叶わなかったかもしれません。
逆に、不登校という経験をしたからこそ、結果的に選んだ道が、学歴社会とはほとんど無関係の、ラッパーでも、子どもの居場所のスタッフでも、本人の満足感は変わらなかったはずです。孝子さんがいま感じている誇りも、変わらなかったはずです。
ここで改めて、不登校という経験を経て、孝子さんが手放した思い込みを振り返ってみましょう。
(1)「中学・高校の3年で人生が決まる」という思い込み
(2)「うちの子は不登校にならない」という思い込み
(3)「普通の高校生活」という思い込み
(4)「なんだかんだで成績は大事」という思い込み
(5)「親が学校に行かせなければならない」という思い込み
(6)「心配するのは愛情表現だ」という思い込み
(7)「学校に行かなくても勉強は必要」という思い込み
(8)「現実を教えるべき」という思い込み
(9)「居場所も進路も親が用意する」という思い込み
(10)「不登校が親子から多くを奪った」という思い込み
一つ一つ「思い込み」を手放したことによって、もともと自分たちの中にあったあふれんばかりの価値に気づき、覚悟を持ってそれを活かす生き方を選択できたのです。
「放てば手に満てり」。道元禅師の言葉です。
取材・文/おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)
●おおたとしまさPROFILE
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートから独立後、教育に関してさまざまな観点から取材を行い、著書は90冊以上。2026年5月に『フリースクールという選択』(講談社+α文庫)を上梓。どこの組織にも属さない在野の視点で現代の教育への考察・提言を続けている。メディアへの出演や講演も多数。
(Xアカウント:@toshimasaota)
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おおたとしまさ
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。