不登校児の親がやるべき子ども・学校・先生との向き合い方 小学校の「先生の先生」が解説

小学校現役教諭・庄子寛之先生と考える子どもの不登校 #3 社会の変化と親と学校の対応について

小学校教諭:庄子 寛之

年々減る子どもの数。どのようなことが起きているのでしょうか。  写真:アフロ

総務省統計局の発表によると、2022年4月1日現在における15歳未満の子どもの数は総人口に占める割合は11.7%の1465万人。過去最少、1982年から41年連続の減少となりました。6ポケットという言葉もあるとおり、子どもの数が減ったことで、1人の子どもに目や手をかけられる大人の数も増えていることになります。

しかし、一見幸せに見えるこの状況ですが、「これまでは放っておけたことでも気になり、つい口を出してしまって、ときには子どもを追い詰めてしまうこともある」と、小学校現役教諭・庄子寛之先生は言います。

3回目では、さまざまな社会変化があるなかで、親や学校はどう変わっていくべきなのかを、庄子先生と考えました。

(全3回の3回目。1回目を読む2回目を読む

庄子寛之
(しょうじ・ひろゆき)

東京都公立小学校指導教諭。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。

親は世間の常識に囚われず子どもを見守ること

──2回目で、子どもが不登校になっても、お父さんやお母さんは「のんびり構えていてほしい」と庄子先生はおっしゃっています。でも、親なら「子どものために」何かしたいと思ってしまうのですが。

庄子寛之先生(以下、庄子先生):気持ちはよくわかります。でも、親ができるのは見守ることくらいでしょう。

「周りの子がやっているから」とか、「親がやってほしい」からとかではなく、わが子をしっかり見て、その子に合うものを見つけてあげてください。そのときに世間の常識に囚われないことも大切ですね。

昔と違って子どもの数が減ったことで、目が届くようになりました。これまでは放っておけたことが、気になってつい口を出してしまう。でもだからこそ、子どもだからではなくて、一人の人として扱うことが大事なんだと思うんです。

もうひとつ、子どもが学校に行かないと、どうしても優しくしすぎたり、逆に厳しくしすぎたりしがちです。しかし、子どもだって放っておいてほしいときもあるでしょう。心配かもしれませんが、寄り添いすぎないことも、ときには必要なのかもしれません。

子どもと接するときに、親が気をつけるべき3つのこと

●世間の常識に囚われず子どもを見守る
●子どもだからではなく、一人の人として扱う
●寄り添いすぎない

譲れないことだけは学校にしっかり提案する

──学校や先生と接するときはどんなことに気をつければいいですか?

庄子先生:まずは学校と戦わないということです。心の中では「ナニクソ!」と思うことがあるかもしれませんが、公立学校であれば、翌年は担任が変わる可能性もある。いったんは、年度末の3月までの辛抱になります。クラス替えがあれば、また状況も変わりますから。

決して口を出すな、ということではなくて、大切なお子さんを預けている学校なのですから、戦いすぎないことを前提にしつつ、相手のことも尊重しながら、譲れないことはしっかり提案していくことが必要だと思います。

──親の考えが変わらなくてはいけないということは理解できました。でも社会の変化に合わせて、学校も変わる時期が来ているのではないでしょうか?

庄子先生:最近は、生徒ひとりに1台ずつタブレット端末が貸与されていますから、学校に来ない子どもともオンラインでつながることができます。だから不登校の子も、学校の様子や情報がわかっています。

また、学校には来られなくても、校外学習には来られる子がいます。周りの子の視線が気になるなら、「校外学習に行きたくない」と思うのでは? と考えるところですが、学校に行きたくない理由は友達との関係ではなくて、教室に座って授業を受けることが苦痛だからという子も増えてきているように感じます。

これまでのように、生徒の前に黒板があって、先生1人で何十人の児童を教えることは、そろそろ限界だと感じています。30人を1人の先生で見るより、60人を2人の先生で見たほうが子どもの学びは確実に深くなりますから、これからは学級担任というより学年担任くらいにしたほうがいいのかもしれないと私は思っています。

もうひとつ、一斉に授業をするより、一人ひとりが個別に端末を使って、AIドリルをやっていたほうが確実に学力は付くと思います。もしそうなったとき、教師に必要な力は、「真剣に勉強していてえらいね」、「こんなところまでやれているんだ」など、子どもの様子を見ながら声をかけていくような力なのだと思っています。

少なくとも、これからはよく教える力のティーチング能力より、一人ひとりをよりよく見るための力のコーチング能力や、カウンセリング能力、もしくはファシリテート能力が必要になっていくのだと思います。

──先生の役割も大きく変わっていく必要があるということですね。

庄子先生:もちろん、読む、書く、計算するなどの学習の基礎は教える必要はあります。しかし、子どもたちが私たち教師の理解を超えた答えを出してきたときに、「それはあり得ないでしょう」ではなく、「もしかしたらそういうこともあり得るかもしれない」という観点をもてるかどうかだと思います。

例えば、小さい子のお絵かきで、実際にはあり得ない場所に頭を描いたりすることなど、ありませんか? そんなときも、「あり得ない」ではなくて、「それも正解かもしれない」と面白がれるかどうかが大切です。

時代の変化が激しい今だからこそ、学校は新しい発想を生み出せる子どもたちを育てていく場に変わらなければいけないでしょうし、教育を変えることで、社会を変えていくフェーズに来ているのかなと思っています。

───◆─────◆───

小学校現役教諭の庄子寛之先生と3回にわたって、コロナ禍の子どもの不登校の状況や原因、子どもや学校と接するときに親が気をつけるべきこと、これからの学校の在り方などを考えてきました。

私たち大人が、子どもだったころとは明らかに世界も社会の状況も変わっています。庄子先生と話しているうちに、「私たちが子どものころはこうだった」、「社会に出るためにこうしなければいけない」などという固定観念に縛られている自分に気がつきました。
   
変化し続ける社会において、過去の固定観念に縛られることなく、子どもたちに目を向けることから始めてみようと思います。10年後、20年後、今の子どもたちが大人になったころ、どんな世界が広がっていくのかが楽しみです。

取材・文/米谷美恵

庄子先生の連載は全3回。
1回目を読む。
2回目を読む。

庄子寛之
(しょうじ・ひろゆき)

東京都公立小学校指導教諭。大学院にて臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。
元女子ラクロス日本代表監督の顔も持ち、2019年、U-19日本代表監督として日本ラクロス史上トップタイの世界大会5位入賞を果たす。著書に『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)他

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しょうじ ひろゆき

庄子 寛之

小学校教諭

東京都公立小学校指導教諭。大学院にて臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」と...