
子どもの「読書感想文」は【親子インタビュー式読書感想文】で克服! 「感想インタビュー」「質問シートの整理」とは?〔文章力養成講座の専門家〕がわかりやすく解説
「親子インタビュー式読書感想文」松嶋有香さんが解説⑥ 教材:課題図書『ぼくの色、見つけた!』
2025.07.15
ゆか先生:子どもにインタビューをする時に重要なのは、座り方です。
──えっ、座り方が読書感想文に関係あるのですか?
ゆか先生:どちらかというと、子どもに話を聞くときの「姿勢」ですね。まずは、親と子は同じ方向を向くように、隣に並んで座ってください。同じ方向を向くと、ふしぎなことに子どもを問いつめる行動が激減します。
並んで座ったら、ふせんにページ数が書いてあることを確認してからはがして、紙に貼っていきます。ふせん1枚につき紙1枚(1ページ)を使うので、ふせんが3枚だったら、紙(ページ)も3枚になります。
そうしたら親も、本のふせんが貼られた部分を読んで、子どもに質問していきましょう。キーワードは次の3つです。
親
「なんで、ここで感動したの?」
「どうして、そこが気になるの?」
「もし自分だったらどうする?」
ゆか先生:子どもが2〜4歳ごろに、「なんで」「どうして」と質問攻めにあったことはありませんか? あのころのかわいい我が子とのやりとりを思い出しながら、今度は逆に親が「なんで」「どうして」と聞いてみましょう。聞かれた子どもは、一生懸命答えを考えます。その考える時間こそが「自分の心と対話する時間」になるのです。
注意することは、思ったような答えが子どもから返ってこないからと、問い詰めるような雰囲気になってしまわないようにすること、親の考えに沿うように誘導してしまうことです。このインタビューは、正しい答えを出すためでも、子どもの考えを注意するためでもありませんので、親もかなり気をつける必要があります。
例えば、「寂しくなった」という子どものメモに対して、「それは、ひとりぼっちで寂しいのかな?」と言葉で補足するのはアリです。でも「それは寂しいじゃなくて、○○だったんじゃない」という、親の意見の押しつけはナシです。

ゆか先生:コツは、「大好きでたまらない“推し”になら、なにを言われても全肯定」という気持ちで、子どもの感想をきくことです。会話が弾んだところが、子どもが一番言いたいところ。子どもの声に耳を傾けて、驚いたり笑ったりしながら、会話を楽しんでください。
メモもしっかり取りましょう。小学校低学年の子は親が、自分でメモが取れる子は、自分で書いてもよいです。また高学年の場合は自問自答できる可能性がありますので、「自分だけでやりたい」と言った場合は、ぜひトライさせてください。
インタビューのメモのできあがりは、こんなイメージです。

ゆか先生:メモには、子どもが言ったことは全部書き留めておきましょう。聞いていて「関係ないかも?」と思ったとことでも、子どもが口に出したということは、なにかしら意味があるからです。親の勝手な判断で、割愛しないでくださいね。
また、自分の思いを言葉に変換するのに時間がかかる子もいます。そういう子は時間をとって、優しく、質問を繰り返していきましょう。疲れてきたら、甘いものでも食べてリフレッシュ! どうしても無理なら、時間を置きましょう。寝た方が良い時もありますので、無理しなくてもだいじょうぶです。
そしてこの段階では、完璧な文章を目指さなくてもよいです。あふれる言葉を、どんどん書き留めてください。もしも話がネガティブな方向に向かってしまっても、子どもがきちんと自分の気持ちに向き合おうとしている証拠なので、大丈夫。子どもの感情を丸ごと、親が受け止めてあげてください。
〔ゆか先生の体験例〕インタビューをしたときの子どもの変化
「ちゃんと子どもの話を引き出せるかな?」と心配な方もいるでしょう。でも子どもときちんと向き合って話すだけでも、子どもにいろんな変化が起きます。講座を受けた方の感想がこちらです。
●書いてある答えが単純でがっかりしましたが、そこからさらに聞くと、ちゃんと子ども自身が思っていることが出てきました。
●最初「なんでこんなに質問ばかりするの?」と非常にめんどうがっていましたが、やり進めるうちに、答えながら、「そうそう、それとね!」など、言いたかったことを思い出してふくらませることが出てきて、スムーズになりました。