子どもに災いする親の有能さ…最強塾講師が「親は人間臭いヒーローたれ」と断言

余白のある親でOK!【自分で考えて行動できる子になる子育て #3】

思考力を高めるもうひとつのコツ

子どもに見本を示したいことに「要約」もあると須合先生は話します。

「ここで間違えないでほしいのが、親御さんにやっていただきたいのは『省略』ではなく『要約』です。省略は文章や手続きの一部を省くことですが、要約は要点をまとめることを指します。

日常会話の中で、子どもの話を『つまり、○○ということかな』と親御さんがまとめてあげてください。

これを日常に取り入れると、たとえば国語のテストの場合、特に長文では問題を正確に理解するスキルになり、文章を正しく組み立てることは条件整理の力にもつながっていきます」(須合先生)

要約は「てにをは」をしっかりと使い、SV(主述の関係)もしっかりと組み立てて伝えることもポイントです。

また、親御さんのまとめが子どものいいたかったことと合っていれば、子どもから「そう! そう!」とリアクションが起こって、親子間の会話が親密になるという側面も生まれます。

子どもから「そう! そう!」のリアクションがもらえる要約をしてみましょう。 写真:アフロ

親の有能さが子どもに災いする

「子どもの自律的な行動姿勢のベースともなる、4つの力の最後は行動力です。やる気とも言い換えられ、この力は人と交流して、人のために動く・働く力を生み出します。育むコツとしては、まずは親御さんが焦らないことです。

子どもという一本の木を育てていると思って、じっくりと子どもに付き合ってください。私は子どもの成長にはスピードが時として邪魔になると考えています。

親御さんは子どもよりも先を見通せて、何事にも的確にすばやく対応できますが、子どもの行動や言葉がもどかしいからといって先まわりしたり、口出しや手出ししたりするのは子どもの自律性を阻みます。

第1回(#1を読む)でもお話ししましたが、親は完璧でも有能でもなくて構いません。子どもにとって親はヒーローですが、人間臭くてといいと私は思っています」(須合先生)

子どもの行動力を育てるには、子どもに委ねた時間をつくることも大切だと先生はいいます。たとえば、学校から帰ってきた我が子に「学校おもしろかった?」と聞く親は多いものです。

しかしここはその聞き方ではなく、「学校はどうだった?」「今日は学校で何があったの?」と子どもが自分で考えて答える方向が正解。

「学校おもしろかった?」という質問は、実は「学校はおもしろい」という押しつけの答えを導いている傾向があるからです。

自分で考えて、自分の答えを責任を持って伝えることが、人との交流起点となり、人のために自ら動いていく行動力の原動力となっていきます。

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