子どもに災いする親の有能さ…最強塾講師が「親は人間臭いヒーローたれ」と断言
余白のある親でOK!【自分で考えて行動できる子になる子育て #3】
2024.02.02
勉強も生活も、我が子には「自分で考えて行動できる子」になってほしい親は願います。しかし、そう思って注意をしても、何度となく繰り返される悪習慣に、ほとほと困っているという親御さんは多いものです。
中学受験合格率100%というだけでなく、高校・大学入試の最強サポート塾の経営者・講師である須合啓先生は、生活習慣から学習習慣まで、親御さんの細かなアドバイスを行っている教育者です。
教員生活25年以上のキャリアから培った、子どもの自律的な行動姿勢を育む子育て法を教えていただきます(全4回の3回目、#1、#2を読む)。
◆須合 啓(すごう けい)
学習塾STUDY HOUSE代表。
20歳から塾講師をスタートさせ、その後は埼玉県の公立高校に12年間勤務する。2015年、地元・秋田県に学習塾を開校し、子どもたちの指導にあたる。教員としてのキャリアは25年以上。中学受験では3年連続合格率100%、高校・大学受験でも県内トップや難関大学合格へ導く。塾では親御さんと密にコミュニケーションをとりながら、子どもの勉強と生活の両面を支援し、自律性を引き出す指導を行っている。
【自分で考えて行動できる子になる子育て:第1回 第2回 第4回を読む】
※公開日までリンク無効
目次
思考力を育てるカギとは?
第1回で親の《意識、言葉、行動》を変えること(#1を読む)のアドバイスを、第2回で子どもの自律的な行動姿勢のベースになる4つの力を育む大切さと、自己肯定感、共感力の高め方を紹介しました(#2を読む)。
「4つの力の残りは、思考力と行動力です。まずは思考力の高め方から解説しましょう。
思考力とは、『何かを考えている自分』のことを冷静に見つめられる力のことです。これは自ら課題を発見して解決や修正につなげていく姿勢に発展していきます。
『何かを考えている自分』は『メタ認知』と呼ばれており、この力が育つと自分と周囲を俯瞰して見ることができるようになって、『なぜ』『どうして』を常に探れるようになります。
『なぜ』『どうして』と疑問を持つことは、学力にも通じる力です。
思考力が高まることでもたらされる学力面でのメリット
① 文章理解力
→何が問われているかわかる力
② 条件整理力
→問題を解くきっかけ、関連を発見する力
③ 資料分析力
→図表、数字から物事を読みとる力
④ 推理力
→主張のための理由・根拠をもつ力
⑤ 規則発見力
→隠されたルールや手順、型を読み解く力
大学入試問題が記述化するのに伴って、中学や高校入試でも記述式の問題が増え、親御さんの時代よりもはるかにテストは難しくなっています。
問題では何が問われ、どう読み解き、どう答えるかが求められますから、親御さんが日常生活の中で子どもの思考力が育つような接し方をすることが大切です」(須合先生)
𠮟り方を見直すと子どもの思考力は高まる!?
子どもを𠮟る際は、「~しなさい」「やめなさい」という結論を相手に強いることが多いものですが、この𠮟り方には注意が必要だと須合先生は指摘します。
「『ダメといったらダメ!』という頭ごなしの𠮟りなど、相手に強いる矯正法では理由を考えようとする姿勢を奪います。理由は文脈であり、読み解く力を養うきっかけです。
親御さんが感情にまかせない𠮟り方をするためにも、まずはご自身に『なぜ』『どうして?』と自問するクセをつけましょう。テレビのニュースを見たときや家族から投げかけられた言葉、ご自身の発言でもなんでも構いません。
否定から入るのではなく、『これはどうしてなのかな?』と考えて、理由を見つける習慣をつけてみてください」(須合先生)
立ち止まる習慣が身につくと、子どもを𠮟る前にも一拍置くことができ、冷静に注意することができます。
親が自問自答している姿は、子どもの思考パターンにも染みていき、「なぜ」「どうして」を常に探る姿勢になっていきます。
思考力には、時間と空間の整理整頓力も必要
思考力を高めるには、「時間と空間の整理整頓」も忘れてはいけません。時間にルーズで部屋も机の上もぐちゃぐちゃでは、ものを考える前に「考え始める」ことさえできないからです。
須合先生の塾では、勉強を始める前に、鉛筆や消しゴムなど、どの場所に何を置くかということから指導しています。また、その向きまで整え、定規、コンパスなど、使いやすい順番に置くことも子どもたちに教えています。
ご家庭では親御さんが、時間を守り、何かを始める際にはしっかりと準備するという「時間と空間の整理整頓」の見本を見せてあげてください。勉強に限らず、何かを始められる人だけが何かを成し遂げられます。