「勉強しなさい!」「片づけなさい!」ガミガミ𠮟りから卒業するために親がやるべきこと

これでもう子どもを𠮟らなくてもいい!【自分で考えて行動できる子になる子育て #2】

ガミガミ𠮟りから卒業するコツは、子どもに4つの力を育むことです。 写真:アフロ

文部科学省が行っている「全国学力・学習状況調査」で毎年トップクラスの成績をおさめている秋田県で塾を経営し、生活習慣から学習習慣まで細かな指導を行っている須合啓先生。

子ども本人だけでなく、頻繁に親御さんともコミュニケーションをとり、寄せられる悩みにアドバイスして、子どもの自律的な行動姿勢を育む支援をしています。

教員生活25年以上のキャリアから培った「自分で考えて、行動できる習慣を子どもに育む方法」を教えていただきます(全4回の2回目、#1を読む)。

◆須合 啓(すごう けい)
学習塾STUDY HOUSE代表。
20歳から塾講師をスタートさせ、その後は埼玉県の公立高校に12年間勤務する。2015年、地元・秋田県に学習塾を開校し、子どもたちの指導にあたる。教員としてのキャリアは25年以上。中学受験では3年連続合格率100%、高校・大学受験でも県内トップや難関大学合格へ導く。塾では親御さんと密にコミュニケーションをとりながら、子どもの勉強と生活の両面を支援し、自律性を引き出す指導を行っている。

【自分で考えて行動できる子になる子育て:第1回 第3回 第4回を読む】
※公開日までリンク無効

主体的で積極的な子になるポイントは「4つの力」

勉強も生活も、「自分で考えて行動できる子」になってほしいと親は願います。

それに対して須合先生は、子どもに変化を望むのなら、まずは親の《意識、言葉、行動》を変えることからスタートするべきだと第1回(#1を読む)でアドバイスしてくださいました。

では、次のステップでは何をしていけばいいのでしょうか。

「親御さんがご自身の《意識、言葉、行動》を変える心構えができたら、次は子どもに4つの力が育むように声かけなどをしていきます。

『主体的で積極的な子』になる子育てというと、子どもの興味関心や好きを尊重してあげることが先立ちます。しかし私はそれと同時に、4つの力が子どもの根底にあることが重要だと思っています」(須合先生)

自分で考えて行動できる子に必要な4つの力

① 自分を愛する力(自己肯定感)

=自分を認め、愛せる力のこと。

② 共感力
=他人の気持ちを感じとり、良好なコミュニケーションを生む力のこと。

③ 思考力
=「何かを考えている自分」のことを冷静に見つめられる力のこと。

④ 行動力
=他人と交流し、他人のために働く力のこと。

これらは子どもが将来、社会生活を営むうえでも重要な要素です。いくら勉強ができて成績が良かったとしても、社会では人と人が互いに助け合って生きていかねばなりません。

4つの力を築くことは、子どもの自律的な行動姿勢だけでなく、人としての成長も押し上げていきます。

自分を愛する力を育む方法「いいところ発表会」

「では、ここからは具体的に、子どもの自己肯定感が自然と高まっていくコツについて話していきましょう。これは入塾希望の小学生のお子さんをお持ちの親御さんや、セミナー参加者にも伝えていることです。

無条件で我が子に愛情を注ぎ、子どものいいところを言葉で伝えてあげてください。

伝えることを私は『いいところ発表会』と呼んでおり、実施するポイントは次のとおりです。

寝る前に
音のない空間で
子どものいいところを発表する


いいところは他愛のないことで全然、構いません。『お弁当を残さず食べてきてくれて、ありがとうね』『帰ってきたら何もいわなくても手を洗ってくれて、ありがとうね』などでOKです。

どんな些細なことでもいいので、子どもの様子を観察して、できたことを言葉で届けてあげましょう。

その言葉が『自分にはそんなすごいところがあるんだ』という子どもの自信となり、前向きな行動のエネルギーになっていきます」(須合先生)

子育ての中で多くの親御さんが子どもの短所はすぐに口に出してしまうのに、いい部分に関しては言葉で伝えていないことが多いものです。

しかし、あえて言語化することが重要。実はこれは小学生だけでなく、中学生にも効果があり、「受験が成功している親御さんの子育てを拝見していると、言葉が達者というか、しっかりと言葉で伝えている姿が見受けられます」と先生は加えます。

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