藤本美貴さんが自分の娘に『にじいろの さかな』を選んだ理由とは?

絵本『にじいろの さかな』刊行30周年記念インタビュー 前編 (2/2) 1ページ目に戻る

本屋さんで見つけてビジュアル買いした『にじいろの さかな』

『にじいろの さかな』
マーカス・フィスター(作) 谷川俊太郎(訳)
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──藤本さんがこの絵本に出会ったきっかけを教えていただけますか。

このキラキラした表紙に惹かれて、本屋さんで手に取ったんです。長女が幼稚園児だったころかな、本屋さんで、ベストセラーを紹介するようなコーナーに置いてあって、私がひとめ惚れ。パラパラとめくってみると中のページもきれいだし、間違いなく娘も好きだろうなって。

──物語についてはどう思われましたか。

すごく分かりやすいお話なのがいいと思いました。主人公だけが持っているキラキラした特別な鱗を、欲しがる他の魚に分けてあげなかったら、ひとりぼっちになってしまうんですよ。「ぼくはこんなにきれいなのに、どうしてだれにもすきになってもらえないんだろう」と悩むセリフが出てきて、人間の、特に小さい子どもの世界にも、同じような場面があるなと思って。

──娘さんに読み聞かせたときの反応は覚えてますか。

正直、子どもって深い反応はしなくないですか!?(笑) だから私が感想を代弁して、「わあ、キラキラできれいだね~!」「え、キラキラひとつもあげないんだって。それはひどいね」なんて話しながら読み進めています。

──お子さんたちが「これは私のもの!」と言って、お友だちに譲れないことで悩まれたことがあったのでしょうか。

それはあまりないかな。基本的に、お友だちに貸せないものは保育園や公園に持っていかない。外出するときにおもちゃを持っていきたがったら、「(お友達に)貸せるのね?」って確認しています。それで、誰にも触られたくないものは家に置いておこうか、と。でも、きょうだいではずっとおもちゃの取り合いで喧嘩していましたね(笑)。

──この物語には、ひとりじめしてしまう子どもの気持ちの代弁や、どうやったらみんなと仲良くできるかというヒントが描かれています。そういった絵本の教育的なメッセージも、読み聞かせの際にお子さんに聞かせますか。

メッセージは伝えたいんだけど、伝え方としては「だから、大切にしているものもお友だちに貸してあげなさい」ではなくて、「うわあ~! お友だちにキラキラを分けてあげて、みんなで泳いでいるほうが楽しそうだね~」と感想として聞かせて、「そうだね~」と答えるような流れかな。

絵本ってそれぞれに伝えたいことが詰まっているじゃないですか。ああしなさい、こうしなさい、と言うよりも、お話を読みながら、生きていく上でリアルな、大切なことを知ることができるのがいいなと思って、絵本の読み聞かせをしています。
インタビュー・文/小和野薫子
撮影/阿部ちづる(LOVABLE)
ヘアメイク/太田年哉(マロンブランド)
スタイリスト/河西真弓
インタビュー後編では、シリーズ全9巻のおすすめポイントを語っていただきました!
「ハロー! ミキティチャンネル」でも『にじいろの さかな』をご紹介いただいていました。
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マーカス・フィスター

Marcus Pfister
絵本作家

1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。 おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろの さかな」シリーズなどがある。 1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろの さかな』をはじめとする「にじいろの さかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。 HP:http://www.marcuspfister.ch/

1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。 おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろの さかな」シリーズなどがある。 1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろの さかな』をはじめとする「にじいろの さかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。 HP:http://www.marcuspfister.ch/

たにかわ しゅんたろう

谷川 俊太郎

Shuntaro Tanikawa
詩人

1931年、東京に生まれる。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(東京創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳、作詞など幅広く活躍。1962年には「月火水木金土日のうた」で第4回日本レコード大賞作詞賞を、また1975年には『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞を受賞している。1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞ほか、受賞多数。 絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これは のみの ぴこ』(サンリード)、『もこ もこもこ』(文研出版)、『まり』(クレヨンハウス)、『わたし』(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。『スイミー─ちいさな かしこい さかなの はなし─』(作:レオ゠レオニ、好学社)や「にじいろのさかな」シリーズ(作・絵:マーカス・フィスター、講談社)など、翻訳作品も多数。 写真:所靖子(絵本ナビ)

1931年、東京に生まれる。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(東京創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳、作詞など幅広く活躍。1962年には「月火水木金土日のうた」で第4回日本レコード大賞作詞賞を、また1975年には『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞を受賞している。1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞ほか、受賞多数。 絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これは のみの ぴこ』(サンリード)、『もこ もこもこ』(文研出版)、『まり』(クレヨンハウス)、『わたし』(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。『スイミー─ちいさな かしこい さかなの はなし─』(作:レオ゠レオニ、好学社)や「にじいろのさかな」シリーズ(作・絵:マーカス・フィスター、講談社)など、翻訳作品も多数。 写真:所靖子(絵本ナビ)