
キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!![]()
「まよなかのせおよぎ」……絵とタイトルからして夢なのか? ファンタジーなのか? 不思議な世界観が感じられます。静かな時の流れの中で、ふわふわした優しい気持ちにしてくれる絵本です。
作:近藤未奈 講談社
……そんな時ありますよね、ふぅ。

『まよなかのせおよぎ』より
窓の外に、なにかを発見。
ゆっくりと間をあけて……、次の「およいでる!」の驚きが引き立つように読みます。
「ねえ、まって」 「えっほ えっほ」 「まって まって」 「ねえ、どこまで いくの?」
ここは、あわてて追いかけるように、そして問いかけるように読むといいですね。

『まよなかのせおよぎ』より
「あぶない! そっちに いくと ぶつかっちゃう!」
ここは、ちょっとあせった感じで……。
「あっ、くるっと まわった……」 「かべを けった……」 「また まわった! また けった!」
背泳ぎさんに魅了されていく女の子。少しずつ高揚感を高めていきます。
そして、感嘆のことば!
「わぁ~……!」
いつの間にか、女の子自身も宙に浮かんで…
「……あれ?」
驚いた様子を表現してみましょう。
「およいでるー!」
ここでは感動もMAX! ここの「およいでるー!」は、文字も大きく書かれていますので、少し大きな声で読んで感動を表現してみましょう。
そして、ちょっぴり緊張感をもって、
「おっと、あぶない きを つけなくっちゃ」 「みつからないように そーっとね」
少し声をひそめて読みます。

「おーい おきて! みんな いっしょに およがない?」
だんだんに背泳ぎを楽しんでいる女の子、そして…、優越感いっぱいに、
「ほら、できた!」
自分以外のだれかも夜空を泳いでいるのかもと、思いをはせるように、
「ひょっとしたら、どこかで だれかも」 「およいでいるのかな」
女の子が真夜中の空をゆったりと泳いでいる感じを表すように、ゆっくり読んで、じっくり絵を見せてあげてください。
ここからは、さらにゆっくりと間をとって読みます。
「あれ、 なんだか とっても」 「ふわぁ」 「……」
背泳ぎさんに連れられていく女の子。
テキストのないページも、しっかりと絵を見せてあげてください。
やがて、女の子は自分のベッドへ…。寝言のように
「ねえ、こんどは どこに いく……?」
眠れましたね……。
繊細な描写がとても素敵な絵本ですが、大勢の子どもたちへの読み聞かせでは、遠目だとわかりにくいページがあるかもしれません。
でも、大げさな表現はいりません。女の子の表情がとても豊かに、その時々の感情や状況を物語っていますので、読み手も女の子の気持ちになって読んでみてください。
聞き手にも、真夜中の空をゆったりと背泳ぎしているような、この浮遊感を味わってもらえたらいいですね。
●今回読んだ本
作:近藤未奈 講談社
●プラス1冊
作:高橋和枝 講談社
本とあそぼう 全国訪問おはなし隊
たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai
たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai