【1分で読める】医学に役だつX線を発明したヴィルヘルム゠レントゲン

『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』1話(レントゲン)試し読み

絵:なかざわくみこ
日本の医学は、1774年に杉田玄白と前野良沢が『解体新書』を翻訳したことで、大きく進展しました。

その約100年後、世界中の病気やけがの治療に役立つきっかけをつくったのが、「レントゲン(X線)」の発明です。
そんなレントゲンを発明したのは、たった一人の学者「ヴィルヘルム゠レントゲン」でした。

シリーズ累計74万部を超える、ロングベストセラーを全面改訂した、最新の科学伝記『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社)から、ヴィルヘルム゠レントゲンの生涯を紹介します。

ヴィルヘルム゠レントゲン

みなさんは病院などで「レントゲン写真」をとったことがありますか?

「息をとめて──はい、そのまま! ……」
という、あれですね。

レントゲン写真のさつえいには、からだのなかをうつせる、とくべつな光線(X線)が使われます。その光線を発見したのが、ヴィルヘルム゠レントゲン博士。ドイツの物理学者です。

1895年のある日。レントゲンは、つとめていた大学の実験室にやってきました。

今日は、空気がないところに電気を流すと、何が起きるか、調べるつもりなのです。

実験に使うのは、まわりを黒いボール紙でおおった管と、1まいの蛍光紙。表面に蛍光塗料をぬった紙です。

レントゲンは、実験室をまっ暗にすると、管に電気を流しました。

10秒、20秒──管のなかの空気がすべてぬけました。すると、管の先におかれていた蛍光紙の上に、細い線が、すうっと1本、あらわれたのです。

「光だ! 管のなかから光がでた! でも、どんな光だろう?」

レントゲンは、紙に手をのばし、あっと声をあげました。

紙の上には、レントゲンの手の骨が、くっきりとうつっていたのです。

「いったい、どういう光だ?」

こんどは、紙をもっと遠くにおいて、実験しました。おくさんや友だちの手の骨も、うつることをたしかめました。

レントゲンは、その光線を「X線(何だか、わからない光)」と名づけ、発表しました。

からだのなかをうつしだせる光線が、見つかったのです。おかげで、多くのけがや病気をなおすことができるようになりました。世界じゅうが、大よろこびです。

レントゲン博士は1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。

文:岡田好惠

(この記事は『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』をもとに構成しました)
『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社) 
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ようじとしょへんしゅうぶ

幼児図書編集部

絵本をつくっている編集部です。コクリコでは、新刊の紹介や作家さんのインタビュー、イベントのご案内など、たのしい情報をおとどけします! Instagram : @ehon.kodansha Twitter : @kodansha_ehon

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