【1分で読める】医学に役だつX線を発明したヴィルヘルム゠レントゲン
『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』1話(レントゲン)試し読み
2022.11.11
その約100年後、世界中の病気やけがの治療に役立つきっかけをつくったのが、「レントゲン(X線)」の発明です。
そんなレントゲンを発明したのは、たった一人の学者「ヴィルヘルム゠レントゲン」でした。
シリーズ累計74万部を超える、ロングベストセラーを全面改訂した、最新の科学伝記『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社)から、ヴィルヘルム゠レントゲンの生涯を紹介します。
ヴィルヘルム゠レントゲン
「息をとめて──はい、そのまま! ……」
という、あれですね。
レントゲン写真のさつえいには、からだのなかをうつせる、とくべつな光線(X線)が使われます。その光線を発見したのが、ヴィルヘルム゠レントゲン博士。ドイツの物理学者です。
1895年のある日。レントゲンは、つとめていた大学の実験室にやってきました。
今日は、空気がないところに電気を流すと、何が起きるか、調べるつもりなのです。
実験に使うのは、まわりを黒いボール紙でおおった管と、1まいの蛍光紙。表面に蛍光塗料をぬった紙です。
レントゲンは、実験室をまっ暗にすると、管に電気を流しました。
10秒、20秒──管のなかの空気がすべてぬけました。すると、管の先におかれていた蛍光紙の上に、細い線が、すうっと1本、あらわれたのです。
「光だ! 管のなかから光がでた! でも、どんな光だろう?」
レントゲンは、紙に手をのばし、あっと声をあげました。
紙の上には、レントゲンの手の骨が、くっきりとうつっていたのです。
「いったい、どういう光だ?」
こんどは、紙をもっと遠くにおいて、実験しました。おくさんや友だちの手の骨も、うつることをたしかめました。
レントゲンは、その光線を「X線(何だか、わからない光)」と名づけ、発表しました。
からだのなかをうつしだせる光線が、見つかったのです。おかげで、多くのけがや病気をなおすことができるようになりました。世界じゅうが、大よろこびです。
レントゲン博士は1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。
文:岡田好惠
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幼児図書編集部
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