親は必読!小学生の家庭学習は「学びを日常生活につなげる」のがカギ

子どもの「やりたい!」を引き出す家庭学習のヒント#1

高村 ミチカ

コロナ禍で家庭学習の機会が増えたことで、悩んでいるお家の方も多いのではないでしょうか。

「勉強をさせなきゃ」と思うあまり、ついイライラしてしまい、子どもとの関係が悪くなってしまったという話も聞きます。

そこで今回は、元小学校教員で現在オンライン相談サービス「ウチのこは」で相談員を務める高村ミチカさんが、家庭学習のお悩みに答えます。子どもの「やりたい」を引き出す家庭学習のヒントを全4回でご紹介します。

第1回は、「子どもの学びをサポートするために大切なこと」についてお話します。(全4回の1回目/#2#3#4を読む)

家庭学習ってそもそも何のためにするの?

「家庭学習」への関わり方は、親もどうするのが正解か、わからないことが多いものです。
写真:アフロ

「家庭学習」とは、文字通り、子どもが学校から帰宅して家庭で行う学習のことを指します。もちろん、学校から出される宿題も家庭学習のひとつ。

家庭学習の役割は大きく分けて2つあります。

まずは、「知識や技能を定着させる」という役割。これには、漢字を覚えたり、計算を速く解いたりすることが当てはまります。

宿題もこの役割であることが多いもの。授業では、繰り返し練習する時間が足りなかったり、個別の課題に対応できていなかったりする場合があるので、それを補うために行います。

次に「学びを日常生活につなげる」役割。教科ごとの知識を丸暗記したり、繰り返しの訓練で技能を高めたりしているだけでは、本当に学力が身についたとは言えません。様々な場面で活用されることで知識が体系化されたり、技能が熟達したりするからです。

つまり、教科の枠組みを超えて、知識・技能を活用する場面が大切なのです。

大人はつい、ひとつ目の「知識・技能を定着させる」ことばかりに目が行きがちです。しかし、「こんなことも覚えてないの」「なんでできないの」などと言われていると、子どもの学習意欲は一気に低下してしまいます。

そんな時は、2つ目の「学びを日常生活につなげる」ことも意識してみてください。

たとえば、漢字の書き取りに飽き飽きしているようなら、新聞から習った漢字を探したり、習った漢字を使って手紙を書いたりするなどの活用の場面をつくるといいでしょう。ゲーム感覚で親子一緒に楽しむのも盛り上がります。

「やらされている」から「やりたい」へ

親の悩みの多くは、「自分から勉強をしてくれないこと」にあります。言いたくないのに、「勉強しなさい」「宿題やったの」と声をかけなきゃいけない、と嘆きの声をよく聞きます。

では、どうやったら子どもの意識は「やらされている」から「やりたい」に変わるのでしょうか。

まず始めにやってほしいことは、学習をする目標をつくることです。

例えば、漢字の書き取りの宿題が出たとします。何も目標がないまま、ただ同じ漢字を何回も書き写す作業は、正直楽しいものではありません。とにかく漢字を書こうという意識では、「やらされている」状態になってしまいます。

そこで、仮に「漢字テストで100点をとろう」という目標があったらどうでしょう。すると、「この漢字は苦手だから、たくさん練習しよう」とか「ここが間違えやすいから気をつけよう」といった学習を調整する力が働きます。この学習を調整する力こそ、子どもの「やりたい」を引き出すために大切なのです。

とはいえ、「漢字テストで100点をとる」という目標を親から押しつけるのでは意味がありません。子どもの自発的な思いから一緒に目標を立てることが大切です。

勝負事が好きな子どもであれば「100点をとる」や「◯個の漢字をクリアする」というように数字を示すとモチベーションが上がります。

のんびりタイプのお子さんなら、「難しい本が読めるようになりたい」「おじいちゃんやおばあちゃんが喜んでくれるような手紙を書きたい」など、こんな思いから目標を立てると、長期的な視点をもつことができるのでオススメです。

そして、学習の終わりには振り返りをしましょう。「今日は〜までやるはずだったのに、時間内に終わらなかったな」「明日は〜に気を付けよう」と考えることで、子どもの意欲を持続させることができ、次の学習にもつなげられるのです。

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