2021.12.01

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小栗旬で話題『鎌倉殿の13人』…大河ドラマ4つの見どころ

親と子の数奇な運命 13人のバトルロイヤル

作家:楠木 誠一郎

絵:神宮寺一『鎌倉バトルロワイヤル 13人、生き残るのは誰だ?』より

鎌倉幕府といえば、源頼朝? 実は武士の世を盤石にしたのは、二代執権・北条義時です。野心とは無縁だった若者が、どうやって武士の頂点に上り詰めたのかーー?

知っていれば大河ドラマが10倍楽しくなる!

『鎌倉バトルロワイヤル 13人、生き残るのは誰だ?』の著者で、歴史小説を数多く手がける楠木誠一郎先生が、義時の父親・時政の視点から4つの見所をわかりやすく解説します。

その1 北条氏は村長さん

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主役は、おそらく前半は大泉洋さん演じる源頼朝で、その頼朝が落馬をきっかけに急死してからは、小栗旬さん演じる北条義時ということになるのでしょう。

今回は「北条氏」視点で迫ってみます。まずは、義時の父親である時政の視点から見ていきましょう。

北条氏と源氏とのつながりは、平清盛に敗れた頼朝が伊豆国に流されたことにはじまります。時政が、流されてきた頼朝を見張る役目を負ったひとりだったのです。

いまでこそ、北条氏といえば大豪族のイメージがありますが、頼朝が流された当時の北条氏は、村長さんくらいの立場でした。

でも娘の政子と頼朝が恋仲になったことで、時政の人生も、息子義時(政子の弟)の人生も、上向きはじめることになるのです。

その2 頼朝が急死した意味

「平氏を討つ」ために立ち上がった頼朝は、源平合戦で勝利したあと、鎌倉に幕府を開きます。親戚になった北条時政や義時らをのぞけば、「御恩と奉公」を誓った御家人たちとはいえども一枚岩ではありませんでした。

頼朝は幕府を開いたのはいいけれど、出先で落馬したのをきっかけに急死してしまいます。

2代将軍となった満16歳半くらいの頼家が、権力をにぎったのをいいことに暴走。これを止めるため、時政、義時をはじめ、有力御家人13人が合議制を開始し、幕府を動かすことになります。

その3 手段を選ばない

一枚岩ではなかった13人の、生き残りをかけたバトルロワイヤルは、すぐにはじまります。

妻が頼家の乳母(育ての母)だった比企能員が北条氏を滅ぼそうとしたため、時政は義時とともに逆に滅ぼします。以後、ふたりは、北条氏の台頭をはばもうとする有力御家人たちを、ひとりずつ滅ぼしていきます。半数は病死などの自然死でしたが。

絵:神宮寺一『鎌倉バトルロワイヤル 13人、生き残るのは誰だ?』より

その時政もまた、愛人のせいで御家人を滅ぼしてしまう失策を犯し、息子の義時によって追放されてしまいます。

鎌倉幕府成立以前から見てきた義時は、「自分が幕府を動かす」と必死だったのでしょう。そのためには手段を選びませんでした。

幕府のためにならないのなら、父親であっても追放しました。

それだけではありません。義時にとっては甥にあたる2代将軍頼家、同じく3代将軍実朝を暗殺させた黒幕ともいわれているのです。

生き残った義時は、父の時政を初代執権とし、みずからは2代執権となり、以後、北条氏が執権職を引き継ぐことを決め、鎌倉幕府での地位を盤石のものとするのです。

その4 子育て成功⁉︎

義時の父親である時政に視点をもどします。

時政は、やがて幕府を開くことになる頼朝に娘の政子を嫁がせました。

生まれた外孫の頼家も実朝も将軍となります。

晩年は、優秀すぎる息子の義時に追い詰められてしまったりもしたのですが、時政の子育ては成功したといえるでしょう。

「村長さん」時政は、立派な教育パパ​だったというわけです。

『鎌倉バトルロワイヤル 13人、生き残るのは誰だ?』
楠木誠一郎:著 神宮寺一:絵

鎌倉時代の始まりは「良い国(1192年)」ではない?
源頼朝の肖像画は本人では無かった?
史実だと思われていた鎌倉時代に関する常識が、近年の研究で覆されてきています。頼朝死後の混乱ぶりの裏には、裏切り、密告、陰謀のオンパレード。13人の御家人たちは鎌倉殿=将軍を支えるどころか、激しい権力闘争に明け暮れます。その様はさながら武家のバトルロワイヤル。意外なほどドロドロしていた、2022年大河ドラマの舞台の実像をわかりやすく読み解いていきましょう。

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くすのき せいいちろう

楠木 誠一郎

SEIICHIROH KUSUNOKI
作家

1960年、福岡県生まれ。歴史雑誌編集者を経て作家となる。『黒田官兵衛 天下人の軍師』『西郷隆盛 最後の武士』『織田信長 乱世の風雲児...

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