2021.04.29

替え歌がたのしい『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

著者:本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ーーおはなし隊隊長 鈴木よね子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

この絵本との出会いは、書店にお勤めのボランティアさんがおはなし会で読んでくださった時でした。途中でおはなし会の席を外して戻ってきた時に、会場の外にまで子どもたちの「ギャー」「キャー」「アハハハ……」と歓声や笑い声が響いてきました。何事が起こったのかと部屋に入ると、 “かえうた”の場面に笑い転げている子どもたちの姿がありました。それ以来、こいのぼりのあがる4月、5月の季節にはこの本の出番が多くなり、ずっと読み続けてきました。

『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
作:石井聖岳 講談社

トラのおとうさんが垣根にこいのぼりをくくりつけ、トラのこさんきょうだいがそれを見つけて大喜び、という場面からこの絵本は始まります。

お父さんのまわりをぐるぐるまわる様子など、にぎやかで躍動感のある絵なので、元気な子どもたちをイメージして読むといいですね。

トラのお父さんの元に集まってくる三きょうだい
『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』より

いよいよかえうたの場面が始まります。
「くもよ~りた~か~いこいの~ぼ~り~」と歌い始めると、「えっ! ちがうよ」と言いだす子どもがいます。「だから、かえうたなんだよ!」と声が聞こえてきて「あっ! そうか」という表情に変わります。それから3番まで子どもたちの大爆笑が続きます。

歌のところで大切なことは、テンポよく、リズミカルに、そしてページが変わるところでも、歌をとぎれさせないように、なめらかにページをめくりながら歌い続けることです。

1番の最後「とんで~い~る~」、2番の「おこ~ってる~」、3番の「のびて~い~る~」は少し声を大きくしないと、子どもたちの笑い声で読み手の声が消されることがあるので、ちょっと様子を見ながら間をおいて歌うか、声を大きくしてみてください。

雲より高いこいのぼり
『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』より

次から次へと歌がとまらなくなりますが、小さな字で書かれたところを全部読むと間延びしてしまいますので、ひとつふたつくらいを選んで読んでみるといいですね。

とうとう歌い疲れてしまった場面では、テンポをゆるめて、お父さんにくっついて、そして最後はお父さんの足取りも重たく聞こえるようにゆっくり歌いましょう。

最後のページは言葉がありませんが、丁寧に見せてあげるとおはなしの続きを想像しているつぶやきが聞こえてきたり、楽しかった余韻を感じている様子が伝わってきたりします。

歌い疲れてしまったトラの子どもたち
『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』より

表と裏の表紙を広げながら見せて終わります。ダイナミックなこいのぼりに「つながっている~」「もう1回読んで~」「楽しかった~」とうれしい反応にいつも励まされています。

時々、「私は歌が下手なので……」とおっしゃる方がいますが、もともと子どもたちの口から出た出まかせの歌と思えば、あまり上手に歌う必要はありません。ぜひ、挑戦してみてくださいね。

●今回読んだ本

『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
作:石井聖岳 講談社

●プラス1冊

びっくりさせて ごめんね。空からふってきたものは、いったい……? 


『ふってきました』
文:もとしたいづみ 絵:石井聖岳 講談社

著者紹介

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!

https://www.kodansha.co.jp/ohanashi/
Twitter:@ohanashitai55