2021.01.19

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第4回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2018年11月)掲載の企画を再構成したものです。

こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。
「えほんやさん」のオープンから2ヶ月が経とうとしています。
今回は、本屋さん業務をやってみて感じたことを中心につづっていこうと思います。

仕入れの会社さがし

まず、絵本を売るためには、絵本を仕入れる必要があります。
「絵本ってどこから仕入れるの?」
私の最初の疑問はここでした。

知り合いの書店さんに聞いてみたところ、出版社と書店の間に取次(卸)会社がはいり、そちらに注文して本が支給されるということ。なので、取次(本の卸)会社と契約する必要があるということがわかりました。

取次会社にも大手から中小まであり、大手の取次さんは返本(カバーや帯が破れたものは返品できる)が可能。

対して、中小の取次さんは返本ができない代わりに仕入値が大手取次より安い。
……とメリットやデメリットを考慮して決める必要がありました。

いろいろ考えた結果、よもぎBOOKSさんのスタイル(見本を置いて自由に試し読みしてもらい、在庫は梱包してそこから買ってもらう)が個人的に好きだなと思っていたので、取次先も同じ「こどもの文化普及協会」で仕入れることに決めました。

棚づくりについて

取次会社が決まったら、絵本の発注です。好きな絵本をまずはランダムに100点リストアップし ていきました。
思いつくまま書いた後は、次はフェアとして取り扱いたい絵本を決めていきます。
「えほんやさん」のオープンは10月なので、「ハロウィン」「夜」「(秋っぽいから)おてがみ」と絞って、さらにピックアップしていきました。

一番目に付く場所には、細長い棚をくっつけて絵本を面出し(表紙がこちらを向いている)して、面出しだけではショールームっぽすぎるので足もとには広めの棚をつけて平積みと棚差し(背表紙がこちらを向いている)にして並べたい
……というのは、私の構想に最初からあったものでした。

絵本の表紙は、作家が一番思いを込めて描くところです。
よりたくさんの方に手にとってもらえるように、ラフを何度も描きなおしたり、着彩も納得いくまでやり直します。

なので、たくさんの冊数を置くことよりもできるだけたくさんの絵本の顔がみえるほうを優先しようと決めて、全部で約200タイトル延べ500冊の絵本を注文しました。

まったくゼロの状態から絵本を並べていく作業は、棚づくり未経験の私にとって一番大変な作業で、ここだけ記憶が抜けています(笑)

ただ、並べ終わった棚を見渡している時の気持ちは、今までに感じたことがないような高揚感と達成感で満たされていました。
棚づくりは難しいけど今でも一番好きな作業のひとつです。

本屋さんって力仕事!

絵本が売れたら発注し、段ボールを開けてビニール梱包、そして棚に並べる……。
接客は立ちっぱなしで、紙モノはまとまるとかなり重く、私が想像していた以上に本屋さんは体力仕事でした。

「えほんやさん」がオープンした10月は、ずっと店頭に立ちっぱなしでした。
これまでは、椅子に座って絵を描いたりおはなしを考えたりする仕事だったのでお店を閉め終わった後は、毎日SNSを見たり更新する余裕もないくらいグッタリでした。

こんなに大変な通常業務をこなしつつ、原画展やイベントを企画・運営されている書店さんはほんとうに尊敬します。
「えほんやさん」もがんばります!

オープンしてすぐは原画を飾ることしかできなかったのですが、今度は関連イベントも開催していきたいなと思っています。
 
 

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 春のそよ風がふくいちにちに、おさんぽで出会ったのは? たんぽぽ、ちょうちょう、やさしい風……季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。春のおさんぽに出かけたくなる絵本。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。かえるやあじさい、おたまじゃくしと女の子のかわいらしい出会いが、楽しげな雨音とともに繰り広げられます。 ちいさな女の子の雨の日を追いかけた、ちょっぴりファンタジックなお話。雨音の楽しさや、雨に濡れた景色の美しさが、透明感あふれる水彩画で表現されています。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは? おひさまさんさん降りそそぐ中、どんなおさんぽになるのでしょう。 リズム感あふれるお話に、まばゆいほど夏の季節感いっぱいの絵。夏が待ち遠しくなる絵本です。

『さんさんさんぽ』作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。秋のおさんぽに出かけたくなる絵本。『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのマフラー巻いて、帽子にてぶくろ、ブーツをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 雪がいちめんに降ったある日、おさんぽで出会ったのは、どんな音? 冬のつめたい空気や透明感がみずみずしいタッチで描き出されます。雪の日が待ち遠しくなる絵本。

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ? カタカタ、カタカタの音は、なんのおばけ? ヒューヒュー、ザワザワの音は、なんのおばけ? するとママが、おばけたちのことを教えてくれます。おばけたちと仲良くなって、ぐっすり眠りにつくまでのお話。

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。