2021.02.16

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第8回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2019年3月)掲載の企画を再構成したものです。
 

こんにちは、絵本作家のえがしらみちこです。

「えほんやさん」がオープンして半年になります。
3月は確定申告があり、店長である妹と試行錯誤しながらなんとか提出でき、ホッとした矢先に体調をくずして数日寝込むという事態に……。

今年の申告はわからない箇所がおおくてギリギリでしたー

絵本制作の予定がちょっとずれたのが痛手でしたが、お店は妹がメインで入ってくれているので、だいぶ助かっています。個人でお店を営まれている方は大変だなぁと、しみじみお布団の中で考えてしまいました。

フリーは家族の助けが大事

3月は閑散期

2月の"刀剣乱舞"とのコラボの盛り上がりもおさまり、3月は売り上げ最低記録を更新しようとしています。
なんといっても、お店の前を歩いている人が少ない!(寒いから)
今年の3月は珍しく雨も多く、そんな日は、祝日や土日でも通りから人がいなくなります。

でも、「絵本セラピー」や「よみきかせ・はじめのいっぽ」など小さな講座を開いた日には、少しですが売上がよいようです。

エアレジで日々の売上グラフを見られるのです

もうちょっと未就園児対象のワークショップや絵本に関するイベントを増やせたらなぁと考えているのですが、私の絵本の制作も忙しくて、なかなか手が回っていない状態です。


それでも、絵本が1冊も売れなかった日は1日も無く、誰かしらが「えほんやさん」に立ち寄ってくださって、絵本を選んでくれているというのは、嬉しいことだなぁと思います。
文化的なものって、衣食住に比べたら必要ないと思われがちで、一番最初に節約されてしまうものなのに、私たちが「最悪、1冊も売れない日もあるかもね」と覚悟していた事態がまだ起きていないって、本当にすごいことだし、希望の光だな……と(ちょっと大げさかもですが)思うのです。

お店での不思議な体験

お店をオープンする前に、熊本の長崎書店の中山さんが「本の神様っているんですよ!」という話をしてくれたことがありました。
棚を整理しているときに、しばらく売れていない本に願いを込めると売れることが多いそう。

本の神様について力説する中山さんの図

これを聞いたとき「ほんとかなー?」と笑っていたのですが、そういう不思議な体験ってほんとにあるんです。

仕入れてから、3ヶ月間くらい誰にも買われていない絵本を手にとって、妹と「この本出てないねー。いい本なのになー。」と話して棚に戻すと、翌日に2冊売れた(同じ日に2冊って、うちのお店では珍しいのです!)という体験は、1度や2度ではありません。

ある絵本の話をしていたら、偶然その作者さんが遊びにきたり、本の神様がいて不思議な現象を起こしてくれているのかなぁと考えると、なんだかワクワクします。

本によって相性の良い置き場所があるのかなと思うこともあります。『いちごだんめん図鑑』(小学館)や『ねこのおてて』(パイ インターナショナル)などの、手のひらサイズの小さな絵本は、レターセットなどの近くに一緒に置くと、雑貨と一緒にご購入されている方が多いです。

『こんにちはおてがみです』(福音館書店)という、ページにおてがみ入りの封筒が付いている絵本は、開きやすい場所においているほうがよく売れています。

おてがみ入りの封筒が付いている絵本

場所を変えたらぱったり売れなくなることもあるので、相性が良い場所ってあるのでしょうね。

はじめてPOPのようなものを

2月はバレンタイン、3月はホワイトデーや新しい出会いや別れの季節なので、そういうときに絵本を贈り合えるって素敵だなと思い、企画フェアをこっそり開催しました。

「大切な人に贈りたい1冊」と題して、絵本作家や絵本に関わる方に紹介文を書いていただき、絵本と一緒に飾るというものです。

お隣のお店の宮西達也さんや、絵本作家仲間の高橋和枝さん、きたがわめぐみさん、絵本コーディネーターの東條知美さんなどにご協力いただき、全部で9名による贈りたい絵本とPOPを並べました。

「大切な人に贈りたい1冊」フェアの様子​

そして、フェアを開催。
それまで「えほんやさん」では全く注目されていなかった絵本たちが、手にとってもらえたり売れたりして、POPのチカラを目の当たりにしたのでした。


第5回でPOPについて、「絵本の表紙には力があるので、それに引き寄せられて手にとる出会いを大切にしてほしい」だから、付けないと書いたばかりですが、少しずつ付けていこうかな……と考えが変わってきています(笑)。


4月は三嶋大社の桜がとっても綺麗です。ぜひお花見がてらお参りをして、「えほんやさん」にも遊びにきてくださいね。
 

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは?

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社

雪がいちめんに降ったある日、おさんぽで出会ったのは、どんな音?

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ?

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。