2021.03.16

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第12回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2019年7月)掲載の企画を再構成したものです。
 

こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。

今年の梅雨は、なんとなくいつもより雨の日が多かったような気がしますね。
「えほんやさん」でも、私の絵本『あめふりさんぽ』がよく出ていました。

『あめふりさんぽ』原画

7月の「えほんやさん」

5・6月はお客様が少なかったのですが、最近は、お孫さんへのプレゼントをお求めの方が多くいらっしゃいます。
クリスマスやお正月といった、おおきな行事があるわけではないのに、意外な動き……。

ラッピングもえほんやさんの大事な仕事

「えほんやさん」は小さなお店なので、店員との距離が近く、本選びに迷った方がすぐに声をかけてくださいます。
たまに私も一緒に選ばせていただくのですが、お客様が思い描くイメージ(雰囲気や文字の多さ、テーマなど)に沿う絵本を紹介するって難しいなぁ……と、毎回ドキドキしています。

お客様が思い描くイメージを聞きとって

でも、会話をしていくうちに、お子様やお孫さんの様子が透けて見えてきて「こんな本だったら好きかもなぁ」とか「この本が読めるならこういうのも良いかも」と自分の知識を総動員してお勧めし、お客様の反応が良かったときは、とっても爽快です。
逆に、オススメしたものがイメージしていたものを違う……という反応の場合、結構長い間ひきずります。

でも、勉強不足だと反省して、まだまだ触れてない絵本にたくさん出会って知識を深めていきたいです。

絵本の世界は深い

目の前で絵本を選んでくれる様子が見られるというのは、作り手としても勉強になります。
「こういうイメージの絵本があったらお勧めできるのに……ないかなぁ」とか「こんなテーマの絵本ってよく考えたら無いかも!」という発見があったり。

私が何者なのか、知らないでお店にいらっしゃったお客様とのやりとりの中から学びがあったりして面白いです。

制作の合間にふらっと現れて接客しています

反対に、少し気になる点もあります。
お誕生日や進学、クリスマスプレゼントに絵本を選ばれる際、命のたいせつさや病気をテーマにしたものなどは、なかなか選ばれにくく、明るくて幸せで、少し知育要素があって……というような絵本が選ばれることが多いです。

「絵本はおじいちゃんやおばあちゃんからのプレゼントしか持っていない」

というご家庭が少なくないと聞いたことがあるのですが、避けられがちな「病気」や「死」というテーマにも、絵本を通して体験して欲しいのだけどなぁ……プレゼントの絵本だけでは偏るのではないかな……と、心配になることがあります。

いいお話なのに……

最近は、幼稚園や保育園で、読み聞かせをしない先生が多くなってるという噂も耳にします。
さらに、図書館に行く習慣も無かったりしたら、自分の意志で絵本と出会うことができない小さな子たちは、どこで絵本と出会ったらいいのだろう。
そもそも、絵本って限られた人しか触れられないものなのかもしれない……と、いろいろ考えてしまいます。

具体的にどうしたらいいのか、暗中模索な日々です。

お父さんと絵本

うちでは、毎日娘が寝る前に絵本を読んでいます。
時間が遅くなったからといって、絵本を省略すると、なかなか寝付けなかったりするので、1冊でも読んであげると、安心するのかすぐに眠りに落ちてくれます。

寝かしつけは夫がメインでやってくれているので、絵本は夫が読むことのほうが多いです。

先日、男性2人がお店にいらっしゃいました。

A「え?赤ちゃんって言葉もわかってないのに、絵本を読んであげるの?」
B「いや、わかってなくても読むんだよ」
A「絵本なんて買ったことない!」


……私は絶句。


でも、そういう方、多いのだろうなぁ。男性が絵本なんてと思うのかしら。

「えほんやさん」でも、おじいちゃんがポツンと外で待っていたり興味なさそうに店内をうろうろしていたり、という様子がよくうかがえます。

でも絵本こそ、年齢を超えてお話しできる媒体だと思います。テレビは一方的だけど、絵本は待ってくれる。
ひとりひとりのペースに合わせて進めることができるコミュニケーションツールのひとつだと思っています。

ぜひ、お父さんやおじいちゃんにもこの楽しさを味わってほしいなぁ。

お父さんやおじいちゃんと一緒に絵本

ちなみに、さきほどの男性Aさんは、絵本に関心を持ってくれたらしく、「だるまさん」シリーズ3冊と『いちご』と『はるかぜさんぽ』と『あなたのことがだいすき』の6冊をご購入されました。
太っ腹!
 

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは?

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのマフラー巻いて、帽子にてぶくろ、ブーツをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ? カタカタ、カタカタの音は、なんのおばけ? 

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。