おいしそう! 食べたい! 作ってみたい! 親子で盛り上がれる「たべもの」絵本ベスト3

子どもの本のプロがおすすめ!【さちこ&くみこの空想書店#04】

元・書店員 JPIC読書アドバイザー:市川 久美子

さちこ&くみこは、大のなかよし。子どもと、子どもの本が大好きです。
こんな本屋さんがあったらいいなと二人で話しているうちに、できてしまいました--それが、「さちこ&くみこの空想書店」!

・空想だから、いまは買えなくなってしまった本もときどき登場します。(図書館や古本やさん、おじいちゃん、おばあちゃんの家でさがしてみてね)

・空想だから、二人のほんとうのお気に入りだけを置いてあります。


・空想だから、いつでもオープンしています。
 
今回は、元ベテラン書店員くみこさんが、子育て中の方にみなさんにおすすめ、という「たべもの」の本をご紹介します。

1年中楽しめる「パン」と「おにぎり」の絵本、そして、「よもぎもち」の絵本です!

よもぎって、春じゃないの? と思った方、ぜひ記事を読んでみてくださいね。

はずさないのは、「パン」と「おにぎり」の絵本

身近な食べ物が出てくる絵本は、年齢の違うお子さんでもいっしょに楽しめますね!
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くみこ「秋になって、食べ物がおいしくいただけるようになりましたね。

子どものころ『ヘンゼルとグレーテル』を読んで、お菓子の家がおいしそうに描かれているのを見て以来、食べ物の本は、おいしそうに描かれているものを選ぶようになりました」

――「たべもの」がテーマだと、家族みんなでもりあがれるかもしれませんね。季節にあったものを選んだほうがいいでしょうか。

くみこ「今回は、おいしそうなお話とおいしそうな絵や写真の絵本をわたし自身の思い出も一緒に紹介します。季節などは関係なく、とにかく好きな食べ物・美味しそうな食べ物です」
『パン どうぞ』
作:彦坂 有紀 ・もりと いずみ 講談社

本物以上にパンらしく、おいしそうなパンのオンパレード!
いま、注目の木版画家・彦坂有紀ともりといずみが、子どもたちが大好きなパンそれぞれの特徴を見事に版画で表現しています。
これが木版画だなんて、びっくりです!
『パン どうぞ』より
くみこ「本物のような絵でおいしそうと思ったら版画! 版画でここまで描けるのかと驚きました。

勤務していた書店で作家さんに木版画のワークショップをやっていただいた際、子どもたちの楽しそうで真剣な姿が印象的でした。

絵本の中にいろんなパンがあって、『どうぞ』のページで幼い子どもたちはきっと手を出して食べる仕草をするでしょう。大人にも人気の作家さんです」
『にっぽんのおにぎり』
作:白央篤司 料理:藤村公洋 撮影:浜村多惠 理論社

鮭やおかか、つくだ煮やお漬け物……47都道府県のそれぞれの地方で愛されているおにぎり、その土地の食べ物でアレンジしたおにぎりを大きな写真とともに紹介しています。
懐かしいおにぎりや、食べてみたいおにぎりがいっぱい!
『にっぽんのおにぎり』より
くみこ「ページをめくるたびにおいしそうなおにぎりの写真があります。47都道府県のその土地でとれる食材を使ったおにぎりです。その土地の歴史も知ることができます。

私は子ども時代を福岡県と熊本県で過ごしたのですが、『鶏肉(とりにく)』のことを『かしわ』とか『鶏肉(けいにく)』と言っていました。『かしわめしのおにぎり』(宮崎県)『たかな漬けのおにぎり』(熊本県)『辛子明太子のおにぎり』(福岡県)が懐かしいです。

食べてみたいのは山口県の『瓶詰めウニのおにぎり』と宮城県の『はらこめしのおにぎり』ですね。

みなさんが住んだことのある土地のおにぎりを探してみてください。

書店勤務の時、この本を是非皆さんに見てほしくて、出版社さんにおにぎりのパネルをお願いしました。出版社の販売課の方がすきなおにぎりの投票のパネルを作ってくださり、店頭で大人気になりました。

講演会も催し、フードライターの白央篤史さんと料理家の藤村公洋のお話を聞き、藤村さんが握ってくださったおにぎりをいただきました。おいしかったです。

お子さんのお弁当のヒントにもなりそうです」

春がくるのが楽しみになる”よもぎだんご”の絵本

『よもぎだんご』
作:さとうわきこ  福音館書店

おなじみのばばばあちゃんが、野草の香りいっぱいのよもぎだんご料理を紹介する、楽しさいっぱいの絵本。
春がきたら、作ってみたいですね!
『よもごだんご』より
くみこ「ばばばあちゃんは子どもたちと一緒によもぎだんごを作ります。それも、よもぎを採るところから始まります。ばばばあちゃんは野草の見極めもうまいので、春の七草やつくしなど、いろんな野草を子どもたちと採ってきました。

娘が幼い時、私が仕事から帰ると、よもぎ団子ができていました。見るからに手作りという感じ。そこに、この絵本がありました。

休日だった夫がこの絵本を読み聞かせしたら、娘が『よもぎ団子作りたい』と言ったそうです。夫は犬の散歩のときに見た、自生のよもぎをふたりで採りに行って、この絵本を見ながら作ったそうです。

子どもの成長がうれしくなりました。それからは我が家の年中行事になり、3年目のよもぎ団子は見た目も味も最高でした」

――絵本とつながっている、素敵な思い出ですね!

くみこ「よもぎ団子、買って食べるのもいいですが、親子で作るのも楽しいですね。寒い冬の後に春が来たら是非」

――春がくるのが楽しみになりました! 「食べもの」絵本、おうちにあるといいですね。

前回、さちこさんから、「クリスマスの思い出を教えてください」という質問がありました。
くみこ「長男が幼稚園~低学年のころ近所のお友だちと泊まりっこをしていました。

ある年、この子たちは『クリスマスにだれかの家に泊まったらサンタさんは泊っている家にプレゼントを運んでくれるかな』と心配をしながら我が家に泊まりました。

なんとなんと、サンタさんは、我が家に全員のプレゼントを届けてくれました。子どもたちのプレゼントをもらった喜びはいつも以上でしたよ」

――素敵な思い出ですね! 次回は、さちこさんです。

さちこさん、なにかメッセージのこしておいてください。

さちこさん、教えて!

幼稚園の先生時代、一番思い出深いことはなんですか?

くみこより
 
次回は、絵本コーディネーターのさちこさんのおすすめをご紹介します。
おたのしみに!
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いちかわ くみこ

市川 久美子

Kumiko Ichikawa
元・書店員 JPIC読書アドバイザー

1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ、語り、ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館、中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆、講演を行う。 犬が好きで、現在も愛犬と生活。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。               

1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ、語り、ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館、中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆、講演を行う。 犬が好きで、現在も愛犬と生活。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。