2021.09.10

子どもの“想像力”と“創造力”を育てるゲーム「マイクラ」とは何か?

子どもが伸びる「マインクラフト入門」#1

寄稿家:タツナミシュウイチ

ゲームで伸びる子どもの能力とは!?
写真:show999/イメージマート

子どもから大人まで、世界的に人気を博しているゲーム「マインクラフト(通称:マイクラ)」。「ワールド」と呼ばれる仮想空間の中で、ブロックを集めながらものづくりや冒険を楽しめるゲームです。

「デジタル版ブロック遊び」「サンドボックス(砂場)ゲーム」とも呼ばれるマイクラは、2009年にスウェーデンで誕生し、「世界一売れたゲーム」として知られています。

最近ではICT教育にも活用されはじめるなど、単なるゲームの域を超えて広がりを見せています。

子どもの教育にも効果的だというマイクラの魅力について、アジア初プロマインクラフターで、マイクロソフト認定教育イノベーターのタツナミシュウイチさんに教えていただくこちらの企画。

第1回は、マイクラとはいったいどのようなゲームなのか。子どもを夢中にさせるわけや、どのような教育効果が期待できるのかを伺いました。

タツナミさんが、「子どものクリエイティビティを伸ばす最高のツール」と語る、マイクラの世界を覗いてみましょう。

創作意欲を掻き立てる画期的なゲーム

マイクラは「デジタル版ブロック遊び」と言われるように、世界のすべてがサイコロ型のブロックでできています。この仮想空間の中で、ブロックを採取したり、建物を作ったりできるところが、マイクラの最大の特徴です。

マイクラの世界は「ワールド」と呼ばれ、地球の総面積に換算すると約8個分の広さという設定になっています。ですから、地球上にある地形や建物を全部作ったとしても、ワールドでは8分の1しか完成しないことになります。つまり作りたいものが、ほぼ無限に作れるというわけです。


マイクラの魅力は「自分の想像の赴くままに、ものづくりができる」ということ。それにより、創作意欲がふんだんに刺激されます。これが、他のゲームとは一線を画すポイントです。

タツナミさん作の「アンコールワット」。マインクラフトの世界では、ブロックを使えば建造物も思いのまま。
(C)2021 Mojang AB. All Rights Reserved. Minecraft, the MINECRAFT logo and the MOJANG STUDIOS logo are trademarks of the Microsoft group of companies.

たとえばリアルなブロック遊びだとこうはいきません。

私自身、子どもの頃はブロック遊びが大好きで、学校帰りに児童館でレゴブロックを使って毎日のように何かを作っていました。

でも、当然使い終わったら、元に戻さなくてはいけません。明日また続きの部分を作りたいのに、それができなかったので、すごく残念な気持ちになってしまったんです。

それから月日が経ち、30歳くらいの頃にマイクラと初めて出会いました。

まずワクワクしたのは「続きができるブロック遊び」だということ。かつゲームの世界は無限に広がっているので、大きさを気にせずに作れるところにも惹かれました。

子どものときにできなかったことが、ようやく実現できたという嬉しさがありましたね。

粗いブロックだからこそ創造力が試される

マイクラのブロックは、6面に16ピクセル×16ピクセルのドット絵が描かれた立方体になっており、このブロックがたくさん集まってワールドが構築されています。

ぱっと見ると、いまどきのゲームとは異なり、粗い画像だなぁという印象を持たれるかもしれません。でも、あえてこの粗さにしていることで、創造の可能性が一層広がるんです。

粗いブロックを組み合わせて、どれだけの表現ができるかというところに、チャレンジ精神が掻き立てられますし、実際にやってみるとここまでの表現ができるんだという驚きや発見にもつながります。

また、粗いからこそ、子どもたちにも理解しやすく、とっつきやすいくなっています。

タツナミさん作、ギザのピラミッド。現実世界に存在するものを作れば、自ずと興味の幅も広がる。
(C)2021 Mojang AB. All Rights Reserved. Minecraft, the MINECRAFT logo and the MOJANG STUDIOS logo are trademarks of the Microsoft group of companies.

また、マイクラはバーチャル空間を、自分の好きなように動くことができるんです。

これが他の冒険ゲームだと、「村人に話を聞いて、自分がこれから行く場所を見つけて、戦って経験値を上げてボスを倒す」のようにエンディングまで、一定の流れがありますよね。

マイクラにもストーリーはありますが、一切それをやらなくても構わないのです。

「何をしてもいいよ」という世界にポンと放り出されるので、大人は何からはじめればいいんだろうと、戸惑う人が多いですね。

逆に子どもは柔軟に物事を考えることができるので、とりあえず歩き回ります。

ゼロからイチを創り出す

歩き回っていると「ブロックでできた木があるから木材を取ろう。そしてその木材で家を立ててみよう」というように、自然と自分で考えてものを作るようになるんですね。

それに慣れていくと、今度は無限にブロックが使えるクリエイティブモードを使って、巨大建造物を作ったり、街を作ったりしてみたくなります。

このように、ゼロからイチをつくる想像力を伸ばすことができるところも、マイクラの魅力であり、教育効果を期待できる部分ですね。

マインクラフトの魅力を子どもたちに伝える活動を行っているタツナミシュウイチさん。

同じように何かを作るゲームとして、最近「あつまれどうぶつの森」がヒットしましたよね。

「あつ森」は、ある程度かたちになった家具やアイテムを手に入れて、自分好みに配置するタイプのゲームです。

かたやマイクラは必要最低限のアイテムしかなく、基本的にゼロベースなので、配置するアイテムを一から作らなくてはなりません。

しかし、材料だけ渡されて、あとはすべて自由にものを作り出せるので、創作のイメージやビジョンがある子どもにとっては、最高のキャンバスになります。

真っ白いキャンバスに、どういう色を使ってどんな絵を描いていこうか、ということとまったく同じことなので、子どものクリエイティビティを伸ばすには最高のツールです。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

「マイクラ」が持つ、単なるゲームにとどまらない魅力を感じていただけたでしょうか。
第二回では、「マイクラで次世代の学びがどのように変わるか」を伺います。

取材・文/末吉陽子

寄稿家紹介

タツナミシュウイチ たつなみしゅういち

マインクラフト歴12年の『 マイクラおじさん 』。アジア初のプロマインクラフター。マイクロソフト認定教育イノベーターMIEE(Microsoft Innovative Educator Expert)。明治大学サービス創新研究所や慶應義塾大学SFC研究所など大学の研究所では、Minecraftの教育教材制作や特別支援教育での活用を各教育機関と共同で研究。奈良に本拠地を構え学習塾を運営するKECグループ 株式会社KEC Miriz に所属し、プログラミング教室『プロクラ』で使われているマインクラフト教材のワールドのすべてを手掛けている。