2021.09.14

「マイクラ」で子どもが次世代を生きるための必須能力が身につく

子どもが伸びる「マインクラフト入門」#2

寄稿家:タツナミシュウイチ

学び方は時代にあわせて変化している。
写真:アフロ

子どもから大人まで、世界中で人気のゲーム「マインクラフト(通称:マイクラ)」。仮想空間の中で、ブロックを壊しながら素材を手に入れたり、ブロックを組み合わせたりしながら、ものづくりや冒険を楽しめる「デジタル版ブロック遊び」です。

最近では「教育版マインクラフト」も登場し、プログラミング教育・情報教育・協同学習などの教材として使われるようになっています。なぜいま教育への活用が進んでいるのでしょうか?

子どもの能力を育てるのにも効果的だというマイクラの魅力を、アジア初プロマインクラフターで、マイクロソフト認定教育イノベーターのタツナミシュウイチさんに教えていただくこちらの企画。第2回目は、マイクラによって「次世代の学び」はどう変化していくのか、を伺いました。

好奇心を加速させる徹底したこだわり

「マイクラで得られるものは何ですか?」――これは親御さんから、よく質問されることです。

私がそう聞かれたとき、いつも「それは好奇心です」とお伝えしています。

今回のテーマである「マイクラによって次世代の学びはどう変わるのか」を考えるうえで、好奇心は大きなキーワードです。

子どもたちにとって、マイクラは勉強の道具ではなく、楽しいゲームというのが最初の入り口です。

でも、楽しいゲームで終わらないのが、マイクラのすごさ。

「これって何だろう?」と好奇心を刺激する仕掛けが、いろいろなところにあるんです。

こちらは草ブロック。マイクラはブロックを使って自由自在にものを創作できる。
(C)2021 Mojang AB. All Rights Reserved. Minecraft, the MINECRAFT logo and the MOJANG STUDIOS logo are trademarks of the Microsoft group of companies.

たとえば、生き物。マイクラには現実にいる生き物が登場します。

マイクラの世界(ワールド)には、パンダが生息しているのですが、鳴き声を出すんです。しかも、その鳴き声は動物園で収録したものではなく、中国の竹林を訪れて録音したもの。

他にも、火成岩、安山岩、花崗岩など多種多様な岩石が実装されているのですが、現実と同じようなエリアに分布しています。

また、元素ブロックなるものが存在していて、水素ブロックと酸素ブロックを合成すると水になります。

これらはごく一例ですが、本物へのこだわりやサイエンスとの結びつきが、しっかり盛り込まれていることをお分かりいただけると思います。マイクラでの遊びを通して、気づくことや謎が深まることがたくさんあります。

そうすると子どもたちの心の中に、「もっと知りたい」という好奇心が芽生えるんです。

石や木材、鉱物まで、さまざまな建築ブロックが用意されている。
(C)2021 Mojang AB. All Rights Reserved. Minecraft, the MINECRAFT logo and the MOJANG STUDIOS logo are trademarks of the Microsoft group of companies.

教科書だけだと、なかなか好奇心を持てないようなことも、マイクラだと自ずと知りたい気持ちになって、自発的に調べ始めることが多いですね。

「楽しく学ぶ」ということが、意図的ではなく、自然とできることがマイクラで得られる最大のメリットです。

プログラミング教育にも効く

私は、マインクラフトを使ってプログラミングの基礎を学べる学習塾のカリキュラムを監修しています。

いまでこそ、ゲームと学習を融合させる「ゲームエデュケーション」という言葉が、少しずつ浸透してきました。

しかし、カリキュラムがスタートした5年ほど前は、ゲームと学習がクロスするなんて、想像していない人がほとんどでした。

ただ、私はこれからの時代、こうしたカリキュラムは確実に必要になると確信していました。

なぜなら「プログラミング教育はこれからの時代に必要になるかもしれない」というレベルではなく、「プログラミングができなければ選べる職業が少なくなる」レベルのことだと思っていたからです。

「次世代の学びではプログラミングが必須になる」と力強く語るタツナミさん。

もちろんプログラミング教育は新しい分野ですから、5教科と同列で捉えられないのはよく理解できます。

ただ国際社会の中で、資源に乏しく工業製品の力も弱くなった日本で、これから生き残っていくためには、技術立国だったことにあぐらをかくのではなく、IT産業でイノベーションを起こしていくしかありません。

さらにこれから人間にとって代わる技術やシステムが増えていくでしょう。

そうなったときに、人間を必要とするビジネスというのは、技術やシステムを作る側に集まってくるはずです。そうした変化の中、生き残っていくためには、しっかりと準備をする必要があります。

ゼロからイチを生み出す能力が身につく

少しシリアスな話をしてしまいましたが、私は次世代を生きる子どもたちには、マイクラを通じて、学ぶための好奇心とプログラミング技術を身につけてもらいたいと思っています。

そしてなにより重要なのは、ゼロからイチを生み出す力を育むこと。マイクラは想像力やビジョンがないと面白がれないゲームです。

もしお子さんがマイクラに興味を持ったのなら、ぜひ納得いくまで遊ばせてあげてほしいと思います。きっとその経験が、本質的な学びの楽しさに目覚めるきっかけになるはずです。

ちなみに、マイクラは、子どもから大人まで遊べるゲームです。「何歳くらいから操作できますか?」とよく聞かれますが、うちの子の場合は3歳くらいからマイクラをはじめました。

あまり複雑な操作になると難しいかもしれませんが、マウスやキーボードの扱いさえ覚えれば、サクッとはじめられると思います。リアルなブロックと同じように、直感的に遊べるところもマイクラの魅力です。

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次世代を生きるための大切な能力が身につく、という「マイクラ」。
子どもに経験させてみよう、と思ったパパママも多いのではないでしょうか。

第3回では、「マイクラ」を子どもと一緒に楽しむための心構えやコツをお聞きします。

取材・文/末吉陽子

寄稿家紹介

タツナミシュウイチ たつなみしゅういち

マインクラフト歴12年の『 マイクラおじさん 』。アジア初のプロマインクラフター。マイクロソフト認定教育イノベーターMIEE(Microsoft Innovative Educator Expert)。明治大学サービス創新研究所や慶應義塾大学SFC研究所など大学の研究所では、Minecraftの教育教材制作や特別支援教育での活用を各教育機関と共同で研究。奈良に本拠地を構え学習塾を運営するKECグループ 株式会社KEC Miriz に所属し、プログラミング教室『プロクラ』で使われているマインクラフト教材のワールドのすべてを手掛けている。