遊びで伸びる! 知れば子育ての不安が半減する「子どもの遊び時間」とは

「後伸びする子」に育てるために、するべき「野外学習」のヒント〜高濱正伸の 毎日子育てガッツポーズ〜

高濱 正伸

花まる学習会代表の高濱正伸先生。  撮影:嶋田礼奈
子育ての最終的な目的はひとつ。わが子を経済的、社会的、精神的に自立した「自分でメシを食っていける大人」にすること。

そのためには何をすればいいの? なんて、悩まなくても大丈夫です。楽しんで実践できるポイントをお話ししますので、子育てのヒントにしてください!

(「たのしい幼稚園」12月号(2020年10月30日発売)掲載)より

メシが食える 大人に育てる!

親ならだれでも、わが子を「賢い子」に育てたいと願いますよね。でもそれはどんな風に賢いことをイメージしますか? 今の子どもたちが大人になる20年、30年後はどのような世の中になっているでしょう? 

コロナ禍のように、社会の環境が劇的に変化するできごとが次々と起こるかもしれません。そんな社会の変化にも対応して、力強く生き抜き、メシが食っていけるような力を身につけた「真に賢い」大人になってほしいと思いませんか? 

私の塾の目標もそこです。「メシが食える」というのは本当に大切なことなんです。

「見える力」を身につける

学校で習ったことをきちんと覚えてテストで発揮する‶知識の再現″は、コツコツと机の上の‶作業″を続ければある一定の成果が出ます。

だから、幼稚園時代に「かけ算ができる」「小学校高学年で習う漢字が書ける」ようにする必要はありません。私は、そういった子が中学入試では散々な結果に……という例をたくさん見てきました。

むしろ幼児期に必要なのは、小学校に上がるまでに、その「コツコツした作業ができる集中力」「話を聞き、思いや考えを、言葉で伝えることができる力」を育てておくことです。

そしてその後、ぐんぐんと伸び、‶作業″を続けるだけの子との差は「見える力」「自分で考える力」「詰める力」を持つかどうかで決まってきます。

こうして「力」「力」と並べていると、「何をさせればいいの?」「いい教材があるのかしら?」と、だんだん難しい顔になってきてしまいそうですね。気を楽にしてください(笑)。

成長と共に後伸びをする力や‶地頭″は、その土台のほとんどが、ふつうの生活や遊びのなかで、親がほんの少し「意識」をするだけで勝手に身についていくものなんです!
「『メシが食える大人』を育てるのが花まる学習会の目標です」と語る、高濱正伸先生。

「没頭」体験が 子どもを伸ばす

遊びの中で心を奪われ、没頭する体験が地頭の成長に大きくかかわります。大げさに言えば「子どもは野に放てばいい」んです。

そうすると、自然にやりたいことを見つけて何か遊び始めます。葉っぱや石、虫の抜け殻など集めてポケットに入れたり、砂場でずっと山を作ったりと「それって楽しいの?」と大人が思うようなことを一心不乱に続けます。

好きだから、楽しいから、ずーっと! もうやめなさいって声をかけても聞こえなくなっちゃっているような。「やりたいことだから、ずっと続けたい」「最後までやらないと、おもしろくない」っていう感性になっていく。そんな没頭体験こそが「集中力」「想像力」を磨き上げるのです。

そんなときに気をつけてほしいのが、良かれと思っての「口出し」。大人としてのタスク管理も働くわけで「〇時までにはこれをやって」と段取ったり「このおもちゃを使って遊ぶほうがタメになるし効率的」と仕切ってしまったり。親は、価値のあることだけを、効率的に組み合わせてやらせようとしてしまいます。

もちろん保護者は生活時間を管理しているのだから、どこまでも自由にさせておくわけにはいかないけれど、子どもが自由に没頭しているときが「伸びるとき」ということを意識しておいてほしいです。

子どもと共感して味わう

子どもは、常に自分の「没頭」できるものを探し、発見を楽しみ、興味津々で生きています。

「あっ、あっ」という指差しから始まり「これは?」「何で?」と、子どもの「ん!?」という"気づき"は生後まもなくからスタートしています。親はこの「ん!?」に関心を持ち、感心してあげることが大切。

だんだんと答えられないことも増えてきます。「地球はどうして回っているの?」なんて……。そんなときは「すごいことに興味を持ったね! 一緒に調べてみようか」でいいんです。

また、こういったQ&Aを言語化してやり取りすることも、とても大切です。「国語脳」を伸ばすにもここがポイントになってきます。散歩中に、木の葉を手にとって「匂い」「質感」を言葉にして四季を共感するなんて、すてきですね!
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