2021.07.05

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「子育て世代に必要な保障」はコレ!  FP鈴木さや子さんの結論

がん保険・収入保障保険…〔子どもと親の保険選び〕後編

佐藤 啓子

すこやかな成長を支えるために、親の保険選び&見直しはとても大切。
写真:アフロ

子どもが生まれた時や入園入学の際は親の保険を見直すよい機会です。でも、いざ保険に向き合うとなると「独身の時のままの保険じゃ保障が心配。でも何に入っていいかわからない」「保障は欲しいけれど家計を圧迫されるのはちょっと……」等々迷路にはまってしまうことも。そんな中でも、保険の選び方、考え方、子育て世代だからこそ入りたい保険等をファイナンシャルプランナー鈴木さや子さんに教えていただきました。
※この記事の情報は2021年6月末現在のものです。

保険は人生で2番目に高いお買い物!?

――保険を見直すとなると、なかなか腰があがらないという人もいますが?

鈴木さや子:月々の掛金、保険料からは気づきにくいのですが、実は保険は人生で家についで2、3番目に高い買い物と言われています。また、保険はどんどん進化もしています。「一度入ってしまったらそれでよし」ではなく、できれば1年に1回、少なくとも3年に1回、それもむずかしければ子どもが生まれた・就学した、そんな節目ごとに見直すことをお勧めします。

医療保険の重要度は意外と低い!? 

――まず医療保険ですが、入院した日数分の給付を受けるシンプルなものから、日帰り入院でも5日間分など給付されるタイプ、また、通院給付があるタイプなど、多岐にわたる商品タイプから何を基準に選んだらいいのでしょうか?

鈴木:公的な高額療養費制度もありますし、ある程度貯金がある家庭には医療保険の必要性は低いでしょう。しかし、貯蓄はこれから、という若いパパやママのお家では、最低限の医療保険(後述)に入っておくと安心かと思います。

――ある程度の貯金とはどれぐらいでしょうか? 例えば両親と子供2人の4人家族の場合、いくら備えておけばよいでしょう?

鈴木:医療費への備えは、入院費用データを基に考えることができます。
公益財団法人生命保険文化センターの調査では、入院の際かかる費用の平均が20.8万円と出ています。ここから4人家族の最大費用を算出しますと、
20.8万円×4人+必要経費=約100万円、となります。
家族全員が入院、とはあまりないことですが、あくまで最大費用の備えとしての金額になります。
また、医療費だけでなくリスク全体に対して備えるのであれば、失職するリスクなどにも備え「必要予備資金」という形で、生活費の半年分はプールしておくことをおすすめします。
例として、生活費が30万円であれば、×6か月で、必要予備資金は180万円となります。

とはいえ、さきほど「貯蓄があれば医療保険はあまり必要ない」と話しましたが、このコロナ禍で、少々そうとも言い切れなくなりました。未曽有の出来事により、世帯主の仕事がなくなり、失業手当が切れた後も収入が大幅に減る、またはボーナス大幅カットといったリスクに、多くのご家庭が直面、または気付かされた1年間ではなかったでしょうか。
ですので、コロナ禍の前よりも、子育て世代の医療保険の重要性はあがったように思うのです。ただし、入院給付金の高いものや、最低〇日分は保障されるもの、また健康だったら戻ってくるタイプなどは、保険料が高いため、よほど希望していない限りは必要ありません。

今人気の終身医療保険を30歳男性でシミュレーションしてみると、

契約年齢:30歳男性・終身払の場合
月払保険料:1,531円(半年払い・年払いも可)
入院給付金日額:5,000円(1入院限度日数60日)
手術給付金:外来2.5万円、入院中10万円
先進医療給付金・一時金:あり
保険料払込期間:終身払※

※60歳、65歳払済も選べるが月払保険料が高くなる

と、シンプルで分かりやすい保障内容になっています。三大疾病特約などのオプションもカスタマイズでき、十分な商品と言えるでしょう。

――掛金が抑え目の共済型はどうでしょうか? 60歳など一定の年齢以降保障が下がってしまいますが……。

鈴木:共済は掛金が低め、どの年齢で入っても一律という特徴があります。また、入院給付・手術給付に加え、死亡保障もついており悪くありません。ただし一定の年齢(60歳や65歳など)からガクッと保障が下がるデメリットがあるため、貯蓄は必須と言えます。どうしても老後の医療費が心配な方は、早めに終身医療保険に切り替えるのもアリでしょう。

――がん保険や女性疾病特約は必要ですか?

鈴木:がん保険は、医療保険に比べると、私は必要と考えます。がんは、治療費が高額になりがちであることに加え、他の病気以上にメンタルにも大きな負荷がかかります。お金が足りずに治療の選択肢が減ってしまうのは、本人も家族もお辛いでしょう。ですので、特にがん家系の方は、単独のがん保険への加入や、医療保険にがん一時金の特約を付ける方法などで、備えておくと安心ではないでしょうか。

女性疾病特約は、女性特有の疾病に対して保障を上乗せできるというものであり、つけなくても医療保障は受けられます。あえて上乗せする必要はないでしょう。
私自身、医療保険には入っていませんが家系的な心配もありがん保険にだけは入っています。

子育て世代の死亡保障

――死亡保障にも様々な商品があります。そもそも死亡保障は必要ですか?

鈴木:子育て世代であれば、死亡保障は医療保障よりも重要です。
ちなみに「学資保険に親(契約者)の死亡保障がついているから……」とおっしゃる方もおられますが、学資保険で手にできる死亡保障はあくまで子どもの学資ですし、子どもが17歳、18歳などの満期年齢になるまで受け取れないので、残された家族の生活を支える保障は、これとは別に備えたいですね。

――どのぐらいの金額が必要でしょうか?

鈴木:その家庭ごとに大きく必要金額がかわってくるため、一概にはいえません。妻の収入のあるなし、ある場合でも、家計をどのくらいまかなえるのか? 死亡退職金はいくらか? 遺族年金はどのくらいもらえるか? 今後かかる教育費はいくらか、など、亡くなった後の収入や支出を計算して、足りない分の金額を設定するといいでしょう。

――どんなタイプの生命保険にはいったらいいでしょう?

鈴木:貯蓄としても生命保険を持ちたい場合は、低解約返戻型終身保険があります。こちらは一生涯続く死亡保険で、解約すれば解約返戻金が受け取れるというものです。ただし、払い込み中に解約すると、すでに払い込んだ保険料よりかなり少ない金額しか戻りません。
払い込み終了後の解約返戻金は、払い込んだ保険料総額よりも多くなり、解約しないままであれば少しずつ増えるという特徴があります。ただし貯蓄性があるため、保険料は高いです。ですので、死亡保障を得たいのであれば、掛け捨てタイプの収入保障保険をおすすめします。

――収入保障保険? 初めて聞く保険です。所得補償保険とは違うのですか?

鈴木:似た名前ですが、まったく違う商品です。収入保障保険は以前からある保険ですが、意外と知られていません。保険内容は、契約者であるパパ、もしくはママが亡くなってしまった時は、あらかじめ設定しておいた契約期間の間は、5万円、もしくは10万円と、決めてあった金額が毎月遺族に支払われる、というものです。掛け捨てですので、満期まで生きていれば保険金は受け取れませんし、解約返戻金もありません。しかしその分保険料も低く抑えられています。非喫煙者であれば保険料がさらに安くなる商品もあります。

例えば、30歳の煙草を吸わないパパが65歳まで加入する場合を、F生命の収入保障保険でシミュレーションしてみると……。

契約年齢:30歳
保険期間・払込期間・年金支払期間:65歳
月払保険料:2,136円(非喫煙者優良体)
最低支払保証期間:5年
年金月額:10万円
3大疾病保険料払込免除特約:なし

となり、月払保険料2,136円で、万が一死亡や高度障害状態になった場合、契約が終了する年まで、残された家族が毎月10万円の保障を受けられます。また、最低支払保証期間といって、契約満了1年前に死亡した場合でも5年間分など一定期間分の年金を受け取る設定も可能です。

収入保障保険・遺族年金受取イメージ  作図:ジェネット

――確かに子どもが大学を卒業するまでの間、毎月10万円受け取れるのは心強いですね! 次に、先ほど出ました所得補償保険についてですが、最近CMでもよくみかけます。こちらは入っておいた方がよいですか?

鈴木:所得補償保険は、病気やケガで働けない間の収入を補ってくれる保険です。これは、自営業の方は入っておいた方がよいでしょう。もし病気やケガでお仕事ができなくなったら、途端に収入がなくなるため、安心して病気とたたかうこともできません。貯蓄がなければ、妻(夫)や子どもが生活するお金が足りなくなる可能性もあります。
自営業には必要である一方で、会社員については、健康保険の制度に傷病手当金があるため、働けなくなってから最大1年半は、給料より少なくはなりますが収入があります。そのため、所得補償保険の必要性は低いでしょう。

――他にも入っておいた方がよい保険はありますか?

鈴木:前回、子どもの保険でもお話させていただきましたが、個人賠償責任保険です。基本的に私は、保険は自分ではまかなえきれない大きな損失に対してかける必要があるもの、と考えます。たとえば、火災保険、自動車保険、地震保険、そして他人にケガをさせてしまった、高額な美術品を壊してしまった時に発生する賠償責任に対応できる個人賠償責任保険が、大きな損失に備えられる代表的な保険と言えるでしょう。これは一家に一口で家族全員をカバーでき、また火災保険や自動車保険、クレジットカードなどについている場合もあるので、改めて入る前にご確認を。

結論! 子育て世代の保険のポイント!

①医療保険…最低限の医療保険に入っておけば安心。
 共済型もあり。ただし、一定の年齢で保障が下がるので+貯蓄は必要。
 老後の医療費が心配なら、早めに終身医療保険に切り替えを。
 がん保険は治療の選択肢を広げるためにも入っておきたい。
②死亡保障…子育て世代に死亡保障は重要。おすすめは収入保障保険。
③所得補償保険…自営業者は入っておいた方が安心。
④火災、自動車、地震に個人賠償責任保険は必須。自分では賄いきれない損失にこそ備えを。

――2回にわたり、子どもの保険と親の保険選びについて、分かりやすく教えてくださりありがとうございました。最後に読者の方々にメッセージをお願いいたします。

鈴木:家計の見直しで固定費が節約できない人ほど保険代にかけている人が多く、また心配性さんは保険料が上がりがちです。
保険も貯蓄も将来に備えることは大切ですが、それと同じように私は「笑顔になるお金」も大切だと考えています。「笑顔になるお金」とは、家事を楽にする家電を買ったり、子どもとの時間を豊かに過ごすための、今を充実させるお金のことです。このお金を少しでも増やすためにも、保険はほったらかしにせず見直し、過不足なく備えるようにしていただけたら、と思います。

取材・文 佐藤啓子

取材協力者紹介

鈴木さや子

すずきさやこ
株式会社ライフヴェーラ代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)・キャリアコンサルタント(国家資格)。All About学費・教育費ガイド生活に役立つお金やキャリアの情報を、セミナーや執筆にて発信。金融商品などを一切販売しないFPとして活動。運営するみらい女性倶楽部では「今もみらいもワクワクに」を合言葉に、お金・ヒト・スキル・キャリア・笑顔、5つの資産を育てるための情報を発信中。大学生・高校生の母 
HP:https://miraijosei.com/

さとう けいこ

佐藤 啓子

フリーライター。幼少期、講談社の絵本Gシリーズに出会い、本に携わる仕事をしようと心に決める。テレビ情報誌のスタッフを皮切りに、戦隊ヒー...

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