2021.03.23

東大医学部卒ママ医師が〔緊急事態宣言中の2人育児〕でやったこと、しなかったこと

医師・もりたま(森田麻里子)がやっている新しいママ様式〜2回目の緊急事態宣言編〜

写真:maroke/イメージマート

新型コロナウイルスは、まだ感染拡大の下げ止まりが続き、幼い子どもたちを持つ子育て家族の日常生活も大きな変化を迫られています。

“もりたま”の愛称を持つ人気医師の森田麻里子先生もそんなママの一人です。『科学的に正しい子育て』『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』などのヒット著作を持ち、ママたちからの信頼を集めるもりたま先生にとっても、コロナ禍は想定外のことばかりでした。
そんな2020年9月、もりたま先生は3歳の長男を育てつつも、第二子を出産し、二児のお母さんになりました。

2021年1月には2回目の緊急事態宣言と、時短要請営業も発令。もりたま先生は、乳児と3歳の育児をする日々で、何をして、何をしなかったのか? 「2020年〜2021年:子育てのニューノーマル」を、森田医師自らが書き下ろしました。

第1回「3歳男児編」、2回「妊婦生活編」、3回「出産編」に続く、4回は「2回目の緊急事態宣言編」です。

「コロナの感染リスク」を避けようとするほど、「孤独な子育て」がおきる!?

第1回から第3回ではコロナ禍での妊娠や出産について、私の経験や考えたことをお話してきました。第4回となる今回は、次男を連れて自宅に退院した後、2人育児の様子について書いてみたいと思います。

コロナ禍の2020年9月に次男を出産しましたが、産後は経過も順調で、6日目に晴れて退院することになりました。長男も夫も、次男に会うのは初めてです。長男の気持ちを考えると、長男が幼稚園から家に帰るとみんなが次男をちやほやしている……というのは避けたかったので、夫と一緒に病院に来てもらい、みんなで自宅に戻ることにしました。

私の両親は近くに住んでおり、産後1ヵ月ほどは長男の送迎や食事づくりなどを手伝ってもらうことになっていたので、会うのを避ける理由はありません。退院したその日に自宅に来て、次男を抱っこしてもらうことができました。しかし遠方に住む義理の両親は、やや下火になっていたとはいえ、コロナが流行する東京にすぐに来てもらうことはできず、ビデオ通話で顔を見せるだけになってしまいました。会わないうちに赤ちゃんはどんどん大きくなってしまいます。長男のときは、入院中からみんなに抱っこしてもらえたのにと思うと、それが本当に残念でした。

産後、日中は母が来てくれていて、夫がいない日は夕方〜夜にシッターさんに来ていただくこともありました。まだ慣れない2人育児の中、自分以外に大人が一人いると、気持ちの余裕が全く違います。次男をあやしたり授乳したりしている間も、シッターさんが長男を見ていてくれるので安心です。長男にとっても、見ていてくれる大人がいることはとても良かったと思います。

シッターさんとお話している中で、長男は幼稚園に通っていると伝えたら、まだ登園を自粛しているご家庭もあるというお話を聞いて、複雑な思いでした。こういった状況で、シッターさんにお願いするのかしないのか、保育園に預けるのか預けないのかなど、それぞれの家庭ごとの答えがあると思います。でも、家族に頼れないとき、外部のサービスに頼るのも、ママが孤独な子育てを抜け出すためにとても大切なこと。コロナのせいで、そんなことさえためらったり悩んだりしなければならないのは、本当に悲しいことです。

コロナの感染リスクと同じように、ママが孤独に子育てすることのリスクもあります。もちろん、どちらのリスクも正確に数字で表せるものではなく、どのくらいリスクを重く受け止めるのかは個人の価値観が大きく影響するでしょう。ただ、不安をあおるようなニュースを見るばかりではなく、そのニュースの元になった情報から冷静に判断できるといいなと感じました。

医師だって感染拡大は不安! 家では手洗いの前に消毒を

12月には私も仕事に本格復帰していましたが、その時期から感染者が急激に増えてきました。東京の感染者数は一日2000人を超える日もあり、12月後半から1月の間は、私もさすがに緊張感を持っていました。検査数が増えたなど、見た目の感染者数が増えた理由もあったようです。しかしそういったことすべて抜きにして単純に考えると、感染者が1日200人の時期と比べて、感染リスクはおよそ10倍になっているわけです。周囲でも感染してしまったという話も聞くようになり、いよいよ危機が迫ってきたと感じました。

医療では、例えば病気の診断をするときにも、必ず事前確率というものを考えます。例えばインフルエンザの流行時期に高熱が出たとしたら、インフルエンザである確率は高いですね。しかし、全く流行していない時期に同じ症状がでたとしたら、その人がインフルエンザである確率はそれほど高くなく、他の病気である可能性をもっと考えなければいけません。

コロナについても同じです。感染者数が大きく増えているならば、同じ生活をしていても感染する確率は上がっていると考えられます。実際もし感染したら、子どもは? 仕事は? 症状が重かったらどうしよう。親が陽性で子どもが陰性だったら? 考え始めると不安になってしまう日も正直ありましたが、不安になっているだけでは仕方ないので、できる追加対策を考えました。

それまでは、帰宅したらすぐ手洗いという対策だったのですが、蛇口などを触る前に消毒できるよう、玄関にアルコール消毒スプレーを設置しました(そしてアルコールがかかって床のフローリングのワックスが剥げてしまいましたが、もう仕方ないですね)。外食も、この時期は完全にテイクアウトに切り替え、外出中の屋内ではマスクを外さないようにしました。長男が外出先でいろいろと周りを触ってしまうのは半分あきらめていましたが、そのまま顔を触ったり、次男に触ったりしないようにだけ気をつけました。この頃には長男も感染対策にかなり慣れていて、自分でマスクを着けたり手を消毒したりできましたし、また帰宅後すぐの手洗いも習慣になっていたのは助かりました。

外はみんなマスクだからこそ、家では子どもに口もとをアピール

2回目の緊急事態宣言も終わりに近づいた2021年3月現在、感染者数も減ってきてはいますが、ひとつ心配しているのはマスク生活が及ぼす子どもたちへの影響です。例えば、マスクをしていると声が届きにくくなります。幼稚園の帰り道、長男と並んで歩いていると顔の位置も距離がありますし、マスクをしているとさらに声が聞こえません。長男が何か言っていても、聞き返すことが多くなりました。

また、口もとが見えないので、表情もわかりにくいですよね。特に次男はまだ赤ちゃんで、これから人の表情など学んでいく時期ですが、保育園では先生もみんなマスクです。家で過ごしているときには積極的に会話をして、話すときもできるだけ口もとをよく見せるように注意し、食べ物を噛んで食べている様子を意識して見せたりしています。

このような時代にあっても子どもたちが健やかに育つよう、保護者として、また医師としても、引き続きできることをやっていきたいと思います。そして、ワクチン接種が広がって、安心して生活できるようになる日が来るのを、みなさんと一緒に心から祈りたいと思います。

医師・森田麻里子さん
写真提供:本人

〔連載第1回〕東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍で3歳息子〕にやったこと、しなかったこと
〔連載第2回〕東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍で妊娠中〕にやったこと、しなかったこと
〔連載第3回〕東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍に出産〕にやったこと、しなかったこと

PROFILE
森田麻里子(もりたまりこ)

医師、小児睡眠コンサルタント、Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究の徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。著書に 『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、 『東大医学部卒ママが教える科学的に正しい子育て』(光文社新書)がある。

“もりたま”先生が監修した、赤ちゃんの寝かしつけ動画がこちら。赤ちゃんには画面は見せず音だけを聞かせてみて。
【You Tube】2020年「ムーニーちゃんのおやすみトントン 」60分繰り返し

『東大医学部卒ママが教える科学的に正しい子育て』(光文社新書)

『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)