2021.03.24

人気料理研究家・コウケンテツが語る「夫婦のあり方」伝え方編

人気料理研究家・コウケンテツさんインタビュー 第2回

寄稿家:コウケンテツ

料理研究家・コウケンテツさん。
オリジナルレシピを紹介するYouTubeの公式チャンネル『Koh Kentetsu Kitchen』も大人気。
撮影 森﨑一寿美

3人の子育てと仕事を二人三脚で務めてきたコウケンテツご夫妻。第1回では、”月に1度、夫婦の間で嫌なことをシェアする”場を設けていると話してくれました。しかしそれ以外でも相手の行動で気になるとき、どのようにやめてほしいと伝えているのでしょうか。今回もコウケンテツさん、妻・綾さん、ふたり揃ってお聞きしました。

3回“貯金”してから相手に伝えると、ケンカにならない?

前回はおやつなど食べながら、たわいもない話をしているときに相手に伝えるという話をされていました。しかし月にひとつだけ言うとなると、それ以外に気になることが出てきたときはどのように相手に伝えているのでしょうか。

綾さん​「私は思ったことはすぐ口にしてしまうんです。だから気になることは気づくとすぐに伝えてしまい、昔はよく険悪な雰囲気になっていました。ささいなことでケンカに発展してしまったこともたくさん。
でも、最近では相手が忙しいときや、余裕がなくてピリピリしているときは、”今はやめておこうかな”と伝えるタイミングをなるべく考えるようにしています。あとは自分の中で、”こうしてほしいな……”という気持ちが3回ぐらい貯まってから言おうと決めています。伝えるのが早すぎても遅すぎでもお互いによい方向に行かないような気がするから。
例えばすごく小さいことなんですけど、シャンプーや洗剤などの詰め替え。詰め替えてくれるのはありがたいのですが、そのまま空容器が捨てずに置かれていることがどうも気になってしまって……。”あ、また置いてある……”が3回貯まってしまったんです」

コウさん「でもすぐに僕には言わないんです。ある日、子どもと遊んでいるときに、綾さんが”これからみんなのいいところをひとつずつ言ってみよう”と提案して、ひとりずつのいいところを言っていったんです。”長男くんはこういうところがいいところだよね”、”長女ちゃんはこういうとろがいいところだよね”と、まずは子どもたちのことを褒めてから、”でも宿題はもうちょっと早めにしたほうがいいよね”とがんばって欲しいことも加えて。その最後に”パパはみんなに優しいところがいいところだよね。でも、シャンプーを詰め替えた後、容器を捨てたほうがいいよね(笑)”という流れで言われたんです。もうその流れで言われると僕も笑っちゃってね」

綾さん「直接本人に言うより、子どもたちも交えた会話の中で伝えると伝えやすいかなと思っています」

コウさん「そうすると子どもたちはほかのところも指摘してくるんですよ。”パパはごはん食べたあとに隠れてお菓子を食べてる”とかね(笑)。僕、お菓子が大好きなんです」

綾さん「ついでに自分のことも聞くようにもしていて。”パパの次にママのいいところと悪いところは?”って。自分のことは言われないとなかなか気づかないですよね」

コウケンテツさん(右)と妻・綾さん(左手前)。
撮影 森﨑一寿美

ひとつひとつ丁寧な夫とスピード優先の合理的な妻

家族でほめ合うなかでさりげなく相手に伝えるというのは、相手を思いやり、それにきちんとお互いの性格を把握できているからできること。

コウさん「綾さんはとても合理的ですからね」

綾さん「確かにそう思います(笑)。私は時間を有効的に使いたい、物事を段取りよく終わらせたいという気持ちが強くて、自分でも丁寧さがないなと思います。子育ても家事もそう言えます。
一方、コウさんのほうは、何事もゆっくり丁寧に時間をかけます。私と正反対なので、見習うべきところがたくさんあります。例えば食器の洗い方。私の場合は重なっている片っ端から、あるがままに洗っていたので割ってしまうことが多かったのですが、コウさんはまずシンクの中で大きさや種類を分けるところから始めます。食器かごの中に並べるときも、揃えてきれいに並べるので、”ああ、こうやるんだ”と、そこから自分にない部分を学んでいます。
それからコウさんはキレイ好き。料理を作りながら、ガスコンロの周りをまめに拭くし、ゴミの片付けや仕分けも面倒くさがらずにきちんとしているので、見習わなければと思っています」

コウさん「夫婦ふたりしかいないから”お互いに協力し合う”というところがありますね。あとね、僕は家事を着実に一個ずつじゃないとできないんです。丁寧にやるのが確かにいいところであるかもしれないけれど、時間がかかる。反対に綾さんのスピード感とマルチタスクっぷりは、すごいなと思います。洗濯しながら料理を作って、子どもの宿題も見て。僕は家事を同時進行するのが苦手なんですよね」

「洗面所の掃除も気が付いたら掃除用のタオルでさっと拭いています」(コウさん)
撮影 森﨑一寿美

家事のあとは必ず報告してアピール!

綾さん​「あと、コウさんは育児も面倒な家事も積極的にしてくれるのですが、それを家族にちゃんと報告することも忘れません(笑)」

コウさん​「絶対言いますね(笑)。”今日、お風呂と換気扇をキレイにしたんだけど、どう?”って」

綾さん​「自分ががんばってやったアピールを忘れないよね(笑)」

コウさん​「アピールは絶対大事だと僕は思います。子どもたちも”パパすごい! ありがとう!”って言ってくれるので、僕の気持ちがすっとします(笑)。だからママがアピールしてもいいし、ママのアピールも大切だと思いますよ」

綾さん​「子どもたちに、”掃除しなさい!”と言っても全然聞いてくれないんですが、”パパはお風呂の掃除、こんなところまできれいにしてくれたんだよ。髪の毛がいっぱい落ちているとパパが大変だから掃除しよう”と言うと、子どもたちも気を付けようとしてくれる。アピールにはそういうよさもあると思いますね」

第三回は”家族の間でお互いにほめ合う効用とは?”。子育てに活かせるコウさんのおうちのアイデアをお聞きます。

取材・文 上坂美穂

寄稿家紹介

コウケンテツ こうけんてつ

料理研究家。旬の素材を生かした手軽でおいしい家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。また30か国以上を旅し、世界の家庭料理を学んだ経験も持つ。プライベートでは3児の父親として育児に奮闘中。親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通して人と人とのコミュニケーションを広げる活動にも力を入れている。2020年3月末に開設したYouTube公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」は登録者数70万人を突破(2021年3月現在)。料理研究家ユーチューバーとしても活躍中。またYouTubeチャンネルの新シリーズとして、コウケンテツPresents「テツコウの部屋」チャンネルを開設。料理のお悩みや相談などリアルな意見交換の場を設けた。
【主な著書】
「本当は料理を作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ」ぴあ/「アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした」新泉社/「コウケンテツのだけ弁」扶桑社/「コウケンテツのおやつめし」「コウケンテツのおやつめし2」クレヨンハウス/「しょうが」「とうがらし」「弁当」「コウケンテツのおつまみ。」講談社/「コウケンテツの韓国料理1・2・3」NHK出版
Instagram @kohkentetsu 
Twitter   @kohkentetsu14
YouTube 『Koh Kentetsu Kitchen』