2021.06.15

ブックマーク

子どもに「家のお金事情」をうまく伝えるには理解・線引き・堂々と!

節約アドバイザー・丸山晴美の「小学校までに身につけさせたい! お金に強い子になる教え」第5回

丸山 晴美

お金に興味を持った子どもは、お金の話ばかりしてきます。うやむやにせず答えられるよう、丸山晴美さんに教えてもらいました。
写真:Paylessimages/イメージマート

子どもは無邪気なもので、道を歩いていて豪邸を目にすれば「こんなおうちに住みたいな~。買って?」などと親を困らせます。ここで「うちはお金がないから無理!」と一蹴しようものなら「なんで?」攻撃の始まり……。

このように、わが家の懐事情を突かれたとき、どう対応したらよいか。2021年6月時点で小学6年生の子を育てる、節約アドバイザーの丸山晴美さんにお知恵を拝借しました。

できないことは「できない」と何度でも明言!

お金に関する考え方や知識、そして経済状況は家庭によってさまざま。

もちろん、子どもはそんな事情は知る由もありません。まずはルール設定をしつつ、一つ一つ根気よく「できることとできないこと」を教えていく必要があります。参考までに、わが家の例を紹介しましょう。

丸山家では、いくつかルールを作っていました。まず、高額なものを買い与えるのは年2回、誕生日とクリスマスのときだけ。それ以外の時期におねだりされたら、「誕生日まで待てるかな? 待てないなら作ってみない?」あるいは「じゃあ、自分のおこづかいから買ったらどう?」などと、息子の年齢に応じて提案。わが家では、「ほしいものがあったら、自分で貯めて買う」というのが方針でしたから。

加えて、2016年に離婚して母子家庭になったこともあり、「うちはお金がないから、そんなに買ってあげられないよ」とも、素直に話すようになりました。

外食についても、「ごめん。うちはしょっちゅう外食できるほど裕福じゃないから、それはできないよ。でも家でご飯を作れば、外食より安いお金でたくさんのお肉が食べられるよね」と、できないことを伝えたうえで、ポジティブな提案をするようにしています。丸山家では、外食も、息子が検定試験に合格したときのご褒美など、本当に特別なときだけなのです。
 ➡︎ご褒美については、第3回『マネーリテラシーを養う「おこづかいのあげ方」5つのルール』を読む

今では、二人で外出先からの帰り道で「何か買っていく?」と私が聞いても、「家にあるものを食べようよ。お金使うことないよ」と息子から言ってくれるようになりました。この言葉はできるだけ彼の将来のパートナーとなる方には言わないように教えなければいけないとは思いますが(笑)、今の私にとっては、とてもありがたい言葉です。

また、結婚していた頃は、移動にタクシーをよく利用する元夫を見て、息子はタクシーに乗りたがっていました。ですが私は私で、「お父さんはお金があるからいいけど、お母さんはそんなタにクシーに乗れるほどお金に余裕がないし、自転車か電車の方がお母さんは好きだな。タクシーに乗れるのは、あなたが病気になって病院へ行くときと、お父さんがいるときだけだよ」と真実を伝えていました。このとき、子どもの前で片方の親を否定する言葉は使わず、あくまでも事実だけを伝えることを意識していました。

こうして、「できないものはできない」と言い続けた結果、息子は徐々に「ない袖は振れない」ことを理解していったようです。

「ここからは出せない」とブレずに線引きし理解させる

私自身は、お金がないなら「ない」と、正直に言っていいと思います。ただ、「ない」と言っても非常に曖昧ですよね。「お金がない」はずなのに、壊れた家電製品を買い替えるお金はあるの? と、子どもは鋭く矛盾を突いてきます。

そこで重要なのが、“線引き”です。
私は、こう話しています。

「最低限のことをできるお金はあるから、それは安心して。ただ、余分に使うお金はないの。たとえば、あなたに習い事をさせたり、生活に必要なお洋服や靴などを買い与えることはできるけれど、毎週のように外食をするお金はありません」

こう事実を伝えたうえで、「だからあなたも協力してくれる?」とお願いしています。

「子どもに家の懐事情を話すと、言いふらされたら恥ずかしい」と心配になるかたもいらっしゃるでしょう。もちろん、年収や貯蓄額など個人情報まで具体的に教える必要はありません。そこは親の「秘密」にして伏せてもOK。子どもにとって必要なのは、「どういうものなら買えて、どういうものは買えないか」という情報なのです。

使えるお金が少ないことは「かわいそう」ではない

仮にお金の欲求を100%満たせてあげられなくても、親自身が負い目に感じないでほしいと思います。お金に苦労することは、決してかわいそうなことでも恥ずかしいことでもありません。むしろ、早いうちからお金を考える機会に恵まれているので、マネーリテラシーを育むには有利だと言えます。

たとえば「お金がほしい」と言われたら、それは教育のチャンス。「この間おこづかいをあげたよね。それはどうしたら増えるかな? 一緒に考えようね」「貯めたお金をどう使えば、すぐにお金がなくならないかかな?」と返すことができたら、立派なマネー教育です。

「お庭がついたおうちに住みたいな」なんて言われたら、「あのおうちはすごく高いと思うけど、〇〇ちゃんが大人になってがんばって働いたら、買えるかもしれないね。そこまで稼ぐにはどうしたらいいかな?」とも発展できますね。こうしてわが家では、会話でのコミュニケーションを楽しんでいました。

小学6年生の息子は立派な節約エリートに

そんな息子も、今では小学6年生(21年4月現在)。去年から与えられたおこづかいの中でやりくりできるようになったので、それまで私自身が管理してきた高額なお年玉も、「これは俺のお金だよ」と主張されたのを機に、本人にゆだねるようになりました。もちろん彼は無駄遣いなどせず、コツコツとお金を貯めてはそのお金を私の机の上にポンと置き、「これでゲームソフトを買ってください」と言づけています。

また、考える力も育っています。私はときどきスーパーへの買い物を頼んでいるのですが、ある晩、おかずを買うよう頼んだら、見切り品の総菜を買ってきました。私は常々、「安い物を買うことがただちに節約にはつながらない。安いものではなく、必要なものを買うべきだ」と教えています。なのになぜ? と思い理由を聞いてみたら、

「安いから買ったんじゃない。フードロスのために見切り品を買ってきたんだよ」
という答え。成長を感じましたね。

さらに直近では、私の仕事を手伝ってくれるように。近々オンラインサロンで動画をUPすることになり、「まずは、動画編集を手伝ったら500円」「会員数が増えたらギャラもUPする」と提案。息子は小学校で動画編集の方法も習っているので、どうしたら集客につながるか、写真の撮り方や効果的な音楽の流し方などを彼なりに考えているようです。息子には「手に職」をつけるなどして、一人でたくましく生きていってほしいと願っています。

お金に関する考え方や知識は、一朝一夕には身につきません。小さいころからの積み重ねが大事です。そしてもっと大切なのは、親子の信頼関係。子どもと約束したことは守り、できないことは最初からしない。信頼できる親からマネー教育を受けた子どもは、外野からどんな情報が入ってきても、ぐらぐらしない太い幹に育っていくでしょう。


構成/桜田容子

コクリコのおすすめ記事

まるやま はるみ

丸山 晴美

1974年、新潟県生まれ。東京でフリーターをしていた21歳のときに「家を買おう!」と思い立ち、会社員となり、頭金を貯め始める。それから...