犬山紙子と考える!ママパパのモヤッと育児Q&A「親世代とのギャップ」
育児に関する情報や世代間の価値観の違いなど、気になる疑問に犬山紙子さんが答えるシリーズ第1回。
2023.06.21
ライター:木下 千寿
育児中の気になるモヤモヤ疑問を、犬山紙子さんと一緒に考える
「“悩み”というほどではないけれど、どうも腑に落ちない」「なんだか気になる」そんな話を、イラストエッセイスト、コラムニストとして活躍し、自身も6歳の娘さんの子育て真っ最中の犬山紙子さんと一緒に考えてみましょう。
「よく子どもを『モノで釣る』のはダメ、と言われますが、なぜダメなんでしょうか? 実はよくやってしまいます」(4歳女児ママ/東京都)
モノで釣る、私もよくやっていますよ! 子どもが何かの練習を頑張ってほしいときや、新幹線で泣くのを止めてほしいときなど、私はガチャガチャに命を助けられていましたから(笑)。「モノで釣るのはダメ」という思いが強すぎて、逆に子どもに声を荒らげてしまったり、怒ってしまったりするようなら、モノで釣ったほうがマシ、と思っています。
中室牧子さんの著書『学力の経済学』に、ご褒美で釣るのは必ずしも悪いことじゃないというようなことが書かれていました。考えてみたら、大人だって「ダイエットを頑張る!」と決めても、目標達成までに3ヵ月や半年かかる間、ずっと頑張り続けるのって難しいですよね。頑張るために、「明日は甘いものを食べてもOK」という遠すぎない未来に“ご褒美デー”を作ることもあるでしょう。そんなふうに、ときにはご褒美で釣るのもアリだと思うんです。
モノ(ご褒美)で釣るのがなぜダメかというと、モノがなくても自発的にやるようになってほしいからだと思います。でも、子どもが自発的にやる“習慣づけ”のスタートには、ご褒美が有効なんじゃないかなとも思います。
「親世代と私たちとの子育てに対する考え方のギャップに困っています」(1歳男児ママ/大分県)
1歳というと、米粒の味だけじゃなく感触なども学んでいる最中だから、好きに触らせてあげたいというママさんの気持ち、分かります。その一方で、お義父さんのような考え方もあると思います。でも今からこのお義父さんの考え方を変えるのはめちゃくちゃ難しいだろうな……。
関係性的に相談主さんがお義父さんと直接対決するのは難しそうですよね。私だったら、まず夫に「お義父さんのこういう考え方、私とちょっと違うんだよね」と打ち明けて、夫に味方になってもらうかな。そしてお義父さんから何か言われたら、夫から義父に「今、子どもはこれで学んでいる時期なんだ」と言ってもらうようにします。もしくは義父の前では、子どもの食事シーンを見せないようにするのも手かな。
SNSなどで、世代別に子育てに対する考えの違いをまとめたリストが出ていたりもするので、そういうのを親と共有しておくといいかもしれませんね。もちろん、関係性によると思いますが、それぞれ夫と協力して互いの実親に送っておくとスムーズかなと思います。
「『かわいい』と言われたい息子。お姉ちゃんが言われるから一緒がいいのかなぁ」(2歳男児ママ)
「かわいい」と言われたい息子さん、何も問題じゃないですよね! 「かわいい」という言葉がうれしい男の子、たくさんいるけれど、ジェンダーバイアスのせいで可視化されにくいのかもしれません。まったく悪いことではないので、「かわいい」と言われて子どもさんがうれしそうなのであれば、たくさん「かわいいね」って言ってあげてください!
ちなみに私、子どものころは「カッコイイ」という言葉がうれしかったです。ヒーローアニメなどを見て、「私もこんなふうになりたい!」って思っていましたから(笑)。
だったらなおさら、“家の中は絶対にあなたの味方だよ!”という空気を作って、その想いを子どもに伝えてあげることが大事かなと思います。「男の子に『かわいい』もいいし、女の子に『カッコイイ』もいいよね」って。子どもにとって家はどんな自分でも愛され、肯定される場だと信じられるような環境を作ることが、今、親としてできることじゃないかなと思います。
そして、自分の子が傷つける側に回らないようにもしたい。我が家では性別による「らしさ」を押しつけないことの大切さや、多様な性があること、それは何もおかしなことではないことを小さなうちから伝えるようにしていました。
木下 千寿
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。