ひろゆき「『自分はこれが得意だ』という“思い込み”は重要」

【WEBげんき新連載】わたしが子どもだったころ #1ひろゆき

ライター:山本 奈緒子

パソコンとの最初の出会いは小学生のとき

その在学中の冬休みに、僕は友人と「暇だよね~」とホームページの制作会社を起こしました。これが意外と簡単に軌道に乗って。そこからそれを発展させていったのかというと、そうではなくて。

ネットサービスには英語のものも多かったので、英語ができたほうが便利だよねと思い、会社は放り出してアメリカに留学したんです。で、その留学中に、日本の情報を得たくて作ったのがネット上の匿名掲示板「2ちゃんねる」でした。これが想像以上に大きくなって、今の僕へとつながっていくわけですが……。

コンピューターとの最初の出会いは、小学生のときです。ゲームがしたくてファミコンを買おうと思い、お金を貯めてお店に行ったら、父親がファミコンではなくMSXを勧めてきたんですよ。これはファミコンと同じようにゲームができるんですけど、キーボードタイプで、「子ども向けコンピューター」とも言われていたもの。

このMSXがきっかけでコンピューターの面白さに目覚めた……ということも特になくて、普通にゲームを楽しんだだけでした。ただ小学生でMSXに触れたことで、パソコンに触れることが特別なことではなくなった、というのはありますね。だからその後、『パソコン通信』を始めてプログラミングを学んで。大学に入ってインターネットが主流になってきたときも、抵抗が全くなかったので、それが人に先駆けてネットのビジネスアイディアを思いつけた要因の一つかもしれません。

「自分はこれが得意だ」という思い込みは重要

撮影:榊智朗
こんなふうに、行き当たりばったりで何とかここまで来た僕なので、子育ての正解が何かは正直分かりません。でも、早くからパソコンを得意だと思い込んだことで、抵抗なくプログラミングに取り組めるようになったのは間違いないと思うので、思い込みは重要だと思います。

たとえば最近だと「スマホは何歳から持たせたらいいでしょう?」とよく聞かれるんですけど、興味を持ったら何歳でもいいと僕は思っています。5歳までは近視になりやすいので、あまりスマホを見過ぎないほうがいいとは思いますが、子どもは興味があるものは、自力でどんどん開拓していくもの。スマホも渡してみると、勝手にパスワードを解除したり、ゲームのやり方も習得していったりする。そうすると、自分はIT関係が得意なんじゃないかと思い込めるんですよ。

プロ野球やサッカーの選手って4、5月生まれが多いんですけど、それって他の同学年の子より成長が早くて上手くプレイできるから。その結果、「俺、才能あるんじゃね?」と思い込み、自信をもってプレイできるようになるんだと思うんですよね。だから子どもが興味を持ったものは禁止せず、好奇心や自信を伸ばしてあげるべきだと僕は思います。

20年後の正解が分からない時代に、子育てで大事なこととは?

僕の母はゲームに偏見があって、僕がパソコンを使おうとするといつも怒っていたんです。パソコンなんて役に立たないと思っていたんでしょうね。でも今や、時代はこんなことになっている。大人というのは間違えていることが多いものなんですよ。だから僕は、今の子どもたちにこう言いたい。大人の言うことなんて従わず自分でやってみろ、と。

ちなみに僕は、納得がいかないといちいち歯向かっていた子どもでした。そうすると、大人はあらゆる角度から「こうだから、それをしてはいけない」と言ってくるんですよ。おかげで、「なるほど、こういう言いくるめ方をしてくるんだ」と学びました。歯向かって初めて見えてくるものもあるので、それもいいかもしれません。

こういった子ども時代の経験から僕が学んだのは、失敗や間違いから学べることは非常に多い、ということです。そして、ほとんどの失敗や間違いは元に戻すことができる。だから親は、自分の考えを押し付けて子どもの好奇心を潰さないようにすることが大事だと思います。ましてや今は、20年後の正解が何か全く分からない時代。たとえば英語だって、嫌がるのを無理やり勉強させたところで、20年後には全てAIが担ってくれるようになるかもしれません。正解がないからこそ、本人が必要だと思ったり、「やりたい」と思ったことをやらせてあげるべきだと思うんです。

ただし稀にですが、元に戻らない失敗もある。僕は子どものころ、友達が歯でビール瓶の蓋を開けているのを見て、自分もマネしてみたんです。そうしたら歯が欠けてしまって。多少のケガなら元に戻りますが、こういう失敗は元に戻らないので、そこだけは気を付けたほうがいいでしょう。
撮影:榊智朗
撮影:榊智朗
取材・文:山本 奈緒子
ひろゆき
本名:西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都北区で育ち、中央大学へ進学。在学中にアメリカ・アーカンソー州に留学。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)などがある。
『99%はバイアス』
現在、SNSの総フォロワー数は300万越えのひろゆき氏。大ブレイクの裏側には「バイアス(思い込み)」を操る技術があったことを、初めて明かしたのがこちらの最新刊。コンテンツを作るコツ、効率的なインプットの秘訣、仕事の休み方など、自身の実体験をもとに、誰もが学びやすく生かしやすい戦略やスキルを綴っています。ダイヤモンド社/¥1650
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やまもと なおこ

山本 奈緒子

ライター

1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。

1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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