振付師ラッキィ池田さん&彩木エリさんご夫妻に聞いた いなばあダンスのヒミツ!

「いないいないばあっ!」の楽しいダンスを作っている、振付師のラッキィ池田さん、彩木エリさんご夫妻。 あのダンスがどのように生まれるのか、そのヒミツに迫ります!

げんき編集部

25周年記念企画 音楽クリエイタースペシャルインタビュー!(ラッキィ池田さん・彩木エリさん)
踊るうーたん・ワンワン・はるちゃん
--「いないいないばあっ!」の歌はすべて、お二人の振り付けですね。どうやって作っているのですか?

ラ:ラッキィ池田さん(以下略)まず曲をいただいて、歌詞とメロディにインスピレーションを得て、ふたりでアイディアを出しあって振り付けを考えます。「いないいないばあっ!」の曲はどれも素晴らしいので、それぞれのクリエイターたちの思いを立体的に表現できるよう、曲のイメージをどんどん発展させていく感じです。そして収録現場でワンワン、はるちゃんなど出演者の方に実際に動いてもらい、調整しながら完成させる、という流れです。

--振り付けするとき、なにか意識していること、テーマなどありますか?

エ:彩木エリさん(以下略)楽しければなんでもいい(笑)。ダンスというジャンルにあまり当てはめて考えてはいませんね。テレビの前の子どもたちは言葉がわからない年齢だから、じつは歌詞もわからない。だから歌のテーマが体の動きで伝わるように考えます。でも一番はとにかく楽しく遊んでもらいたい。「遊ぶ」が大事ですね。

ラ:エリ先生は収録現場で本当にはるちゃんとか女の子と遊んでるよね?

エ:マブダチだから(笑)「いないいないばあっ!」は子どもたちに遊んでもらうための番組だから、女の子たちに楽しく遊んでもらって、その延長線上に収録があるような環境作りをしています。女の子が心から楽しんで遊ぶことで、テレビの前の子どもたちも遊んでくれる。作り笑いじゃ絶対ダメなんです。だから私と女の子たちは振付師と演者という関係性ではなく、意気投合して同じ遊びに取り組む友だち、という感じです。

ラ:振り付けのテーマは「パッション イマジネーション パリ・コレクション」。(一同爆笑)

エ:冗談ではなく、子どもとの遊びに対する情熱、想像力、つねに時代の最先端を捉える、ということです。ハイブランドのパリ・コレクションなどを見ていると、長年受け継がれる基本を大事にしながら、時代の空気をしっかりつかんで変化している。その姿勢、気概を私はすごくリスペクトしています。「いないいないばあっ!」も長く続いている番組だからこそ、時代をしっかり捉え、新しいことも貪欲に取り入れて努力していこう、そういう精神でありたい、という意味です。

--なるほど、パリ・コレクションはそういう意味だったんですね。読者の中には「うちの子は番組を見ても踊らない」とこぼす親御さんもいらっしゃいます。今は小学校でダンスの授業もありますから、心配なのかもしれません。

ラ:見ているだけの子は、心で踊っているんですよ。テレビを見ながら活発に動く子、まったく動かない子、タイプが違うだけ。私たちは振りを付けますが、その通りじゃなくても、全然違う踊り方になってもかまわないんです。きっちり踊るだけがダンスじゃない。子どもひとりひとりが違う「おもしろい」を見つけてくれればいいんです。うーたんのように揺れるだけでもなんでもOK!

エ:子どもは親が思っているよりも、はるかにたくさんのことを感じ、考えています。子どもは何もないところでも、それぞれおもしろそうなことを見つけて遊びだすでしょ? 遊ぶことで勉強では身につけられない創造性や発見する力、頭の柔軟性、応用力が養われ、それは大人になったとき、大きな財産になるんです。だから「いないいないばあっ!」は、「今日もいっぱい遊ぼうね〜!」なんです。

ラ:大人はすぐ「危ない」と子どもの行動を止めてしまうけど、チャレンジすることはとても素晴らしいことです。エリ先生は器械体操の選手だったんですが、幅10センチしかない平均台の上でバク宙したりするんですよ。危険極まりない!(一同爆笑) でも、できるようになった。チャレンジしたからです。だから少し「危ないかな」と感じることも、見守ってやらせてあげてほしいです。「ダメ」と止めてしまったら育つものも育たなくなってしまいますから。

--最後に読者の方にメッセージをお願いします。

ラ:「いないいないばあっ!」は、子どもたちに「地球に生まれて良かったね! おめでとう!」を表現している番組です。我々は日本中、いや世界中の子どもたちの親になったつもりで、親心でこの番組を作っています。みなさんはもうひとつの親心が見守っていると思って、安心して毎日の番組を楽しんでください。


今年、結婚25周年、銀婚式を迎えたという、まさに番組とともに歩まれたお二人。これからも楽しいダンス、よろしくお願いしまーす!
Profile
ラッキィ池田(ラッキィ いけだ)さん
東京都出身。自由で形にとらわれない独創的な発想の振り付けが各界の注目を浴び、これまでテレビ番組、CM、映画、舞台など数えきれないほどの作品にたずさわる。「ピカピカブ~!」「ワンワン☆ダンス」の作詞も手がけるなど、多彩なシチュエーションでマルチに活躍する。

彩木エリ(さいき えり)さん
大阪府出身。中学校から器械体操を始め、高校ではインターハイ、国体に出場。その後プロダンサー、振付師に転身。子ども番組、CM、ドラマ、舞台などで数々の振り付けを手掛ける。なかでも舞台やステージなど、華やかな大勢のフォーメーションを得意とする。
取材・文/久世恵美


※この記事は「いない いない ばあっ!」2021年秋号を再構成したものです。

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幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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