動かない鳥として有名なハシビロコウの驚きのひみつとは? 日本全国の12羽をご紹介!
クイズや動画、コラムで『鳥 新訂版』の表紙を飾るハシビロコウづくしのスペシャルページ!
2023.11.28
表紙を飾るのは動かない鳥として有名な「ハシビロコウ」。MOVEの公式サイトでは、動物園の人気者ハシビロコウをさらに深掘り! 専門家による生態コラムや、ハシビロコウクイズ、実は「動きまくる」という姿を集めた動画、図書カードが当たる「ハシビロコウSTOPチャレンジキャンペーン」など、あらゆる角度からハシビロコウの魅力をお伝えします。
※ MOVE『鳥 新訂版』では野生のハシビロコウを掲載しており、動物園のハシビロコウは掲載しておりません。
目次
ハシビロコウってどんな鳥? 動かないのにはわけがある
教えてくれたのは……
ハシビロコウといえば動かない鳥。ある研究結果では、日中の活動時間の約60%がじっと動かずに立っていたというくらい動きません。石のように動かないのに活動時間というのは、なんだか変な感じです。でも、これは怠けているわけではなく、ちゃんとした目的があって動かないので、堂々と活動時間と呼んでいいのです。
では、どうしてハシビロコウは動かないのでしょうか? それは、ある獲物を捕らえるためにはどうしても必要なやり方だからです。
また、乾季に水がなくなっても生きていけるように、肺で呼吸ができる体に進化したのです。とうぜん、肺呼吸ですから、ときどき水面に浮いてきて空気を吸います。人間の水泳でいう息継ぎですね。
じつは、これがハシビロコウの狙い。ハイギョが息を吸いに水面に近づいた瞬間に、体全体で飛び込むようにして捕らえるのです。
トレードマークである巨大なくちばしも、じつはハイギョを確実にとらえるための重要なアイテムです。とにかくハイギョは40cmくらいある大きな魚。しかもヌメヌメして滑りやすい体をしています。それを一発でしとめるためには、くちばしでバクッとくらいつき、暴れる魚をしっかりと挟めなければなりません。それには、パワーが出る幅広の丈夫なくちばしが必要なのです。また、くちばしの先が曲がってフックになっているのも、滑りやすいハイギョをひっかけて捕るための形状です。
ハシビロコウは、ハイギョという特殊な獲物を捕らえて生きる道を選んだ鳥です。大きくて食べ応えがある魅力的な魚ですが、それほど数は多くありませんし、捕らえるチャンスも一瞬しかありません。ハシビロコウは徹底して動かないという戦略で忍耐強く待ち続け、巨大なくちばしでチャンスを確実にものにする。そんなすごい鳥なのです。
でも、こんな獲物を捕らえる暮らしは、たくさんの鳥がいては成り立ちません。ですから、ハシビロコウは広大な縄張りをもち、夫婦でさえも並んで獲物を捕ることはまずないのです。このことから、ハシビロコウがどうしても数が多い鳥にはなれないため、開発や密猟があると数を減らしてしまいます。
この世界で1種しかいないユニークな鳥がずっと暮らしていけるためにも、世界中の人々が協力して守っていく必要があるのです。