ぬいぐるみがママ代わり「がんばれパンチくん」の【市川市動植物園】へ行ってきました!

〈新連載〉ドリトル柴田の「動物園に行ってみた!」vol.5 (3/3) 1ページ目に戻る

科学ジャーナリスト:柴田 佳秀

パンチくんが暮らすサル山へ

さあ、いよいよ今話題のパンチくんに会うため、ニホンザルたちが暮らすサル山へやって来ました。
パンチくんがいるサル山。ニホンザルを群れで展示しています。
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ここにはニホンザルが全部で56頭。その中でいちばん年下なのがパンチくんです。最年少と聞けば、きっとひときわ小さいはず。そう思って探してみると……いました。バックヤードの出入り口にちょこんと座っているのがパンチくんです。
バックヤードの出入り口で外の様子をうかがうパンチくん。

ぬいぐるみのオランウータンがママの代わり

パンチくんは、母親に育てられず、飼育員さんの手によって人工哺育されている子猿です。実は、昨年10月にこの動物園を訪れた際、生後3か月でまだデビュー前だったパンチくんに出会っていました。飼育員さんに付き添われながら過ごしていた姿が強く印象に残っています。
生後3か月のデビュー前のパンチくん(2025年10月7日撮影)
本来であれば、子猿は母親の体毛にしっかりとしがみつき、そのぬくもりを感じながら自然と筋力を養っていきます。しかし、パンチくんには母親がいません。そこで“ママ代わり”となっているのが、オランウータンのぬいぐるみです。
ぬいぐるみの「オランママ」と一緒にいれば安心。
飼育員さんによると、丸めたタオルやほかのぬいぐるみなども試してみたそうですが、パンチくんが最も気に入ったのがこのオランウータンでした。小さな体でそのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる姿は、とても健気で、見ている側の胸まで締めつけられるような気持ちにさせます。
どこへ行くときもママを連れていきます。

でもやっぱりお兄さんが好き

取材した日は、生まれてから半年がすぎたころ。ちょうど群れになじむための訓練が進められている時期でした。様子を見ていると、他のサルに近づく勇気ある姿もあれば、「やっぱりちょっと怖いかも」という感じで一定の距離を保つ場面もあります。そして、おやつタイムで飼育員のお兄さんがサル山に入ってくると、次の瞬間、パンチくんは足に飛びつき、そのまましがみついて抱っこ。まだまだ育ての親が恋しいんでしょうね。
育ての親の飼育員さんの姿を見るとすぐにしがみつきます。

がんばれパンチ

見守っていると、パンチくんは何度も小さな冒険を繰り返していました。勇気を出してぬいぐるみから離れ、群れの中に足を踏み込む。でも、何かあるとぬいぐるみへ戻ってくる。その往復がなんとも健気です。ときには大人のサルに「ちょっとあっちにいきなさい」と言われるような場面も目撃しました。それでもへこたれずに、元気いっぱりに走り回る姿はたくましくも思えました。
ぬいぐるみのママから離れて冒険に出発!
母親代わりがぬいぐるみでも、甘える相手が飼育員さんでも、パンチくんは確実に自分の足で一歩ずつ前に進んでいるように見え、きっとニホンザルの群れ社会になじむ日は近いのではと確信。また、しばらくしたら成長したパンチくんに会いに来たいと思いながら動物園を後にしました。
1人遊びもだんだんできるようになってきた感じです。がんばれパンチ!
敷地内にある自然博物館もお勧めです。これは市川市内で見つかったクジラの骨だそうです。
取材日:2025年3月13日、2025年10月7日、2026年2月14日

写真・文/柴田 佳秀

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柴田 佳秀
しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。