リアルな恐竜たちの映像はどうやって作るの? 公開中の『恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!』から紹介!

劇場版の監督に恐竜CG映像制作の舞台裏を聞いてみました!

映画に登場する「恐竜時代の風景」はどこの風景?

CG制作の舞台裏
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NHK 総合テレビの人気自然番組『ダーウィンが来た!』の劇場版第5弾『恐竜超伝説 2  劇場版ダーウィンが来た!』が、2024 年3月8日(金)よりユナイテッド・シネマほかにて公開中。

太古の超巨大大陸「ゴンドワナ」を舞台に、「超巨大恐竜」たちと最新研究によって浮かび上がってきた"巨大隕石の衝突にさらされた恐竜たちのサバイバルストーリー”を大迫力の高精細CG映像でご紹介。

今回は、講談社の動く図鑑MOVE「恐竜2 最新研究 新訂版」にも登場する多数の最新恐竜がまるで生きているかのように楽しめる高精細CG映像に注目! 劇場版の植田和貴監督に、CG制作の舞台裏について聞いてみました。
植田和貴
NHKエンタープライズ自然科学部シニア・プロデューサー。主な担当番組に、ダーウィンが来た!「バシリスク」「パフィン」「ティラノサウルス」「丹波竜」「アノマロカリス」/NHKスペシャル「恐竜VSほ乳類」「恐竜絶滅ほ乳類の戦い」「火星大冒険」「メガクエイク2」「生命大躍進」「世紀の発見! 日本の巨大恐竜」「恐竜超世界」「恐竜超世界 in Japan」(科学放送高柳賞 最優秀賞)「恐竜超世界2」などがある。

人が恐竜を演じている! 意外と古典的な作り方とは?

この劇場版では、従来言われてきた“恐竜の常識”から大きくはみ出した“躍動する恐竜たちの物語”を、ほぼ全編にわたって「高精細CGを駆使したリアルな恐竜たちの映像」のみを主軸に構成し描き出しています。この恐竜映像のメイキングの様子は、劇場版のエンドロールの際に紹介していて、一つの見せ場になっているのです。
ーCGはどうやって作るのですか?

まず技術的には「風景を含めて全てをCGで作ることも可能」ですが、私たちの恐竜の映像は「実写の風景を撮影し、そこにCGの恐竜を合成する」という方法を基本にして作っています。つまり、「恐竜時代の風景に比較的近いと考えられる場所」を探し出して、その風景を撮影。その映像に恐竜のCGを合成しているのです。

ー背景となる景色はどこで撮影しているのですか?

実際、2020年に公開された「恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た」のときには、ニュージーランドを訪れ、そこで「恐竜時代の風景」を撮影しました。

一方、今回の「恐竜超伝説2」の「恐竜時代の風景」は2021年に撮影。つまり、新型コロナウイルスのまん延の真っただ中での制作だったのです。そのため海外での撮影はあきらめ、国内にある風景を探すことに。前年2020年に北海道、青森、鳥取などを訪ね、今回の恐竜時代の風景に合いそうな場所を捜し歩きました。

このロケハンの結果、例えば物語の前半で描かれるプエルタサウルス、マイプが暮らすゴンドワナの世界の風景の多くは、北海道標茶町の多和平(標茶町育成牧場)にお邪魔し、撮影させていただくことになりました。その他、「プエルタサウルスが地熱地帯で卵を産むシーン」は都内の伊豆大島で、「隕石衝突の後、南極にあった“恐竜たちの避難所”」は熊本県などで撮影させていただいたのです。
北海道の標茶町育成牧場で撮影した風景。そこにゴンドワナの恐竜たちを合成していきます
北海道の標茶町育成牧場。実際に合成されたシーン
ー具体的にどうやって進めていくの?

実際に描くシーンは、まず我々が絵コンテを書き、それを監修者の恐竜学者、北海道大学の小林快次教授に見ていただき、修正しながら決めていきます。そして完成した絵コンテをもとに現場で「恐竜を合成するための風景」を1カット1カット撮影していきます。実はこの撮影で私たちが重要視しているのは、1カットにつき「カラ絵」と「人あり」の2カットを必ず撮影するという点。

ー「カラ絵」ってなんですか? 「人あり」が必要なのはなぜですか?

「カラ絵」はまさに「風景だけの画像」。絵コンテをもとに撮影した、恐竜を合成するための風景の映像のことを言います。しかし私たちはここで、もう1つ、あえて「人あり」の映像も撮影します。
恐竜を合成する予定の位置にスタッフが入った映像があると、後々、恐竜を合成する際に、大きさを確認できる利点があるからです。しかも必要に応じて、スタッフが恐竜の動きを演じることも重要!「そのカットで予定する恐竜の動き」を映像に“焼き付けて”おくと後々、アニメーターがコンピューターで恐竜の動きを作る際、 “恐竜の動きのイメージ”をスタッフの演技から直に受け取ることができるからです。「人あり」カットは正直、遊んでいるようにしか見えない映像(汗)ですが、そのカットに込めた思いを“念じ入れる!”という意味で、とても重要なんです。

とはいえ今回はプエルタサウルスという全長30mを超える超巨大恐竜が主役だったので、体のサイズが人のサイズと違いすぎ、“恐竜を演じる”と言ってもかなりの無理があったのですが、5mを超える物差しを併用したりして、可能な限り、各カットで意図していた“恐竜たちの動き”を、「人あり」カットの中に焼き付けました。

実際の撮影シーンを公開!

人力で再現したプエルタサウルスと噴煙(人ありカット)
プエルタサウルスと噴煙。風景(カラ絵)に恐竜たちを合成していく
人力で再現した巨大なマイプ(人ありカット)
実際のマイプのシーン
人力でエドモントサウルスとその巣を再現(人ありカット)​
比較するとこんな感じ!
実際のエドモントサウルスのシーン
こうして今回の劇場版で登場する「恐竜の映像」はどれも基本的に「カラ絵」と「人あり」の映像を撮影していき、作り上げていきました。恐竜たちの動きの陰に、それぞれ、スタッフの演技が隠されていることにも思いをはせてもらいながら、「世界の最前線を行く研究者たちが思い描く恐竜の物語」を、劇場の大画面で楽しんでもらえれば幸いです。

ⓒ『恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!』製作・配給 ユナイテッド・シネマ 映像提供:NHK

小林先生も出演! 『恐竜超伝説 2  劇場版ダーウィンが来た!』

2024年3月8日より全国にて公開中!

©︎「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」製作・配給 ユナイテッド・シネマ
NHK 総合テレビの人気自然番組『ダーウィンが来た!』の劇場版第5弾『恐竜超伝説 2  劇場版ダーウィンが来た!』が、2024 年3月8日(金)よりユナイテッド・シネマほかにて全国ロードショー。

今回舞台となるのは太古の超巨大大陸「ゴンドワナ」。「超巨大恐竜」たちと、最新研究によって浮かび上がってきた“巨大隕石の衝突にさらされた恐竜たちのサバイバルストーリー”を大迫力の高精細CG映像でご紹介します。過酷な世界をたくましく生き抜いた、知られざる恐竜たちの物語が明らかに!

講談社の動く図鑑MOVE「恐竜2 最新研究 新訂版」にも登場する多数の最新恐竜が迫力の高精細CG映像で登場。同じ時代に生きていたかのような感覚で楽しめるはず。

『恐竜超伝説 2  劇場版ダーウィンが来た!』
https://kyouryu2-darwin.com

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