半寄生植物ヤドリギの実があるところに現る! エレガントな渡り鳥レンジャクとは?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

じつはこれ、ヤドリギを食べたときにする糞。丸のみにされた果実は、体内で果肉だけが消化され、タネが糞となって排出されます。そのタネは、ネバネバとした特殊な成分に包まれていて、タネ同士が連なり糸を引いて出てくるのです。
糞をする
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なんだかちょっと気持ちが悪いですが、これはヤドリギの重要な作戦。

ヤドリギは、ケヤキなどの高い木の枝や幹にくっついて根をはやす半寄生植物で、こんな場所に種まきができるのは鳥くらいしかいません。そこで、レンジャクに果実を食べてもらってタネを運搬させるのです。

排出されたタネは、ネバネバとした接着剤のようなもので包まれていますから、樹皮にがっちりと張り付きます。そして、タネは根を幹の中に伸ばし、成長するのです。ヤドリギは、運搬料として甘い果実を鳥に提供してタネを運んで貰い、レンジャクにとっては冬の重要な食べものとなる。持ちつ持たれつの実によくできた関係になっているのです。
ヤドリギとヒレンジャクの群れ
ヤドリギは、大きな木にブロッコリーのような感じでくっついていますから、見つけるのはそう難しくありません。もし、ご近所にこんな木があったらレンジャクに出会える可能性があります。ただし、レンジャクは日本にたくさん渡ってくる年もあれば、まったく飛んでこない年もあるので、出会えるチャンスは運次第ということもあります。
写真提供/柴田佳秀

レンジャクのなかまが掲載されているMOVE

ヤドリギのふしぎな特ちょうも詳しく解説!

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しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。