昆虫研究家が実感…!「30年前の東京にはいなかった」昆虫たちとは?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ (2/2) 1ページ目に戻る

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

3.リュウキュウツヤハナムグリ

この美しいハナムグリを撮影したのは、自宅にほど近い品川区の「大井ふ頭海浜中央公園」です。公園の中に植えられたクヌギの枝に群がっていました。これは本来、奄美大島に生息しているハナムグリです。だから当たり前ですが、元々東京には全くいませんでした。

おそらく奄美大島から果実などと一緒にこのハナムグリが近くにある青果市場に運ばれ、そこから逃げ出したのではないか、と考えられます。数年前に家の近所で初めてこの虫を採ったときは本当にびっくりしました。

しかし今や、私の家の周りではリュウキュウツヤハナムグリが最も数の多いハナムグリになってしまったのです。美しいけれど本来、ここにいてはいけない昆虫。なんとも複雑な気持ちです。

4.キマダラカメムシ

大型のなかなか格好いいカメムシです。このカメムシも昔は全くいなかったのですが、今や我が家の周辺で一番よく目にする種類です。

元々、台湾から東南アジアに分布する種類ですが、日本での発見は古く、江戸時代に長崎県の出島で見つかり、新種として発表されました。それが何とその後の100年以上にわたって記録がなく、150年後の1934年に長崎県で再発見されたのです。その後は日本では九州だけに定着していると思われていました。それが突然2008年に東京で発見され、他にも本州各地で見つかっているのです。

南方系の虫なので温暖化で北上していることは間違いなさそうですが、それが九州からじわじわと分布を広げてきたのか、あるいは、台湾や中国などから直接本州に持ち込まれたのかは、わかっていません。
他にも20年、30年前には東京にいなかった昆虫がいろいろいるのですが、今回は私が気になっている代表的なものを紹介してみました。
写真提供/伊藤弥寿彦

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価格:価格:本体2000円(税別)

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いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。