春先に森を歩く機会があったら注意深く探してみてください。このチャタテムシの集団が見つかるかもしれません。見つけたら、軽くつついてみてください。びっくりすると思いますよ(笑)
「チャタテムシ」って、何だか変な名前ですね。この仲間は日本だけでも数百種類(世界には5000種類以上?)もいて、種類によって暮らしぶりもさまざまです。実は、家の中にもすみつくことがある種類もいます。それが集団で障子に止まって音を出すと、その音が障子紙に共鳴して、まっ茶をたてるときのような「チャッチャッチャッ」という音がするので、こんな名前がついたのです(どうやって音を出しているのかは、よくわかっていないのだそうです!)。
「小豆洗い」という妖怪を知っていますか? 夜、かすかな小豆をとぐような音がするのに、見に行くと誰もいない……。そんな謎の現象を、昔の人は妖怪に見立てました。実はそれ、スカシチャタテというチャタテムシの仕業なのだ、と今ではいわれています。
伊藤 弥寿彦
1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクタ...