
自由研究にも使える!ちょっと本格的な化石の写真の撮り方を古生物学者が伝授!
【ちょっとマニアな古生物のふしぎ】古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ
2025.08.07
古生物学者:相場 大佑
背景の処理と切りぬき

でも……このままでは論文には使いません。なぜかというと、「ある大事な処理」をまだしていないからです。
ホワイトニング
「えっ、色があったほうがよくないの?」と思うかもしれませんね。実は、化石の色は古生物学の研究においてはあまり関係がないのです。殻や骨が化石になる間に、長い時間をかけて生きていた時の色とは違うものになってしまうことがほとんどです。また、殻が剥がれたり、壊れてしまった部分だけがちがった色に見えたりすることもあります。だから、あえて真っ白にして、本来の形や細かい特徴だけが目立つようにするのです。
ホワイトニングのやり方



白くしたあとの写真

ちなみに、白い粉は水でかんたんに落ちるので、やり直しもできます。厚塗りしすぎて細かいところが見えにくくなってしまったら、洗ってもう一度ホワイトニングをして撮影して……と、満足の一枚が撮れるまで何回もやりなおします。
とくにトゲがついていたり、立体的な化石は、ホワイトニングの量や光の当て方で、ぜんぜん見え方が変わってしまいます。少しずつ調整しながら、繰り返し撮影し、1つの化石に丸1日かけることもあります。
良い写真を撮るときに大切なこと
化石の写真を撮るとき、僕も「この化石のどこがすごいのか、どこが特別なのか」を理解した上で、「その特徴を一番よく見せたい!」と思いながら撮影しています。
良い写真を撮るコツは実はテクニックなどではなく、もしかしたら被写体の魅力や特徴を理解し、それを誰かに伝えたいと思うことなのかもしれません。
写真提供:相場 大佑
相場 大佑
深田地質研究所 研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現職。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに2種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。
深田地質研究所 研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現職。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに2種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。