ホーキング博士に師事した物理学者が説く「宇宙人と出会ったら?」
科学入門書『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』の著者、高水裕一氏が『ウルトラマン』に登場する宇宙人との接し方を語る。
2022.05.12
物理学者:高水 裕一
なかには、こんな目的も
ザラブ星人です。
地球人よりはるかに高い科学力を持つ宇宙人です。
「きょうあく宇宙人 ザラブ星人/宇宙の各惑星をほろぼすために、ザラブ星から送り込まれてきた」
こうなると「破壊型」とでもいいますか……。狙った星を自滅に追い込むのが仕事らしいですが、仕事場にされた星からすれば、たまったものではありません。
星団で育った宇宙人
その科学力に関連したことになりますが、星団の中で育った宇宙人には注意が必要かもしれません。星団とは、星が密集している宇宙の場所をいいます。
私たちの太陽系は、隣にある星がおよそ4光年も離れているという、比較的、寂しい場所にあります。
それに対して、星団の星は、お互いの距離が1光年よりもさらに近くなります。もし、そこに宇宙人がいれば、自分たち以外の宇宙人がほかの惑星にいることをすぐに見つけることができるかもしれません。
これは科学技術の発展にとって多大な影響があります。
ひとつの国が独自に発展していくよりも、国際的に協力して発展していく方が、より高い科学力になるはずです。それと同じで、近くに多くの惑星がある環境では、惑星文明同士の交流も高く、科学レベルが異常に高い惑星間文明となっていることがあるかもしれません。
宇宙人との接し方
『ウルトラセブン』に登場したクール星人は「人類なんて我々から見れば、昆虫のようなものだ」と、地球人を標本のように収集しました。
そういった偏見はなくして、お互いを尊重して共存していかないといけません。
また武力に頼るのもよくありません。
『ウルトラセブン』の放送で、侵略宇宙人にたいする防衛目的で超兵器を開発するお話がありました。武力には武力で対抗する考え方です。
こちらが相手よりも強力な武器を持っていれば、それは抑止力として働きます。 しかし、それを上回る武器を相手が開発すれば、こちらはさらに強力な武器を開発する必要に迫られます。
「それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンだ」
モロボシ・ダンは兵器の開発競争を良しとしませんでした。
そう。
宇宙人がどんな利害があって地球にやってきたとしても、まずは「対話」から初めて、お互いを理解していきたいものですね。
彼らのキャラクターやエピソードを、科学的な教養を培いながら、あれこれと空想を楽しんでみてはいかがでしょうか?
このたび上梓しました『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』がその一助になるとすれば、この上なく嬉しいですね。
高水 裕一
1980年東京生まれ。早稲田大学理工学部物理学科卒業。東京大学大学院、京都大学大学院を経て、英国ケンブリッジ大学理論宇宙センターに所属し、スティーブン・ホーキング博士に師事。現在は、筑波大学計算科学研究センター研究員。専門は宇宙論。 著書に『宇宙人と出会う前に読む本』(講談社)、『宇宙の秘密を解き明かす24のスゴい数式』(幻冬舎)などがある。
1980年東京生まれ。早稲田大学理工学部物理学科卒業。東京大学大学院、京都大学大学院を経て、英国ケンブリッジ大学理論宇宙センターに所属し、スティーブン・ホーキング博士に師事。現在は、筑波大学計算科学研究センター研究員。専門は宇宙論。 著書に『宇宙人と出会う前に読む本』(講談社)、『宇宙の秘密を解き明かす24のスゴい数式』(幻冬舎)などがある。