歌舞伎俳優 中村勘九郎流 「自分の道は自分で決める」子育てとは

子どもたちが「楽しい」と 感じられることが一番 サポートは全力で! 勘九郎インタビュー#1

ライター:小川 聖子

スマホは持たせず、動画サイトも見せない 今はそれでうまくいっています

左から長三郎、勘九郎、勘太郎  
ーーご夫婦で決めている、子育ての方針などはありますか。

勘九郎さん:これは妻が決めたことで続いていて偉いなと思っているのですが、今のところスマホは持たせず、YouTubeなどの動画サイトなども見せていません。携帯ゲームもさせていないですね。

今はそれでうまくいっています。というか、子どもたちがそういうものを全然見たがらなくて……。僕がYouTubeを見ているそばで、楽しそうに「お芝居ごっこ」をしています(笑)。

だから欲しがるものと言ったら、「箱」! 買ってきたお菓子やいただいたお菓子の空き箱を取っておいて欲しい、と言うんです。人形を使ったお芝居のセットを作るのに使うのだそうです(笑)。
ーー自分たちでエンターテインメントを作っているから、必要がないのかもしれませんね。

勘九郎さん:そうかもしれません。今は、スライムを作ったり、バスボムをお風呂にたくさん入れてみたりという「実験系」の動画が子どもたちには人気なんですね? 

それ、僕からしたら「昔、自分がやっていたなぁ!」というものなんですよね。
お風呂にシャンプーを入れて、シャワーをかけて泡でいっぱいにしたこともあって……めちゃくちゃ怒られましたけど(笑)。

子どもが好きなものはあまり変わっておらず、「こんなことをやってみたい!」という思いから、そんな動画が人気なのかな、と思っています。

うちは見せていませんが、今は歴史や語学もYouTubeで学べる時代だと聞きました。これからますます、子どもを取り巻く環境は変わっていくと思いますので、そこは注視していきたいです。

お小遣い制ではなく 欲しいものがあるときにプレゼンする形式ではありますが……

ーーちなみに、お小遣いなどはどうしていますか。

勘九郎さん:今はあげていません。欲しいものがあるときは言うように伝えてありますが、子どもたちはあまり物を欲しがらないんです。

勘太郎は歴史が好きなので、「そんなに好きなら、こんな本があるよ、必要かな?」と聞くのですが、「それはあれば嬉しいけど……」みたいな感じで(笑)。

他に欲しいものと言ったら、「刀」。もちろん、アニメのキャラクターグッズとしての刀などもいいなと思うのですが、家では本物を目にする機会もあり、そうなるとそちらの魅力が強いようで……。

歌舞伎の演目には立ち廻りのシーンがある作品もありますし、日本刀を使う舞踏などもありますから、言ってみれば刀は必要なもの。

自身の刀を手に入れた後は、もはや満足のようで、そのほかのものを欲しがることはないですね。
取材・文/小川聖子
中村勘九郎
中村屋。1981年生まれ。東京出身。歌舞伎俳優。十八代目中村勘三郎の長男。’86年1月『盛綱陣屋』の小三郎で初お目見得、’87年1月『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎役で二代目中村勘太郎を名のり初舞台。2012年に六代目中村勘九郎を襲名する。2019年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』では阿部サダヲとともに主演を務めた。最新情報は、http://www.fernwood.co.jpへ。
ーー第2回目は、勘九郎さんご自身が育った環境や、奥様の前田愛さんとのコミュニケーションについてもお伺いしました。
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おがわ せいこ

小川 聖子

Seiko Ogawa
ライター

東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。

東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。