自分の経験しか語れないけれど、子育ての正解はひとつじゃないと思う(渡辺さん)
渡辺さん:うちの親はいい意味で「放任主義」だったというか。あまり口を出さずに好きなことをやらせてくれたという感じです。お笑いの道に関しても、20年以上にわたって何か言われたことはありませんし。
──何も言わずに見守ってくれている感じだったんですね。ドラマでは、毎日ワンカップ片手に少年野球を見に行く渡辺さんに、お父様がそっと500円玉を置いておいてくれている……というシーンもありました。
渡辺さん:あれ、本当は当時の彼女なんですけど(笑)。でも、父に関してもそんな感じで、「これはやっちゃダメ! やめろ!」なんてことを言われたこともなくて、それはすごくよかったと思います。干渉はされないけれど、そっと背中は押してくれる……思い返せば、そこがいちばん良かった気がします。
──今は、「つい子どもに過干渉になってしまう」「友達のようになってしまう」など、子どもとの関わりに悩む親御さんも多いです。
渡辺さん:それはそれでいいこともたくさんあると思いますよ! 僕は「自分はこうだった、これはよかった」ということは言えますが、「だからこうしろ」なんて言おうとは思いません。子育ての正解とか、やり方なんてひとつじゃないと思うんです。イチロー選手は、毎日親父さんと野球の練習してっていう、実際そういうやり方もあるじゃないですか。だから、何が正解とかはないと思う。ただ、僕の場合は、その子がやりたいことがあるなら、やらせてあげて、多少失敗しても放っておいてあげます。すぐこうしろ、ああしろっていうんじゃなくて。主体はその子にしてあげて、親の意見じゃないほうがいいかも……ということくらいですね。
子どもの質問にはしっかり 向き合って答えてほしい(長谷川さん)
長谷川さん:親というか、まずは「大人」のことになりますが、僕たちが子どものころって、近所の知らないおじさんにめちゃくちゃ怒られる、みたいなことがよくあったと思うんです。今はなかなか難しいですけど、思い返したときに、あれは大変いいことだったなって思うんです。今は例えば電車なんかで、親がいないところで騒いでいたり、悪戯している子たちにも、みんななかなか注意できないですよね。もちろん、今は声をかけるのは難しい時代ではありますけど、それでも言い方次第で注意できなくはないと思うんです。「騒いだら、みんなに迷惑だよ!」ってことは、やっぱり伝えていかなきゃなって。なかなか言えないのは難しい時代ですけど、やっぱり必要なことだと思っています。
あと親のことで思うのは、小学校低学年くらいの年齢ってやっぱり好奇心旺盛で、なんでも聞きたがる時期だと思うんです。「なんでこうなるの? なんでああなるの?」って。それに対して大人はちゃんと向き合って、万が一答えられなくても、「じゃあ一緒に考えよう」という態度を見せてあげたほうがいいなって僕は思うんです。というのも、僕にはトラウマがあって。父がね、とにかく子どもに無関心な人で。僕がなにか質問したときも、「そんなもん、自分で考えろ」って言うんです。そう言われたら子どもはもう、質問できなくなっちゃうんです。
渡辺さん:怖いもんね。
長谷川さん:そう。そこで僕もね、「ああ、自分でなんでも考えなきゃダメだな、見つけなきゃダメだな」って思えたら良かったんですけど。そのときはそうはならずに、とにかくもう、質問できなくなってしまったので……。反対にもしも、質問された大人がきちんと答えてあげたり、一緒に考えてあげたりしてあげたら、その子の興味はさらに広がっていくんじゃないか、そうなるのがいいなって、僕は思ってしまうんです。「どうして空は青いの?」って聞かれたら、ちょっと答えづらいとは思うんですけど、でも何かしらの答えを与えたり、一緒に考えたりはできると思うので。
──ご自身はお父様に「一緒に考えよう」って言ってほしかったですか。
長谷川さん:そうですね。というか、まずは質問に対して答えてほしかったです。父は真面目というか、いつもずっと新聞を読んで、ニュースを見ているというような人だったのですが、子どもに対してはもうシャットアウトというか、「入ってくるな、話しかけるな」みたいな感じだったので。
渡辺さん:ちなみに雅紀さんは、どんな質問をした?
長谷川さん:いや、それはちょっと……覚えていなくて。
渡辺さん:何かお父さんが許せないこととか、ものすごく変なことを聞いてしまった可能性は……。
長谷川さん:僕、何か変なこといったのかな?
渡辺さん:質問する雅紀さんの態度がすごく嫌だったとか……。
長谷川さん:ええ~っ!!
渡辺さん:いやいやいや(笑)。だって普通そこまで拒否しないんじゃ……という気もするけど、何か事情があったのかもしれないね。
長谷川さん:何かしらの答えは言ってほしかったよ(笑)!!