たぶんみんなは知らないこと

著:福田 隆浩   イラスト:しんや ゆう子  

発売日 2022/05/26
価格 定価:1,540円(本体1,400円)
ISBN-13 9784065270431
判型 A5
ページ数 192ページ

第60回野間児童文芸賞受賞作!

「少女の不安を秘めながら毅然とした姿に心打たれる。余韻のある強く凛々しい物語」あさのあつこ氏

「長年支援学校での仕事に携わってきた作者だからこそ、作り上げられた世界です。それは人々の善意に支えられた世界ですが、それこそ作者の願であり、読む者への希望へと繋がります。子どもの本を書くという志において、敬意を感じる作品」いとうひろし氏

「最も感情移入して読んだ作品です。最後がどうなるのか気になって気になって仕方がなく、途中で何度もエンディングを読みたくなりました。中略 えてしてセンチメンタルになったり、教条主義的になったりしがちな題材を、ひとつの作品としてここまできっちり組み上げるには強靱な精神力が必要」金原瑞人氏

「この物語に触れる時子ども達は、自分と違って見えるすずの中にも、自分たちと同じ……いえ、それ自分たち以上に色どり豊な世界が広がっていることに気づかされるでしょう。」富安陽子氏


『ようやく書けた物語』
 私は、知的障がいのある子ども達が通う特別支援学校で、教員として三十年近く働いています。その間、小学校や中学校の子ども達を主人公にした物語を書き続けてきましたが、自分の学校の子ども達を主人公にできないことに長く歯痒い思いをしていました。重い障がいのある子ども達の心の内を文章として表現することの難しさと果たして自分が表現してよいのかという葛藤に、なかなか一歩踏み出せずにいました。
悩み、試作を繰り返した末にようやく書き上げることができた物語が本書なのですが、果たしてこれでよかったのかという不安は今も重く残っています。ですが、今回この賞をいただけたことで、ようやくなんらかの許しを得られたような気もしています。
ーー著者受賞のことばより


ねえねえ。なに話してるの?
そんなふうにいえればいいんだけど、わたしはおしゃべりができないから。
おしゃべりしようって思っても、頭のずっとおくのほうでなにかがちかちかってするだけ。お口もじょうずにうごかせないし、もうしかたないなぁって思ってる。本文より。

重度の知的障がいのある小五の女の子、発語できない、すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。

『ふたり』が青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『香菜とななつの秘密』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれるなど、特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏作。

目次 1 トマト号とくじら号 2 お兄ちゃん 3サラダ 4 こうりゅう会 5ペンギン 6 かなでフェスタ 7 とちゅう下車 8 かなでフェスタ2 9かなでフェスタ3 10 かなでフェスタ4 11 雪の日 12 新しいぼうけん

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角野 栄子
児童文学作家
1935年東京・深川生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て24歳からブラジルに2年滞在。その体験をもとに描いた『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で、1970年作家デビュー。 代表作『魔女の宅急便』は舞台化、アニメーション・実写映画化された。産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞、小学館文学賞等受賞多数。その他、「アッチ、コッチ、ソッチの小さなおばけ」シリーズ、『リンゴちゃん』『ズボン船長さんの話』。紫綬褒章、旭日小綬章を受章。2016年『トンネルの森 1945』で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、18年3月に児童文学の「小さなノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞作家賞を、日本人として3人目に受賞。 2023年には、江戸川区に「魔法の文学館」がオープンした。 写真提供:魔法の文学館 童話作家・角野栄子のオフィシャルサイト 魔法の文学館オフィシャルサイト
ナコ
イラストレーター
宮城県仙台市在住。イラストレーター。アパレル・キャラクターのデザイン会社にてグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活躍後に、フリーに転身。現在は、書籍や雑誌、広告のイラストから企業キャラクターデザイン、エッセイ漫画執筆、雑貨やテキスタイルデザインも手がけている。ブログ、SNSでもエッセイ漫画を公開中。 【著書】「ナコさんちの頑張らない家事」(KADOKAWA) ▼webサイト▼ https://nfsn66.net/ ▼ブログ▼ https://ameblo.jp/nacomusud/ ▼instagram▼ naco.nfsn66 ▼Twitter▼ @nfsn66
佐野 洋子
絵本作家・エッセイスト
1938年6月28日中国・北京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒業。 主な作品に『100万回生きたねこ』(講談社)、『おじさんのかさ』『おばけサーカス』(講談社・サンケイ児童出版文化賞推薦)、『すーちゃんとねこ』(こぐま社)、『わたしのぼうし』(ポプラ社・講談社出版文化賞絵本賞)、『だってだっての おばあさん』(フレーベル館)、『ねえ とうさん』(小学館・日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)などの絵本や、童話『わたしが妹だったとき』(偕成社・新美南吉児童文学賞)、さらに『神も仏もありませぬ』(筑摩書房・小林秀雄賞)、『役にたたない日々』(朝日新聞出版)、『シズコさん』(新潮社)、『死ぬ気まんまん』(光文社)、『佐野洋子対談集 人生のきほん』(西原理恵子/リリー・フランキー 講談社) などのエッセイ、対談集も多数。 2003年紫綬褒章受章、2008年巌谷小波文芸賞受賞。2010年11月5日72歳で逝去。 ©︎ JIROCHO, Inc.               
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