ご当地キャラが大さわぎ! 東北はっけん☆ミステリー【福島編 第3回】

「キビタンと福島の雪うさぎ」五十嵐美怜(いがらしみさと) (2/3) 1ページ目に戻る

作家:五十嵐 美怜

雪うさぎさんが静かに目をとじると、キラキラとした日差しが、キビタンたちの上にふりそそぎます。そよいでいた風がふっとほほえんだようにあたたかくなり、やさしい春の風となって、2人を包みました。

「また来年、会おうね」

そう言うと雪うさぎさんは、春の風といっしょに、空へすーっととけていったのです。

「うん! また来年!」

キビタンが空に向かって力強く言いました。山はやわらかい春の気配に満ちていました。

***

一年に一度しか会えないのは毎年同じ。だけど今年は、心にせつなくさみしい気持ちと、新しい決意が残りました。

キビタンは、その日のうちに街へもどりました。そして、出会ったみんなに吾妻小富士で起きたことを話したのです。

「今年は雪が少なかったから、雪うさぎさんの元気がなかったんだ。このままじゃ、雪うさぎさんがいなくなってしまうかもしれないんだ」

雪うさぎさんがいなくなるかもしれない。キビタンの話に、街のみんなは驚きました。その中には、同じ福島の仲間、赤べこ土湯こけしもいます。

【赤べこ】「べこ」とは、東北の言葉で「牛」のこと。赤べこは会津の民芸品で、ゆらゆらゆれる首が特徴です。赤い色は厄除けになると言われ、特に子どもが持つと災難から守ってくれると言われています。写真:アフロ
【土湯こけし】土湯温泉で作られるやさしい表情のこけしです。土湯温泉はこけしの里として有名で、三大こけし発祥地のひとつ。素朴でかわいらしい土湯こけしは、今も昔も、たくさんの人から愛されています。写真提供:土湯温泉観光協会

「小さな変化でも、気づくことが大事だと思うんだ」

広場で、おおぜいのみんなの前に立って話すキビタン。キビタンは花や虫など、いつもより早く春が訪れている山のこと、雪だるまを一度も作れなかった冬のことを、一生けんめい伝えました。はじめはざわざわしていた人たちも、だんだん耳をかたむけるようになりました。

「みんなで『雪うさぎさんを守る作戦』を始めたいんです!」

「雪うさぎさんを守る作戦」。それはキビタンが考えた、次の3つの約束です。

・電気をつけっぱなしにしない

・歯みがきするときは水を止める

・ゴミをしっかり分別する

小さな約束が、未来を変えるかもしれません。
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