キビタンがとなえる作戦はどれもささいなことですが、地球のためになる小さな一歩です。街のみんなもうんうんとうなずきました。
「これなら子どもたちといっしょにできっぺ」
赤べこが、首をたてにゆらゆらとゆらして言いました。
「雪うさぎさんがいなくなったらさみしいから、がんばりましょう」
土湯こけしが、やさしい顔でほほえみました。
こうして街では、少しずつ変化がはじまりました。街にはキビタンがえがいた『ストップ 温暖化! 雪うさぎさんを守ろう 3つの約束』というポスターがはられました。
それを見た人たちは「電気、ちゃんと消さなきゃね」「ゴミの分別、がんばろう」と声をかけ合います。
……その様子を、山の上からだれかがじっと見ていました。そう、山の長老です。長老は長いひげをなでながら、にっこりと目を細めました。
「気づいたもんが動きだす。それが、いちばんの力だべな」
そして、次の春──。吾妻小富士に、白い雪形が現れました。ピンと立った耳、まあるい背中。雪がほどよく残り、やさしい日ざしをうけています。
「今年の吾妻の雪うさぎは、くっきりきれいだべ」
赤べこが首をゆらしながら笑います。
「種まきうさぎ、めんこいねえ」
土湯こけしもうれしそうです。
「今年も会いに行くからね! 雪うさぎさん!」
キビタンは笑顔で山にむかって手をふります。そのとき、やわらかい風がふわりと吹きました。
『ありがとう』
雪うさぎさんの声が山から街へと流れてきます。
『みんなのやさしさが、力になったよ』
キビタンはうなずきました。そしてキビタンは、山に向かって呼びかけました。
「ボクたち、大好きな福島をずっと守っていくよ!」
小さな気づきや小さな行動が、みんなが住む街や山を守るきっかけになると気づいたキビタン。そして、その小さなきっかけはいつか──地球全体を守る、大きな力へとつながっていくのです。
(おしまい)
素敵な福島を、雪うさぎさんを守るために、一人ひとりの行動が大切なんだね。次は【岩手編】! お楽しみに
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五十嵐 美怜
福島県出身、在住。『15歳の昆虫図鑑』で第64回講談社児童文学新人賞佳作、第1回未来屋アオハル文学賞を受賞。 東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。主な作品に「恋する図書室」シリーズ、「ハイキュー‼︎ まんがノベライズ」(集英社みらい文庫)、「きみがキセキをくれたから」シリーズ(講談社青い鳥文庫)などがある。
福島県出身、在住。『15歳の昆虫図鑑』で第64回講談社児童文学新人賞佳作、第1回未来屋アオハル文学賞を受賞。 東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。主な作品に「恋する図書室」シリーズ、「ハイキュー‼︎ まんがノベライズ」(集英社みらい文庫)、「きみがキセキをくれたから」シリーズ(講談社青い鳥文庫)などがある。