
賞レース総なめ絵本「かぐや姫が虫」が親子を魅了する理由! 絵本ナビ編集長が分析
絵本『月虫の姫ぎみ』はなぜ高い評価を得たのか? 磯崎園子さんへインタビュー (3/3) 1ページ目に戻る
2026.06.13
ライター:山本 奈緒子
奇跡のタッグが生んだ絵本
──『月虫の姫ぎみ』は、児童文学作家の富安陽子さんが物語を、『海獣の子供』などで知られる大人気漫画家の五十嵐大介さんが絵を手がけていることも、大きな注目を集めています。この奇跡ともいえるタッグが、その立体的な世界観を生み出したと思われますが……。
磯崎さん:この絵本の面白いところは、ヒトとしての“感情”がまったく描かれず、一貫して虫にフューチャーしているところだと思います。しかも例えば絵本『はらぺこあおむし』(エリック・カール作 偕成社)のようにかわいい感じでもなければ、写真絵本『セミの一生』(あかね書房)のように学ぶ感じでもない。徹底して、美しいけれどゾワッとするし、ゾワッとするんだけれど美しい、そんな様子が描かれている。私も実際の虫は苦手なのですが、ついつい何度も読んでしまい、最終的には繭の場面や羽化する場面を「綺麗……」とつぶやいていました。
──この絵本は、富安さんが五十嵐さんにこの物語の絵を希望されて、いただいた絵を受けて物語をブラッシュアップしていった、という経緯があります。まさに2人で作り上げられた一冊と言えます。
磯崎さん:そうなんですね! この物語の、幻想的なのにどこかリアリティを感じさせるところは、五十嵐さんの絵があってこそなのかもしれませんよね。五十嵐さんの作品には“ヒトと他の生物の間”みたいなところを描くのが巧みなイメージがあります。
最近では、漫画家の方が手がける絵本も増えている傾向はあるかと思います。絵本とは違うジャンルの方が手がけるからこそ、新鮮な驚きを期待してオファーが続くのかと想像します。五十嵐さんの絵と富安さんの物語からは、まさに見事な相乗効果を生まれており、間違いなく、おふたりのコラボだから生まれた奇跡の一冊だと思います。
個人的に絵本の魅力のひとつに、のぞき見しているような感覚というのがあります。「これは知らないほうがよかったのでは……?」というような、読んでしまったことへの後悔とワクワク感が混ざったような怪しい魅力。『月虫の姫ぎみ』はまさにそういう、ワクワクゾワゾワするような喜びがある。だから私も、読めば読むほど好きになっていったんだと思います。
磯崎園子さん
1974年、愛知県生まれ。絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本の紹介やコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と自身の子育て経験をいかし、絵本ナビのサイト内だけでなく新聞・雑誌・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(ともに玄光社)がある。
『月虫の姫ぎみ』
講談社刊 定価:本体1700円(税別)
『シノダ!』シリーズの富安陽子が文を、『海獣の子供』の五十嵐大介が絵を描く、新感覚おとぎ話。奇跡のタッグが生んだ妖しくも甘美な変身譚!

山本 奈緒子
1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。
1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。




































磯崎 園子
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/