「発達障害」の診断で「就学相談」 特別支援学級・普通学級 どちらが良い?〔『リエゾン』三木先生解説〕
「娘の凸凹発見・成長実録記」 番外編 娘6歳~就学相談の様子とその結果~
2024.02.23
決定打がなく悩む日々
保育園や療育の先生から娘の様子は聞くものの、普通学級にすべきか、特別支援学級にすべきか、決定打となる情報や意見はありませんでした。
「普通学級でも大丈夫そうだけれど、特別支援学級のほうが安心ですよね」と言われることが多かったのです。
なにより、保護者が選択すべきことなので、先生方もはっきりと言えないはず。
「どちらの道が正しいのか、誰か未来に行ってきて教えてほしい」と何度思ったかわかりません。
普通学級なら、クラスメートのみんなとワイワイ楽しめるかもしれません。でも、勉強についていけなくて、授業中かんしゃくを起こすかもしれない……。そしてそのまま「学校に行きたくない」と言うかもしれない。
特別支援学級なら、娘に合った方法で勉強がうまく進むかもしれません。でも、みんなと過ごす時間が少なく、さみしい思いをするかもしれません。みんなと違うクラスで悲しい思いをするかもしれません。
すべて「~かもしれない」ですし、実際は入学してからでないとわかりません。
小学校に話を聞きに行ってみると
そんな思い悩む日々が続いたある日、「想像だけではどうしようもない!」と入学予定の小学校に話を聞きに行ってみることにしました。
小学校の先生の話では、「特別支援学級では子どもの状態に合わせた授業内容を行いますが、少しずつ普通学級で過ごせるように移行していきます。
ずっと特別支援学級に在籍しないといけないわけではなく、タイミングを見て普通学級への移行を目指します」という話でした。
それなら、「1年生から特別支援学級に入り、娘の特性に合わせてもらいつつ、普通学級に慣れるように移行できれば、それが一番よいのではないか」と思うようになってきました。
果たして審議の結果は?
12月になり、まだかまだかと待っていた結果が、園長先生からようやく伝えられました。
特別支援学級の情緒級への入学が通ったのです。
「やっぱりそうか~!」という諦めに似た気持ちと、娘に合わせてもらえる環境が手に入ったという安堵と、なんとも言えない感情が渦巻きました。
どこかで「普通学級で大丈夫!」と言ってほしかった気持ちがあったのも事実です。
そんな私の気持ちに関係なく、普通学級か特別支援学級のどちらにするかを1週間以内に返事する必要がありました。気持ちとしては1ヵ月ぐらい、正直待ってほしいところ。
この1週間、迷っていた私は、いろいろな人の意見や、私やパパから見た娘の様子を考慮し、考え抜いた結果、特別支援学級への入学を決めました。
この選択が正しかったのかは、現時点ではわかりません。
入学後に「特別支援学級にして正解!」となるかもしれないし、「普通学級にすればよかった」と悔やむ日が来るかもしれない。
どちらにしても、娘には幸せになってほしいと心の底から思っています。
どうかこの選択をして良かったと思う日が来ますように。
【三木崇弘先生】
いろんな情報を加味した上で悩んで決められたのであれば、現状ではそれがベストの選択だと自信を持ってもらって大丈夫だと思います。
結果がどうなるかは、学校やクラスメートの影響もあるので自分ではコントロールできません。まさに「人事を尽くして天命を待つ」ですね。
凸凹成長実録記は全6回。
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三木 崇弘
児童精神科医。国立成育医療研究センターこころの診療部でフェロー・研究員として6年間勤務の後、2019年フリーランスに。以降、クリニック専門外来、公立小学校スクールカウンセラー、児童相談所、保健所、児童養護施設、児童自立支援施設などで非常勤の医療・教育等カウンセラーとして活動。 2023年4月より地元・姫路へ戻り、児童精神科医として多忙な日々を送る。 『モーニング』連載中の漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』監修。知的障害支援「あいプロジェクト」代表、発達研修ユニット「みつばち」としても活動中。 最新著書『リエゾン―こどものこころ診療所―凸凹のためのおとなのこころがまえ』(講談社)
児童精神科医。国立成育医療研究センターこころの診療部でフェロー・研究員として6年間勤務の後、2019年フリーランスに。以降、クリニック専門外来、公立小学校スクールカウンセラー、児童相談所、保健所、児童養護施設、児童自立支援施設などで非常勤の医療・教育等カウンセラーとして活動。 2023年4月より地元・姫路へ戻り、児童精神科医として多忙な日々を送る。 『モーニング』連載中の漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』監修。知的障害支援「あいプロジェクト」代表、発達研修ユニット「みつばち」としても活動中。 最新著書『リエゾン―こどものこころ診療所―凸凹のためのおとなのこころがまえ』(講談社)