【脳出血で入院4ヵ月】 働く2児ママが「社会復帰」に向け料理・運転・仕事の復活へ
脳出血で緊急入院!【萩原はるな:ワンオペママの闘病記】#5 ~退院後の生活に向けての準備編~
2022.06.13
ライター:萩原 はるな
運転と仕事再開に向けて地道な努力が続く
2つめのターゲットの運転だが、車は私の生活に欠かせない存在。今後は足が不自由になるため、車がなければ行動範囲は狭くなってしまうだろう。
夫はペーパードライバーなので戦力にならず。私が運転できなければ、子どもたちの送迎や野球の車出し、日々の買い物にだって困るだろう。
幸い、私が入院したリハビリ病院は、脳卒中や脳外傷後の自動車運転再開に向けたリハビリを行っており、専門外来があるほど。わりと早い段階から、ドライブシミュレーターを使って、左手と左足での運転を練習することができた。
けれども……、片手のハンドル操作はともかく、左足のブレーキ操作が恐ろしい! なぜなら、左足で操作する場合、アクセルが左でブレーキが右になるのだ。右足のときと動きが逆なので、何度も間違えそうになるし、いちいち考えるのでめちゃくちゃ疲れる!
ある日、右足の足首がけっこう動くようになったので、「試しに、右足でシミュレーターやってみてもいいですか?」と頼んでみた。作業療法士さんが快諾してくれ、ドキドキしながらトライ。
すると不思議なことに、麻痺が起きているにもかかわらず、「右足でアクセルとブレーキを踏む感覚」はバッチリ残っていたのだ。
「右足で運転、問題ないですね」。そう担当ドクターに言ってもらったときは、なんとうれしかったことか。これで愛車を左足の運転用に改造する必要はなくなったし、旅先でレンタカーも運転できる!
その後も毎日運転の練習を繰り返してシミュレーターによるテストを受け、注意障害、記銘力障害などのテストもクリア。運転再開のめどをつけることができた。
そして、最後の目標・仕事。私はライターなので、パソコンが打てないと話にならない。そこでリハビリ病院に転院してまもなく、夫が軽いMacBook Airを購入して届けてくれた。
それからリハビリの合間を見て、Wi‐Fiのつながる食堂でパソコンと向き合う毎日。同じくフリーライターの夫と私は、結婚前からずっと編集者やクライアントに提出する前に、お互いの原稿を読みあっていた。私が倒れた後は、私のチェックがないまま原稿を提出することに、夫は心もとなさを感じていたようだ。
「原稿、もう読めると思う」と伝えたところ、嬉々としてジャンジャン原稿を送ってきた。最初はかなり疲れたけれど、原稿を読むのも、修正するために左手でキーを打つのも、いいリハビリになったと思う。
「原稿直してくれてありがとう。修正内容も、前と変わらないで!」と夫からお墨つきをもらったときは、心底ホッとした。