
初潮前の「膣炎」や「膀胱炎」 親が注意したい「おりもの」の変化とは〔子どものフェムケアを産婦人科医が解説〕
産婦人科医・海老根真由美先生に聞く「子どものフェムケア」 #1
2025.05.28
産婦人科医:海老根 真由美
初潮前は膣炎や膀胱炎に要注意!
海老根先生:この時期は膣内に雑菌が増えやすいので、膣炎や膀胱炎になりやすい傾向があります。膣炎とは、膣の粘膜に炎症が起きてしまうことです。膣内に病原体が入り込んだり、特定の病原体が過剰に増えたりすると、膣内の環境が乱れて膣炎になってしまいます。
膣炎になると、デリケートゾーンにかゆみや痛みが出たり、おりものが変化したり、嫌な匂いのおりものが増えたりします。膣炎は、多くの場合は放っておいても治りません。婦人科などを受診して、抗菌剤を使って治療します。
また、膀胱炎は、尿をためる場所である膀胱に炎症が起こる病気です。膀胱炎になると、おしっこをした後もおしっこが残っている感覚になったり(残尿感)、何度も何度もトイレに行ったり(頻尿)、おしっこをするときに痛みを感じたりします。やはり、抗菌薬の投与などによって治療します。

ちょっとしたストレスが引き金になることも
──初潮前は、膣炎や膀胱炎に注意が必要なのですね。
海老根先生:はい。なお、初潮前だけではなく、3~4歳の小さな子どもも膣炎が多いといわれています。はっきりとしたデータはありませんが、おそらくこの時期の子どもに膣炎が多いのは、トイレと公園遊びが理由ではないかと思います。
3~4歳というと、自分一人でトイレに行って、ひとりでおしりを拭き始める時期ですよね。ですから、どうしてもきれいに拭けていないことが多くなります。同時に、公園などに行けば、お尻を地面にぺたんとつけて遊ぶため、雑菌が入りやすくなることも。こうした理由から、この時期は膣炎が増えるのではないかと考えています。
ただ、私自身は膣炎について、ちょっとした「風邪のようなもの」だと考えています。どうしてかというと、それだけ女性にとっては“身近な病気”だからです。
昨年(2024年)、私のクリニックで調べたところ、1年間で約3000人が“おりものの異常”で受診していることがわかりました。つまり、1日に10人受診していたことになります。
女の子は、試験勉強や部活、受験などのストレスによって、膣内の環境が乱れて膣炎になることも珍しくありません。ちょっとでも「おりものの匂いが気になる」「デリケートゾーンがかゆい」など不快な症状があれば、気軽に婦人科を受診してもらえたらと思います。