子どもを性犯罪から守る「日本版DBS」の課題と「性被害を受けた子ども」に必要なケア 小児科医・ふらいと先生が解説

小児科医・新生児科医の今西洋介先生に聞く「こども性暴力防止法(日本版DBS)」 #1 ~制度の概要と課題~

小児科医・新生児科医:今西 洋介

「日本版DBS」は、子どもたちの日常を守る仕組みになるのでしょうか?  写真:アフロ
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子どもが性被害に遭う事件が後を絶ちません。こうした中、子どもを性犯罪から守ることを目的として、「こども性暴力防止法」(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律) 、いわゆる「日本版DBS」の導入が決定しました。

日本版DBSとは、学校や認可保育園などで働く人に性犯罪歴があるかどうかを確認できるようになる、子どもを性犯罪から守るための制度です。

この仕組みによって子どもたちを取り巻く環境はどのように変わるのでしょうか? 小児科・新生児科医の今西洋介先生に教えていただきました。

(全2回の前編。後編を読む。※公開時からリンク有効)

今西 洋介(いまにし ようすけ)
小児科医・新生児科医、小児医療ジャーナリスト。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。

性犯罪歴を確認する制度がスタート

──子どもを性犯罪から守るための制度である日本版DBS(Disclosure and Barring Service)を導入するための法律が2024年6月19日に成立しました。そもそも日本版DBSとはどのような制度なのでしょうか?

今西洋介先生(以下、今西先生):日本版DBSとは、子どもにかかわる仕事に就く人たちに、性犯罪歴がないかどうかを確認するための制度です。もともとイギリスから始まった制度で、それを日本に導入したことから日本版DBSと呼ばれています。

この制度によって、学校や認可保育所、幼稚園、認定こども園、児童発達支援、放課後等デイサービスなどを対象に、働く予定の人や、すでに働いている人に性犯罪歴がないかを事業者が、こども家庭庁を通して確認できるようになります。

──先生は法案成立の瞬間を国会で傍聴されたそうですね。どんな様子だったのでしょうか?

今西先生:国会で審議される法案のほとんどは与党と野党で賛否が分かれるのですが、DBS法案については与野党が全会一致で成立しました。すべての議員が一斉に立ち上がる様子は壮観でした。やはり子どもの性被害に関する問題は、政党関係なく最重要課題と認識されているのだと痛感しました。

塾やベビーシッター民間業者は義務化の対象外

──導入が決まった日本版DBSですが、課題はありますか?

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